「いつもの朝食」のつもりが…毎日50gで大腸がんリスク18%増?
その一口が引き起こす「健康負債」#3
65℃を超える『非常に熱い飲み物』に注意!食道がんリスクを高めるNG習慣チェック
飲み物は淹れたてをすぐ飲む、料理は熱々派の人は、注意が必要です。実は、熱さが食道粘膜へじわじわダメージを与えていることも。まずは食道への危険度がわかるリストを今すぐチェック。食道を守る温度の目安と予防習慣をDr.パンダさんが解説します。
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教えてくれるのは、医師・Dr.パンダさん
どくだーぱんだ 患者と向き合う中で、医学や健康に関する情報の受け取り方の重要性を実感し、YouTube「やさしい予防医学チャンネル【医師解説】」で発信を開始。生活習慣、予防医学、食事、医療に関する一般的な情報を、わかりやすく解説している。著書に『毎日の小さな習慣が病気をつくる ヤバい健康負債』あさ出版 刊
※本記事は、書籍『毎日の小さな習慣が病気をつくる ヤバい健康負債』より一部抜粋して構成しています。
あなたは1つでも当てはまる?食道の危険度チェック
第1回は「加工肉」、第2回は「甘いドリンク」と大腸がんの関係を紐解いてきました。今回は、日常の「熱々ドリンク」習慣に潜む食道へのリスクと、危険度チェックについて解説します。
一般的に食道がんの主な原因として知られているのは喫煙や飲酒の習慣です。タバコとお酒はそれぞれ食道の細胞を傷つけ、がんのリスクを高める代表的な要因です。しかし近年、「非常に熱い飲食物」 の習慣も食道がんのリスク要因として注目されています。
皆さんは次のような「熱いものの摂取」をする習慣に心当たりはないでしょうか。
【危険度チェックリスト】
□ 淹れたてのお茶やコーヒーを「湯気が立っているうちに」すぐ飲む
□ スープやラーメンを熱々のまま食べる
□ 鍋料理は熱さを我慢して食べるものと考えている
□ 熱いものを食べたあとに口内炎や喉のヒリヒリが度々起きる
チェック項目に一つでも当てはまった方は、食道の粘膜に負担をかけやすい飲食習慣があるかもしれません。実は、日々の「 熱いもの」 の摂取が粘膜へダメージを与えて、食道がんや食道炎のリスクを高めると、多くの研究や国際機関の報告から明らかになりつつあるのです。
「熱いものの摂取」というと定義が曖昧ですが、国際がん研究機関は、65℃を超える非常に熱い飲み物について、食道がんとの関連があるとして「おそらく発がん性がある」と分類しています。これは、飲み物そのものよりも、温度による食道粘膜への熱刺激が問題と考えられているためです。
そのため、「熱いもの」の目安として「65℃を超えるような、口に入れた瞬間に熱いと感じる飲食物」 と考えることにします。湯気が強く立っているお茶やコーヒー、煮えたぎったスープ、熱々のラーメンなどは、この温度帯に近い可能性があります。
舌や喉がヒリヒリする、口の中を軽くやけどする、といった感覚がある場合は、食道にも同じような熱刺激が加わっている可能性があります。
なぜ「熱さ」だけで食道の粘膜が傷ついてしまうのか
なぜ「熱いもの」ががんや食道炎のリスクを高めるのでしょうか。
口の中は熱さを敏感に感じますが、実は食道も熱すぎるものが入ってくるとその粘膜がやけど状態になります。
例えば、出来立てのたこ焼きや湯豆腐を急いで飲み込むと、粘膜に軽いやけどのような症状や炎症を起こすことがあります。胃には粘液によるバリアがあるため一度の摂取で深刻なやけどになることは稀ですが、食道は粘膜が薄く繊細なので、高温に繰り返しさらされると小さな損傷が蓄積しがちです。その結果、粘膜に炎症が起き、細胞が傷つくことになるのです。
熱いものを摂取すると食道の粘膜が反復して損傷を受け、その度に細胞の修復・再生(細胞分裂)が繰り返されます。この慢性的なダメージと再生の繰り返しが、細胞の遺伝子にエラーを起こさせやすくし、がん細胞が発生するリスクを高めると考えられています。
アルコールやタバコは食道細胞のDNAを傷つける代表的な刺激ですが、高温の飲食物も、物理的な熱刺激として食道粘膜を傷つけるのです。
国際がん研究機関は伝統的に熱いお茶やマテ茶を飲む中国・トルコ・南米などの地域では、飲む温度が高いほど食道がんの発生リスクが増加したと報告しています。
また、イラン北東部ゴレスタン州で行われた調査では、非常に熱いお茶を飲む人で食道扁平上皮がんとの強い関連が認められました。このように、飲食物の種類よりも「熱さ」が重要なリスク因子であることがわかります。
気付いたときには進行?食道がんの知られざる怖さ
食道がんは、食道(口から胃へ食べ物を運ぶ管)の粘膜から発生する悪性腫瘍です。初期にはほとんど自覚症状がありませんが、進行すると胸の違和感や喉のつかえ、飲み込みづらさ、体重減少、胸や背中の痛みなどの症状があらわれることがあります。
食道がんが怖いのは、初期にはほとんど自覚症状がない一方で、症状が出る頃には病気が進んでいることが少なくない点です。
食道は食べ物の通り道であるため、腫瘍が大きくなると「食べ物がつかえる」「飲み込みにくい」「胸の奥がしみる」「体重が減る」といった症状が出てきます。さらに、食道は気管、肺、大動脈など重要な臓器の近くを通っているため、進行すると周囲の臓器に広がったり、リンパ節に転移したりして、治療が大がかりになりやすいのです。
ちなみに、熱いお茶そのものもリスク要因ですが、これに喫煙や大量飲酒が加わると、リスクは一層高まります。
中国の約45万6000人を対象とした大規模研究では、毎日「非常に熱いお茶」を飲み、さらに1日15g以上のアルコールを摂取している人は、お茶を週1回未満しか飲まず、アルコール摂取量が1日15g未満の人に比べ、食道がんのリスクが約5倍に上昇していました。
また、現在喫煙していて、毎日「非常に熱いお茶」を飲む人では、お茶を週1回未満しか飲まず、喫煙していない人に比べ、リスクが約2倍でした。この研究から、熱いお茶を飲む習慣に飲酒や喫煙が重なると、食道がんリスクとの関連がより強くなることが示されています。
つまり、これらの研究から、「熱いもの+タバコ」「熱いもの+お酒」の組み合わせは、単独以上に食道への有害な影響が大きいことがわかります。
今日からできる!食道を優しく守るための冷まし術
食道がんや食道の炎症を予防するには、とにかく熱々の状態で飲食しない習慣を身につけることが第一です。
健康のためには熱々で飲むのは避け、少し時間を置いて温度を下げてから口にするよう心がけましょう。目安として、湯気がおさまって、カップを触ったときにほんのり温かい程度が適温です。
急いでいるときなどは、お水で割る、氷を一つ入れる、ミルクを加えるなどして温度を下げても構いません。舌先で一口含み、「熱っ」と感じない温度まで冷ます習慣をつけましょう。
熱すぎる飲食物を習慣的に摂ることは、食道や胃の粘膜に余計な負担をかけます。がんだけでなく食道炎・胃炎などの予防のためにも、日頃から熱すぎる飲食は避けることが賢明です。
参考文献
・https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19325180/
・https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29404576/
※本記事は、書籍『毎日の小さな習慣が病気をつくる ヤバい健康負債』より一部抜粋して構成しています。
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、特定の臨床的診断や治療を代替するものではありません。
■その一口が引き起こす「健康負債」をもっと読む■
#1:朝食の定番でがんリスク!?大腸がんと関係する「あの食材」
#2:1日2杯飲むと危険?甘いドリンクと大腸がんの意外な関係
#3:熱いもの好きは注意!食道がんリスク「危険度チェックリスト」
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