【Up select】オトナ女性が着回せる夏服
コンプレックスを飼いならすおしゃれ術#2
センスはパジャマで育つ !?「おしゃれは年相応に」の呪縛を手放す方法
「もう50代だから」「好きだった服が似合わなくなった」――そんな思い込みがおしゃれを苦しくしているのかもしれません。人気スタイリスト・安井百合子さんが、「年相応」の呪縛を手放す考え方と、毎日の小さな選択からセンスを育てる方法を紹介します。
INDEX
※本記事は、書籍『コンプレックスを飼いならして「好き」を着こなす センスのトリセツ』(高橋書店)より一部抜粋して構成しています。
教えてくれた人:安井百合子(やすい・ゆりこ)さん
パーソナルスタイリスト・ファッションコンサルタント。「隠すを魅せるに変える」をモットーに、コンプレックスの取り扱い、チャームポイントを表現するメソッドやノウハウをファッション・ヘアメイク・マインドのトータルでコンサルティングするスタイリストとして活動。
SNSでは「ノースリーブは飼いならす」などの名言を生みだし、ファッションコンサルティングの枠を超えたメッセージが共感を呼び、22万人以上のフォロワーから支持を得ている。
センスを磨くために手放すこと(1)「年相応」という呪縛
「もう〇歳だから、若い頃のような服は似合わない」
「大人なんだから落ち着いた色を選ばなきゃ」
これらの言葉は、一見もっともらしいのですが、実際にはおしゃれの可能性を狭める足かせです。
ファッションにおける年相応って、そもそも何ですか?
あえて言い当てるとすれば、多くの人がなんとなく思い描く、その年齢の人が着ていそうな平均的な格好。これが年相応です。
自分のスタイルを確立している人、つまりセンスのある人ほど、この年相応という呪縛から自由なのです。でも、「若づくり」も「イタい」のも嫌なのが本音ですよね。
では、どうすればいいのでしょうか?
まず、言葉を正しく定義しましょう。若づくりとは、外見だけを若い子のように真似することです。
そして、イタい格好の対義語は年相応ではありません。イタい服装の対極にあるのは、魅力的な服装です。何がイタいかと言うと、独りよがりで自己中心的な見せかたがイタいのです。
魅力的な服装とは、見る人を心地よくさせ、その場に華を添えられるような、もてなしの観点から考えた装いです。
ですから、服を選ぶときは年齢を基準にするのではなく、「今の自分にどんなエネルギーを与えてくれるか。周囲に自分をどう魅せるか」を基準にすることが大切です。
センスを磨くために手放すこと(2)好きだったものへの執着
「好きだったものが似合わなくなった」
これは、私に寄せられる相談のなかで多い質問のひとつです。
それ、当たり前です。なぜなら、あなた自身も環境も価値観も進化しているからです。好きなものは、人生経験とともに変化します。もしくは、好きなものの取り入れかたが変わるのです。実例をもとに説明しますね。
私は若い頃エスニックスタイルが大好きでした。高校生の頃は自分で髪をコーンロウ(細かく編み込むヘアスタイル)にしたり、ターバンを巻いたり。部屋のインテリアもアジアン雑貨店をそのまま再現したような雰囲気でした。なにより比較的安価なのがうれしくて、足しげくエスニック雑貨店に通っていました。
あれから20〜30年近くたち、今でもエスニックなものには心奪われますが、取り入れかたが変わりました。伝統や手仕事を感じさせるもの、代々愛されて大切にされてきた歴史を感じるものを、今の都会的な暮らしのなかに溶け込ませるのがとても好きです。
関心を持ち続けてさえいれば、「好き」は自然と更新されていきます。
昔好きだったということは、どこかで関心が途絶えたのです。
過去に似合っていたものを無理に持ち続けることは、アップデートした自分を見失う原因になります。
不要なものを手放すと、視覚的にも心理的にも余白が生まれます。この余白こそが、センスを育てる空間です。
パジャマ、何を着てますか?
センスを育てるトレーニングは、誰も見ていない時間から始まります。つまり、毎日着ているパジャマや部屋着こそがスタート地点なのです。
- ラクだからと、毛玉だらけのスウェットをパジャマにする人
- 自分が気分よく眠れるからと、肌触りのいいリネン素材のパジャマを着る人
- 誰にも見られないからと、保存容器から直接ご飯を食べる人
- 誰もいないのに、お気に入りの食器で気分よく食事をする人
これらの選択には、あなたが何を快適と感じ、何に心が動くのかが表れています。
素の自分に何がふさわしいのか─ ─その価値観が最も明確に表れるのが、プライベートな空間で何を選ぶかなのです。
こうした小さな選択の積み重ねが、自分は何に価値を置くのかというセンスの土台を形づくっています。
じつは、私はパジャマを持っていません(笑)。私は部屋着で寝る人です。でもパジャマ派か部屋着派かは、論点ではないのです。
ここで言いたいのは、寝室のイスに無造作にかけられた部屋着、洗面所で無心になって歯みがきをしている姿。それらをパチリと写真におさめたら、その風景にあなたは愛着がわくかどうか、ということです。
ここが、センスをものにしている人とそうでない人のわかれ道。
センスは誰も見ていない時間に育つ
たとえば私は、部屋着にアクセサリーをつけられるかどうかで、手元に置いておく部屋着を審査します。
耳元に小さなピアスを、または首に控えめなパールやチェーンのネックレスをつけて何か羽織れば、1マイルコーデ(1マイル=約1.6km圏内の近所に出かけられる服装)になるか。
そのまま外出できると感じるなら、その部屋着に身を包んだ素の自分の状態に愛着がわいている証拠と見なすわけです。
誰に見せるわけでもないのに、お気に入りのワンピースを部屋着にしている人がいます。これは一見贅沢ですが、じつはセンスを育てる最高の練習法です。
なぜなら、自分のために装う意識を持つと、他人の視線から解放されて、本当に自分の好きなスタイルが浮かび上がるからです。
他人の評価ではなく、「装いを通して自分がどう感じたいか」に目を向けることで、自分の内面への誠実さが研ぎ澄まされていきます。
だからこそ、まずはパジャマや部屋着を選ぶときに、心地よさと美意識を両立させることから始めましょう。
手間はかかりますが、確実にあなたのセンスを育む一歩になります。今ある服のなかから、いかにも私らしいお気に入りの一枚を選んでみてください。
- センスは、他人に見せない時間に育つ
- 自宅にいるときの毎日の選択は、自分の関心と知識の軌跡
- パジャマや部屋着は、自分へのもてなしを学ぶ教材
Action
「パジャマからセンスを育てる」
- 今夜パジャマを着るとき、「これを着て私は気分が上がるか?」と問いかける
- 1の問いの答えが「NO」なら、その理由を考える。そして、気分が上がる1 枚を選び、明日からの定番にする
次の記事では、年を重ねた「枯れ」を生かすヒントをお伝えします。
■「コンプレックスを飼いならすおしゃれ術」をもっと読む
#1 体型コンプレックスは消さなくていい。XXLのスタイリストが見つけた答え
#2 センスはパジャマで育つ !?「おしゃれは年相応に」の呪縛を手放す方法
#3 50代からのおしゃれは「枯れ」が武器。年齢を魅力に変える7つのアイテム
もっと詳しく知りたい人は

『コンプレックスを飼いならして「好き」を着こなす センスのトリセツ』安井百合子・著(高橋書店)
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