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50代からの女性のための人生相談・146
人生相談:家賃が高い!今のままでは年金生活が不安…
ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)
畠中雅子
公開日:2023.08.25
「50代からの女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が回答するQ&A連載。今回は56歳女性の「娘が巣立ち一人暮らしになって、引っ越すか検討中。今の家は家賃が高すぎて…」というお悩みに、ファイナンシャルプランナー・畠中雅子さんが回答。
56歳女性の「娘が巣立ち、今後の住まい」についての相談
娘(23歳)と二人暮らでしたが、この4月から娘は就職して一人暮らしを始めました。
今、私が住んでいる家は賃貸で、一人で住むには少し広いです。家計の負担にもなっているので、狭い部屋に引っ越そうかと思っていますが、腰に持病があり、職場からあまり離れた場所に住むことができないので、転居先の範囲も限られます。
今は正社員で働いていますが、勤務期間が短かったため、年金も雀の涙ほど……。娘には娘の生活があるので、頼ることもはばかられます。
娘を幼少期からずっと私一人で育て、娘の大学の学費も奨学金に頼らず一人で支払ってきたので、貯金はほぼありません。
貯金もなく持ち家もない、年金も少額、親の財産や残した家などもない状態で、今の家に住み続けると、定年後は確実に家賃だけで年金受給額を上回ってしまいます。
今の私の一番の悩みは、家賃のことです。老後のために、まず何から始めたらいいのでしょうか?
(56歳女性・悩める50代さん)
畠中さんの回答:なるべく早く「引っ越し」を
娘さんが幼い頃から、お一人で子育てをされてきたとのことで、ご苦労も多かったと想像します。ようやく自分の人生について考えられるようになったら、老後のお金の不安が襲ってきたという感じでしょうか。
まずは、家賃の問題からお話しします。年金で暮らすようになったら、年金額を家賃が上回ってしまうと、遠くない時期に貯蓄が底をついてしまうでしょう。仕事をされている今のうちに、住み替え先を探して生活コストを下げておくのが現実的だと思います。
賃貸物件を探す際は、国交省がバックアップしている「セーフティネット住宅」で検索してみる方法もあります。
セーフティネット住宅は、保証人がいない高齢者の住まい確保などを目的として実施されている制度で、全国の賃貸物件が登録されています。お住まいの県と市町村名を入力して、職場の近くに賃貸物件がないか調べてみてはいかがでしょうか。
築年数の古い物件が多く登録されていますが、1か月2~3万円台の部屋を見つけることも可能です。
セーフティネット住宅で見つからない場合は、職場までの交通機関のアクセスを考えて、乗り換えがない範囲で、上限家賃を決めつつ、探してはいかがでしょうか。
仕事を辞めて、居住地域に制限がなくなったら、市営住宅のような公営住宅の抽選に応募する考え方もあります。数回程度では当たらない可能性もありますが、落選履歴が多いほど、当たる確率は高くなるのが一般的なので、応募できる物件を見つけて、何回でも応募することをおすすめします。
貯蓄が底をつきかけたら、生活保護の申請も視野に
さて次は、仕事を辞めて、収入が年金だけになった場合の生活についてです。
家も貯蓄もないということであれば、生活保護の受給も視野に入れてはいかがでしょうか。生活保護の場合、全財産が10万円を切ったあたりで申請ができるようになります。
年金の受給額は保護費から差し引かれますが、生活保護が受給できると、生活費や住居費などを補填してもらえるだけではなく、医療費が無料になります。医療費の負担がなくなるのは、高齢期に入った方にとって安心感が高いポイントと言えます。
生活保護の受給がスタートすると、公的な健康保険制度からは抜けて、自治体が医療費の全額(10割)を負担してくれます。
また、介護が必要になった場合も、介護扶助という名目で介護費用が助成されます。特別養護老人ホームや老人保健施設への入所も、多床室に限られるものの、可能です。
生活保護の申請をする際、娘さんへの支援(扶養照会)を求められるのではないかと心配されるかもしれませんが、娘さんの生活に余裕がなければ、そのことをきちんと自治体に伝えれば考慮してもらえます。またおおむね65歳を過ぎていれば、働くことをすすめられることもありません。
巣立った娘さんのためにも生活費の確保を
生活保護の受給については、抵抗感もあるかと思いますが、貯蓄がほとんどない中で、極度の節約を続けていけば、健康を蝕む可能性があります。健康を蝕んでも、医療費が心配で病院の受診ができないような状態に陥ったら、病気が発覚したときには重症化している可能性もあるでしょう。
そんなことになったら、娘さんは間違いなく悲しまれるはずです。
生活保護の申請をできるだけ先延ばしにできるよう、現役時代にはできるだけ貯蓄を増やしつつ、貯蓄が底をつきそうになったら、健康を維持したり、命をつなぐためにも申請を検討してみてはいかがでしょうか。
回答者プロフィール:畠中雅子さん
はたなか・まさこ 1963(昭和38)年生まれ。ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)。『70歳からの人生を豊かにするお金の新常識』(高橋書店刊)他、著書は70冊以上。また「ミニチュアワールドと観光列車」に造詣が深くブログを開設している。
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