「いつもの暮らし」を守る在宅避難と防災の知恵#3
災害時のスマホ活用術!命を守る9つの備えと被災後に必要な手続き
災害時にスマホをどう使う? 命を守るスマホの防災アプリや充電、安否確認など9つの備えを専門家が解説。さらに、在宅避難でも受けられる行政支援、罹災証明書の申請、被害写真の撮り方まで、被災前後に知っておきたい対策を紹介します。
INDEX
教えてくれた3人の専門家
鍵屋 一さん
かぎや・はじめ 跡見学園女子大学教授。一般社団法人福祉防災コミュニティ協会代表理事。内閣府「避難所の役割に関する検討委員会」座長などを務める。『だれでも防災』(中央法規刊)など著書・監著多数。
鈴木みきさん
すずき・みき 登山イラストレーター・執筆家・防災士。2018年の北海道胆振東部地震での在宅避難経験を機に、防災士を取得。『おうち防災チャレンジBOOK』(エクスナレッジ刊)など著書多数。
宮下由多加さん
みやした・ゆたか ITライター、防災士。「スマホで防災」を広めようと活動中。著書に『スマホで防災 家族も自分も守る! スマホで始める最新防災マニュアル』(ジャムハウス刊)がある。
災害時にスマホが命綱に!今から使い慣れておこう

災害時、情報を得て人とのつながりを保つために、スマホは命を支える最も大切な道具の一つ。「迷わず使いこなせるよう、日頃からスマホを活用して、アプリや設定を整えておきましょう」とスマホ防災に詳しい宮下由多加さん。
災害時のSNS投稿に注意!自宅特定や空き巣の危険も
「避難中」の投稿から留守であることがわかり、空き巣を招く恐れがあります。「被害状況を伝えたい」「救助要請」などの善意の投稿から、自宅が特定される危険性も。投稿は匿名が基本。慎重に発信して二次被害を防ぎましょう(宮下さん)。
スマホでできる防災対策!今すぐ確認したい9つの備え
1.緊急時の連絡は離れた場所の家族や友人を窓口に

被災地では通信が困難に。遠方の親戚や知人を情報の拠点にする「三角連絡法」が有効です。一方が被災した際、安全な側の人が情報を集めて届けるなど、支え合える連絡先を整理し、緊急時の窓口を決めましょう(宮下さん)。
2.自治体LINEを“友だち”にして、地元の情報を受信

約8割の自治体がLINEで災害情報を発信しています。給水所や炊き出しなど生活に直結する情報も届きます。使い慣れたアプリなら、非常時も迷わず操作ができ、情報をすぐに確認できます(宮下さん)。
3.迷わないために、信頼できる防災情報源を確認
災害発生時は、正しい情報を選ぶことが大切。更新が早く信頼性の高い「Yahoo!防災速報」や「NHK ONEニュース・防災」は、心強い味方。スマホにアプリを事前に入れ、操作に慣れておくと落ち着いて行動できます(宮下さん)。
4.スマホの地図で、避難ルートを歩いてみる

災害発生時は車での避難が難しくなるので、「Google マップ」や「Yahoo!防災速報」の避難場所リストなどを使い、避難所まで歩いてみましょう。所要時間や、段差など危険な場所がわかります(宮下さん)。
5.マイナンバーカードの保険証登録をしておく
マイナポータルアプリや医療機関の窓口などで、マイナンバーカードの保険証登録を済ませておきましょう。救急搬送時、意識がなくても受診歴や服用薬の情報が救急隊に共有され、適切な処置につながります(宮下さん)。
6.スマホの電源はモバイルバッテリー+乾電池を用意

モバイルバッテリーは、スマホを2回ほど満充電できる容量1万mAhが目安(4,000円前後~)。迷ったら大型電器店で相談を。乾電池式の充電器と乾電池も用意しておくと、停電が長引いても安心(宮下さん)。
7.スマホのアップデートを後回しにしない
OSやアプリを最新の状態にしておくのは、スマホを安全・便利に使うための基本です。「普段からの更新」を心掛ける習慣を。日々の備えが、非常時の確実な動作につながります(宮下さん)。
8.災害用伝言サービスを体験利用日に使ってみる

災害時に使える、声で安否登録する「災害用伝言ダイヤル(171)」と、文字で登録する「災害用伝言板(web171)」。相互に連携され、安否の確認ができます。毎月1日、15日などの体験利用日で練習を(宮下さん)。
9.いざというときの通知のため緊急速報を受信設定

緊急速報メールは、災害を知らせてくれる最も基本で重要な機能。多くのスマホでは最初からONになっていますが、設定→通知→緊急速報で一度確認を(機種により異なります)。通知音を大きな音で鳴らす設定にしておきましょう(宮下さん)。
被災後に受けられる行政支援とは?知っておきたい4つの備え

「被災後の暮らしの再建には、行政の支援と自分自身の準備が欠かせません」と鍵屋さん。公的支援は、原則として申請して初めて受け取れるもの。手続きや備えの優先順位を知っているだけで、安心感は大きく変わります。全体の流れを押さえておきましょう。
1.家が被災したら片づける前に写真を!撮影のポイント

「罹災証明書」(後述の3を参照)の発行に重要な資料となる写真。必ず片づけ前に、建物の全景と被害箇所のアップをいろいろな角度から多めに撮影しましょう。被害認定調査や保険金の支払いに大きく役立ちます(鍵屋さん)。
2.在宅避難でも支援物資はもらえる?知っておきたい制度

行政の支援は避難所で過ごす人だけのものと思いがちですが、在宅避難でも大丈夫。必要なときは避難所に行けば、給水や物資を受け取れます。ただし、災害直後は物資が不足しやすいので、数日は備蓄で乗り越える準備を(鍵屋さん)。
3.罹災証明書とは?被災後の支援を受けるための申請方法
「罹災証明書」は、支援金からNHK受信料の減免まで、さまざまな支援につながる入り口。家屋に被害があれば市町村の窓口で申請を。マイナポータルを通じてオンライン申請できる自治体も(鍵屋さん)。
4.自力で避難できるか不安なら?要支援者名簿への登録を

自力避難が不安なら「避難行動要支援者名簿」へ登録を。住所や必要な手助けが地域に共有され、災害時の素早い安否確認につながります。元気なうちに役所で手続きを(鍵屋さん)。
災害で家や車が被害に遭う前に!保険の補償範囲を確認
行政の支援金だけで、被災前の暮らしを取り戻すのは難しいもの。被害は家や車など多岐にわたりますが、すべてを完璧に備えなくても大丈夫。まずは「失うと困るもの」を優先し、火災保険・自動車保険などの補償範囲の確認を(鍵屋さん)。
取材・文=井口桂介(ハルメク編集部)、イラストレーション=鈴木みき
※この記事は、雑誌「ハルメク」2026年3月号を再編集しており、2026年2月時点の情報です。
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