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- 人生相談:要介護の母と二人…老後の生活費が心配
「50代からの女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が答えるQ&A連載。今回は、63歳女性の「要介護1の母と二人暮らし。母の今後の介護費と自分の老後のために今できる備えを知りたい」という相談に、FPの畠中雅子さんが回答します。
63歳女性の「母と自分の今後の生活費」についての相談
88歳になる要支援1の母親と、私の二人暮らしをしています。私には子どもが一人いますが、他県で家庭を持ち、社会的にも経済的にも独立しています。
現在の年収は約700万。借金はなく、貯蓄は年収程度の額があります。退職金は無いに等しい職場ですが、家は持ち家(ローン返済済み)なので、家賃などはかかっていません。
今のところ、母も私も健康なのでいいですが、これから母の介護費用が必要になったり、自分の老後のことを考えると心配になります。
定年までのあと2年で、できる備えは何かあるのでしょうか?
(63歳女性・きゅうべいさん)
畠中さんの回答:あと2年は年200~250万円の貯蓄を
60代に入られても700万円の年収があるというのは、恵まれたお仕事をされていらっしゃいますね。その一方で、退職金は期待できないとのことなので、退職するまでに今まで以上のペースで貯蓄を増やしたいところです。
住宅ローンやお子さんの教育費負担がない状態ですので、1年間に200~250万円くらいの貯蓄が可能だと思われます。退職するまでの2年間だけでも、貯蓄ペースをアップすることが、きゅうべいさんにとって重要なことだと感じます。
お母様の生活費も負担しているのなら、200万円を超える貯蓄はきついと思いますが、ご自分の生活費だけでいいのであれば、退職までの2年間は貯蓄のラストスパートの時期と割り切って、生活コストを絞ってみてください。
年金生活に入ると、使えるお金は減っていきます。今のうちに生活コストをダウンサイジングしておくことは、将来の年金生活の役にも立つはずですので、がんばってください。
特養の入居申請ができるのは要介護3以上
さて、次は介護のことです。現在、要支援1のお母様の介護は、きゅうべいさんご自身が対応したり、手続きなどもされることと思います。ですが、将来、きゅうべいさんに介護が必要になったときはどうされますか?
ご自身の介護について、介護を担う方がいない場合どこかのタイミングで住み替えをしなくてはならない可能性があります。仮に、きゅうべいさんが在宅介護を希望されるとしても、住み替えプランを検討しておくことは大切です。
ちなみに特別養護老人ホームは、要介護3になるまで入居申請はできません。要介護3と認定されたら、特別養護老人ホームの入居申請をするとしても、要介護1と2のときには在宅介護以外の選択肢も考えておいた方が安心できます。
そこで退職された後に「住み替えるとしたら、入居一時金はどのくらい払えるのか」を見積もり、その見積額で入居できそうな介護付有料老人ホームを、少しずつ見学されることをおすすめします。
見学の際は、自分が払える金額に見合った有料老人ホームを選んで見学することが大切です。
特養は安くない!介護付有料老人ホームなどの見学も
介護のことで、きゅうべいさんに知っておいてほしいことがあります。
現在の特別養護老人ホームは、安い施設とは言い切れない現実です。具体的には、資産が650~500万円以上ある場合、軽減措置(補足給付)が受けられなくなっています(550万円以上、550万円以上と所得が増えるほど、資産基準が厳しくなります)。資産額に幅があるのは、年金収入などによって、適用される資産額が変わるからです。
軽減措置が受けられなければ、特養の入所費用は月々13〜16万円くらいかかります(個室の場合)。介護付有料老人ホームの費用負担の高い都市部を除けば、特養と介護付有料老人ホームの値段差はかなり狭まっているのです。
「介護が必要になったら、特養」と考える方は今でも多いですが、要介護3以上でないと申請ができない現実や、資産基準の導入によって安い施設とは限らなくなっていることを知る必要があります。
きゅうべいさんは退職して時間ができたら、ご自分の資産や年金で入居できる高齢者施設を具体的に見つけるためにも、積極的に高齢者施設を見学してみてください。
見学はしてみたものの、どうしても在宅での介護を希望する場合は、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」のサービスを提供している介護事業所が、近所にないかを調べてみてはいかがでしょうか。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービスは、一定の料金で24時間の介護が受けられ、看護についても随時対応してもらえるシステムです。夜間帯の対応もしてもらえるありがたいシステムですが、多くの事業所では新規受付が難しいくらい混んでいる現実もあります。
一人暮らしの方にとって、介護が必要になってから、地域の介護サービスを探すのは大変なので、自立している今の間に地域の介護サービスについても調べておくことをおすすめします。
回答者プロフィール:畠中雅子さん
はたなか・まさこ 1963(昭和38)年生まれ。ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)。『70歳からの人生を豊かにするお金の新常識』(高橋書店刊)他、著書は70冊以上。また「ミニチュアワールドと観光列車」に造詣が深くブログを開設している。
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