エッセー作品「限界野菜」甲斐てい子さん
通信制 山本ふみこさんのエッセー講座第9期第2回
「種種雑多な世界」水木うららさん
随筆家の山本ふみこさんを講師に迎えて開催するハルメクの通信制エッセー講座。参加者の作品から山本さんが選んだエッセーをご紹介します。第9期2回目のテーマは「集める」。水木うららさんの作品「種種雑多な世界」と山本さんの講評です。
「種種雑多な世界」水木うららさん
種種雑多な世界
昔から切り抜きが好きだった。いつごろ始めたのかはっきり覚えていないが、気がつくと全国紙や雑誌の記事をハサミで切っては、茶封筒に入れたり、ノートに貼ったりしていた。相当長い年数がたっているからかなりの分量になっている。
文章。英語。美術。手仕事。料理。旅。ジョギング。毛糸遊び。朗読。歌。鳥。切手。クロスワード。
種種雑多な世界がどんどん広がっていく。興味は増していくばかりだ。
赤茶けた色に変わっている小さな切り抜きもある。ジョギングに夢中になっていたころ出場したマラソン大会の記録には思わずほおずりしたくなる。
いつのまにか山のような紙類の集まりは、「守り神」として役割を果たすようになってきた。集めようとして集めたのではなくて彼らの方から近づいてくるように思えることもあり、そんなときは強い味方を得たように感じる。
年を重ねると予期せぬ出来事が次々と起こってくる。経験したことのない事態になった時、解決の糸口さえ見つからない時、どうしたらいいのかがわからなくなって迷うことが少なくない。
なんとかなるさ。
なるようにしかならないさ。
開きなおったところに、「切り抜き力(りょく)」の出番である。
そうだ。これまで集めてきた、心に残る切り抜きの「言葉」をゆっくり読み直して、「お気に入りの言葉」だけを気にいっているメジロの写真を表紙にしてMy favorite wordsを作ろう。
山本ふみこさんからひとこと
自らが集めてきた切り抜きの価値を見出そうとして来し方をふり返り、作家はこんなふうに書くのです。
いつの間にか山のような紙類の集まりは、「守り神」としての役割を果たすようになってきた。集めようとして集めたのではなくて、彼らの方から近づいてくるように思えることもあり、
その後、ふと、「しかし現代に当てはまらない切り抜きもふえてゆく……」と思う日もあったことが綴られます。そのくだりを、わたしは「トル」(青ペン)としました。
いつの間にか……ではじまる魅力的なくだりを、ひっくり返す動機としては、弱い惑いであったからです。
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通信制 山本ふみこさんのエッセー講座とは
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は講座の受講期間の半年間、毎月1回出されるテーマについて書き、講師で随筆家の山本ふみこさんから添削やアドバイスを受けられます。
■エッセー作品一覧■
ハルメク旅と講座
ハルメクならではのオリジナルイベントを企画・運営している部署、文化事業課。スタッフが日々面白いイベント作りのために奔走しています。人気イベント「あなたと歌うコンサート」や「たてもの散歩」など、年に約200本のイベントを開催。皆さんと会ってお話できるのを楽しみにしています♪
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