空き家4年、維持費100万円からの脱却 #2
築56年の実家、売るか迷ったときに不動産屋選びで大切にしたこと
築56年の実家、売るか迷ったときに不動産屋選びで大切にしたこと
更新日:2026年03月14日
公開日:2026年03月05日
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「条件」よりも大切にしたかった、不動産屋との相性
査定を依頼するにあたり、私はまず「どの不動産屋さんに相談するか」で迷いました。地元の不動産会社3社のホームページを確認し、そのうち2社に、あえてアポを取らずに店舗へ足を運びました。
店内に入ったときの雰囲気、清潔感、活気。「この不動産屋さんにお願いしたいと思えるか」を、自分の目で確かめたかったのです。
実は私は、 過去に約3年間、不動産会社でパートとして働いていた経験があります。そこで感じていたのは、不動産の仕事は「条件に合う物件を紹介するだけ」ではない、ということでした。お客様の希望をよくくみ取り、伴走しながら、心から納得できる物件を紹介すること。それが何より大切な仕事だと感じていました。
条件が合っていても、タイミングが合わず話が流れることもあります。それでも、後日ご縁がつながったり、別の方をご紹介いただいて話が動いたりすることもある。
「不動産には、ご縁がある」そんな場面を、私は何度も見てきました。だからこそ、「この不動産屋さんにお願いしたい」そう自分が納得できなければ、大切な実家の相談はできない。当時の私は、そう思っていました。
2社の提案を受けて見えた「売却が有利」という現実
実際に相談した2社からは、どちらも売却をすすめられました。金額もそれほど差がなく、相場感がわかりました。
なぜ売却がおすすめなのか。それは、私の実家が築古でも条件を満たせば、有利に売却できる税金優遇措置があったからだと思います。
相続空き家の3000万円特別控除。ただし、(大ざっぱに言うと)相続後3年以内の売却であることや、解体・修繕など、いくつかの条件があります。
制度としては魅力的でした。でも、そのときの私は、この制度を使って売却する決断ができそうにありませんでした。
査定額については、1社は、地元地区の開発から携わってきた不動産会社。近隣でも利用者が多く、売却価格の提示も情報が豊富で、納得感のあるものでした。ただ、その会社は売買専門で、賃貸は扱っていません。
もう1社は、後発ながら活気のある不動産会社。賃貸仲介や管理も行っており、賃貸の可能性を相談すると、こんな提案をしてくれました。
築56年の家に400万円——そのとき感じた小さな違和感

「400万円ほどかけて内装を整え、月10〜12万円で貸す」
金額自体は確かに相場通りで、新しいキッチンを入れ、内装を整える -、一見すると、ワクワクするようなプランでした。
でも、そのとき私の中で、小さな不安がよぎりました。築56年の家に、400万円。その費用は、本当に現実的に回収できるのだろうか?
私がやりたかったのは、大規模リフォームをして収益を最大化する賃貸ではありません。今ある家の良さを生かし、借金をせず、家を残す賃貸。それが、私が思い描いていた形だったはずです。
不動産屋から聞いた「現況賃貸」という選択
私が以前働いていた不動産屋さんは、築古物件でも「今あるものをどう生かすか」を大切にする会社でした。床材や壁紙を選びながら、お金をかけすぎず、丁寧に掃除をし、家を少しずつ生まれ変わらせていく。そんな現場を、私は間近で見てきました。
だからこそ、「私の実家も、やり方次第で、そこまでお金をかけずに貸せるのではないか」そう思うようになったのです。
そこで私は、元勤務先の不動産屋さんに相談しました。すると提案されたのが、「現況賃貸+最低限の修繕」という方法でした。
リフォーム費用の目標額は、100万円。それなら、本当に賃貸に踏み切れるかもしれない。私の気持ちは、ここで一気に賃貸へと傾きました。
管理を“丸投げしない”という選択
賃貸に出すなら、管理はすべて任せるもの。私はずっと、そう思い込んでいました。「地元の不動産屋さんにお願いしたほうが、その後の管理がラク」そんなイメージが、頭の中にあったのです。
管理会社にお願いすれば、入居中のトラブル対応もすべて任せられる。だから、物件に近い不動産屋さんが便利——そんな構図を、当たり前のように考えていました。
でも、よく考えてみると、実家の管理であれば、今までお願いしていた大工さんや電気屋さんの手配は、自分でもできます。だったら、管理重視で地元の不動産屋さんにお願いしなくてもいいのではないか。そう考え、私は本格的に、元上司にリフォームから仲介まで、全面協力をお願いすることにしました。
リフォーム目標100万円。できることは全部、自分でやる
「現況賃貸+最低限の修繕。リフォーム目標100万円」
そう決めてから、信頼できる不動産屋さんの協力を得られたことで、私は一気に前向きになりました。
夜逃げ同然の部屋を空にして磨き上げたり、築古物件をリフォームして民泊のお部屋にした過去の経験も、ここで生かせるかもしれない。そんな気持ちが、自然と湧いてきたのです。
そう思うと、大量のモノの処分や、途方に暮れるほどの掃除も、不思議と一気にがんばれました。家の中は、母が施設に入っている間も、「一時帰宅で戻るかもしれない」と思って、ほぼ母仕様のまま。
ここから、大量のものを手放す作業が始まりました。




