エッセー作品「限界野菜」甲斐てい子さん
通信制 山本ふみこさんのエッセー講座第9期第1回
「塩なのに」濱本祐子さん
随筆家の山本ふみこさんを講師に迎えて開催するハルメクの通信制エッセー講座。参加者の作品から山本さんが選んだエッセーをご紹介します。第9期1回目のテーマは「塩」。濱本祐子さんの作品「塩なのに」と山本さんの講評です。
「塩なのに」濱本祐子さん
塩なのに
広島に引っ越して来た中学生の頃、私はプロ野球では阪急ブレーブスを応援していた。
私が野球好きとわかると、周りから「どうしてカープを応援しないの?」「広島ならカープファンでしょ?」と言われた。ものすごく反発した。別にどこを応援したっていいじゃないか、そんなこと強制されてたまるか、私は幼稚園のときから阪急を応援しとるんじゃけえ、ほっといてくれんかのう? (応援してるのだから、放っておいてくれませんか?)
しかし40年も住んでみると、すっかり「カープ女子」に成り代わっていた。
シーズン中、時間がある時はテレビで試合を見る。でも夜の試合(ナイター)だと、食事の準備をしていたり、仕事の片付けをしていたりの時間なので、ラジオで聞くことが多い。耳で聞いているだけでも、説明が詳しいから、そこそこ何があったか分かる。
ありがたいことに、地元の中国放送(RCC)はカープの試合は必ず中継をしてくれる。地元で良かったと思う瞬間でもある。あんなに反発していたくせに。
さて、野球の場合、攻撃守備の切り替え時に時間ができるので、そこに必ず宣伝が入る。
この音声のみの宣伝、スポンサーが固定なのか(たまに新しいものもあるが)、流れる順番がここ10年くらい変わっていないような気がする。
「まっすぐに~のびる町並み……〇〇不動産」「瀬戸内の小さな島で……あ○びとの~藻塩!」「リーリーリー、お母さん選手リードが大きい! 走った~!(リフォーム会社)」「呼ぶなら早い〇〇タクシー」そして「べりぃかーぷ! あーるしーしー、カーーープナイター!!(小林克也さん)」
すべてそのまま脳内再生でき、歌えるようになってしまった。刷り込みって怖い。
その中に出てくる「あ○びとの藻塩」。
そうだ、瀬戸内は塩の産地だった。地元にいながらよく知らなかった。そして我が家では同じ瀬戸内、対岸の愛媛のメーカーのものを使っている。塩の宣伝なのに私には刷り込まれていないようだ。なんだかごめんなさい。
10月になり、2024年のカープの試合はすべて終わった。
長年使って変色している無印良品の防水ラジオの電池も抜いて、片付けた。
また次の春に同じ宣伝を聞くのを楽しみに待ちながら、半年過ごそう。
山本ふみこさんからひとこと
好きなところ?
とくに好きなのは、ここですとも。
私が野球好きとわかると、周りから「どうしてカープを応援しないの?」「広島ならカープファンでしょ?」と言われた。ものすごく反発した。別にどこを応援したっていいじゃないか、そんなこと強制されてたまるか、私は幼稚園のときから阪急を応援しとるんじゃけえ、ほっといてくれんかのう?
そのあと藻塩がほか、いろいろ登場したりしますが、構成な確かなことから、しみじみと伝わります。
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通信制 山本ふみこさんのエッセー講座とは
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は講座の受講期間の半年間、毎月1回出されるテーマについて書き、講師で随筆家の山本ふみこさんから添削やアドバイスを受けられます。
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