【Up select】オトナ女性が着回せる夏服
コンプレックスを飼いならすおしゃれ術#1
体型コンプレックスは消さなくていい。XXLのスタイリストが見つけた答え
「体型に自信がなく、好きな服が似合わない」と悩む人へ。SNSフォロワー22万人、XXLサイズの人気スタイリスト、安井百合子さんは「コンプレックスは克服ではなく“飼いならす”のが大切」と言います。自分らしいおしゃれを楽しむヒントを紹介します。
撮影/Jo Moriyama
※本記事は、書籍『コンプレックスを飼いならして「好き」を着こなす センスのトリセツ』(高橋書店)より一部抜粋して構成しています。
教えてくれた人:安井百合子(やすい・ゆりこ)さん
パーソナルスタイリスト・ファッションコンサルタント。「隠すを魅せるに変える」をモットーに、コンプレックスの取り扱い、チャームポイントを表現するメソッドやノウハウをファッション・ヘアメイク・マインドのトータルでコンサルティングするスタイリストとして活動。
SNSでは「ノースリーブは飼いならす」などの名言を生みだし、ファッションコンサルティングの枠を超えたメッセージが共感を呼び、22万人以上のフォロワーから支持を得ている。
自分はおしゃれの「センスがない」と思っている人へ
あなたは、「センスがあるね」と言われたことはありますか?
その響きは、まるで特別な才能を持っている人だけに与えられる称号のように感じるかもしれません。
しかし、センスとは生まれつき持っている能力ではなく、いつからでも育てることのできる力です。
ファッション分野以外でも、あらゆるシーンでセンスは必要とされます。
会話の切り返し、言葉の紡ぎかた、料理の味つけや盛りつけ、インテリア、収納や掃除、手土産、サプライズの演出、仕事のやりかた......。そのすべてに、センスの有無が反映されます。
センスとは、あなたがこれまでに見て、感じて、記憶してきたものすべての総和です。言い換えれば、今まで蓄えてきた知識に基づく判断能力なのです。
たとえば料理を盛りつけるとき、「このお皿のほうが、おいしそうに見える」と自然に選んでいませんか?
手土産を選ぶときは、「あの人は甘いものが好きだったな」と思いをめぐらせるはずです。整理整頓をする場合は、収納効率を高めながら、おしゃれに見せるにはどうすればいいかを考えますよね。服を買うときは、「こっちの色は顔映りがいい」と瞬時に判断して手を伸ばすでしょう。
その判断の裏側には、あなたがこれまで見てきた色や形、触れてきた体験が眠っています。
そう、センスとは、これまでの知識と経験が、あなたの身体に沈殿してできた「判断の引き出し」なのです。
では、ここで言う「知識」とは何のことでしょうか?
本や雑誌、SNS、ピンタレスト(ネット上で好きな画像や動画を保存・収集・整理できるサービス)などで、好みのテイストやアイデアをたくさん見て目を養うこと。それらは、立派な知識と言えます。
ただし、このように意識的に集めた情報だけが知識ではありません。街角で偶然すれ違った人の着こなし、旅先で見た夕焼けの色、異国の街並みの色使い、祖母のタンスに並んでいた着物、ちょっと背伸びして入ったおしゃれなカフェ......。それらすべてが、あなたのセンスに影響を与えます。
「あ、いいな。好き」「素敵」「初めて見た」「なんだ? あれ」こんなふうに感情とともに記憶した日常の景色のひとつひとつが、後々ふとした瞬間に顔を出します。そして「素敵」「美しい」「ダサい」という判断を下すベースとなるのです。
おしゃれな人が「正解探し」をしない理由
さらに、センスを育てるうえで重要なのは、集めた知識の量よりも、その知識についてどれだけ関心を持って観察できたかです。
同じ雑誌を読んでいても、ただページをめくるだけの人と、「このコーディネートはなぜ素敵に見えるのだろう」と考える人とでは、センスの伸びかたに差が出ます。もちろん、後者のほうが確実にセンスは磨かれます。
では、そのセンスに正解はありますか?
ありません。正解はないのが、センスです。
考えてみてください。絵が大好きな2人の小学生に自分の肖像画を描いてもらったとしましょう。
ひとりはアニメや漫画が好きで、小さい頃から好きなキャラクターの模写を趣味にしていた子。もうひとりは幼い頃からアートのワークショップや美術館、ギャラリーに出入りし、絵を自己表現のツールとして捉えている子。
きっとアニメ好きの子は黒いアウトラインで輪郭をしっかり描き、きれいなフェイスラインやしなやかな肢体にキリッとした目鼻立ちをした表情豊かな肖像画になるでしょう。
もうひとりのアート好きの子は、自由な色彩で、もしかしたら鼻の穴や歯まで描き上げて、なんともユニークな肖像画になるかもれしません。
この2つの肖像画のうち、どちらが正解でしょうか?
その質問自体がナンセンスであることに気づくはずです。そう、2人ともいいのです。
2人のこれまでの関心が画角いっぱいに表現されていて、それぞれ際立った個性を放っています。今まで見てきたもの、関心を注いできたもの、探求と練習を重ねてきたものが、その肖像画に表れているのです。
「好き」を信じることがセンスを育てる
さらに大事なのは、自分をどう捉えているか、自分の個性をどう信じているかも絵に表れるということです。絵を評価する際に重要なのは、技術のうまさではありません。関心のあるものへの探求をどれだけ重ね、自分の表現したいことが他者にどれほど伝わるかが重要なのです。
ファッションもまったく同じです。
ひとつの正解を探すのではなく、自分の関心を重ねた先に生まれる「あなたらしさ」をベースにした判断こそが重要なのです。
自分の関心を信じ続けることで、センスは必ず磨かれていきます。
日々センスを磨くことで、漠然としたイメージで判断していたものが、意識的な判断へと変わっていくでしょう。
そして、そのセンスをどう表現していくかを考えることが、ファッションの楽しさの始まりです。
- センスとは生まれつきの才能ではなく、蓄えた知識に基づく判断力
- 知識量よりも、「なぜ素敵なのか」と問い続けることがセンスを育てる
- センスに正解はなく、自分の関心の積み重ねが生む判断こそが唯一の答え
Action
「自分の判断の傾向を知る」
- 今日、「素敵だな」と思ったものの画像をスマホに1枚残す
- 1の画像が素敵だと思った理由を、ひと言だけメモする
- 1と2を1週間続けて、自分の判断の傾向を探してみる
「もう50代だから」「若づくりはしたくない」――そんな思い込みが、おしゃれを楽しむ気持ちを縛っているのかもしれません。
次回は、センスを育てるために手放したい“年相応”という呪縛についてお話しします。
■「コンプレックスを飼いならすおしゃれ術」をもっと読む
#1 体型コンプレックスは消さなくていい。XXLのスタイリストが見つけた答え
#2 センスはパジャマで育つ !?「おしゃれは年相応に」の呪縛を手放す方法
#3 50代からのおしゃれは「枯れ」が武器。年齢を魅力に変える7つのアイテム
もっと詳しく知りたい人は
『コンプレックスを飼いならして「好き」を着こなす センスのトリセツ』安井百合子・著(高橋書店)
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