旅行ジャーナリストの大人の旅提案 2
50代からの夫婦旅のススメ「界 奥飛騨」で取り戻す、ふたりの時間
人生100年時代、子育て後に夫婦で過ごす期間は自然と長くなります。そんな中「ごきげんにセカンドライフを過ごすため、夫婦で旅に出てみてほしい」と語るのは旅行ジャーナリストの村田和子さん。理由や旅のヒントを村田さんの夫婦旅を通じ紹介します。
INDEX
50代、旅という非日常だからかなう、再びの夫婦時間
子どもが巣立ち、夫婦ふたりの時間が戻る50代。いざ夫婦ふたりの生活に戻ると、月日の経過とともに変化した価値観や思いのすれ違いから、「落ち着かない」「会話がない」という声も聞かれます。
一方で50代は、定年後の生活やマネー計画、親の介護など、「これから」について考えるべき ことも増えてきます。
日常では後回しになってしまう大事なことを語り合う……そんな目的で夫婦旅を計画するのもいいものです。
「定年になったら夫婦で旅を」という方は多いですが、私は子どもの手が離れたら、早いタイミングでスタートすることをおすすめします。
長い年月の中で夫婦の価値観や生活スタイルが変化するのは自然なこと。それを認め、歩み寄りながら関係を育てることが、充実したセカンドライフへの一歩になるからです。
夫婦旅は「ふたりで決める」が鉄則
「夫婦旅」では、それぞれの希望を持ち寄り、一緒に計画をするのがおすすめです。どちらか一方だけで決めると、遠慮のない間柄だけに、小さな行き違いや何気ない一言から険悪なムードになることも。
「ふたりで決めた旅」なら、想定外があっても「責任は半々、お互い様」と受け止めやすくなります。
記念日にあわせて旅へ出るのもいいでしょう。私たち夫婦は、息子が社会人となり「子育て卒業記念」の旅を計画することに。
「ふたりとも訪れたことがない場所」を条件に、夫のこだわりである「温泉」、私のこだわりである「建築」を踏まえて検討。 。岐阜県奥飛騨温泉郷にある「界 奥飛騨」へ向けて旅立ちました。
初めての奥飛騨。想像以上の絶景に感動
名古屋駅から特急ひだに乗り、川沿いを走る風光明媚な車窓を楽しみながら飛騨高山駅へと向かいます。駅でレンタカーを借り、岐阜県の奥飛騨温泉郷にある「界 奥飛騨」までは約1時間のドライブ。
チェックインにはまだ早く、「ここは絶対に行きたい」と意気投合した新穂高ロープウェイへ向かうことに。2つのロープウェイを乗り継ぎ、3,000m級の山々の迫力ある景色に思わず感嘆の声が上がります。展望台からの360度に広がる北アルプスをはじめとした景観は想像以上に素晴らしく、心満たされながら「界 奥飛騨」へと向かいます。
地元の魅力が満載で滞在の期待が高まる
奥飛騨温泉郷は5つの温泉地からなり、「界 奥飛騨」があるのは、各地からの高速バスが発着する平湯温泉。
フロントへ足を踏み入れると、床には温泉の流れを表現した木目が一本すっと伸び、岩をイメージした椅子や、地層に着想を得たカウンターなど、奥飛騨の自然を表現した洗練された空間が広がり滞在への期待が膨らみます。夫は大浴場が深夜までオープンしていると聞いてうれしそう。
客室は、飛騨の木工技術である「曲木」をモチーフにしたヘッドボードが印象的で、カウンターには地元産の広葉樹を使った曲木チェアが一つ。
ソファのあるリビングスペースには、高山祭の山車にも施されている伝統工芸を用いたインテリアを配すなど、奥飛騨の文化を感じられます。
部屋を見て回る私の横で、夫は早々に作務衣に着替え、温泉に行く気満々。「16時にラウンジ集合ね」と約束し、しばし別行動をすることに。
中庭や近くの神社を散策し、ラウンジでハーブティーをいただきながら、自然と伝統が調和する心地よい空間で寛いでいると、温泉を満喫した夫が登場。「たぶん君が好きな温泉だよ」との言葉に、夜の湯あみが一層楽しみになります。
ふたりがそろったところで、温泉の効能や歴史、おすすめの入浴法などを教えてくれる「温泉文化いろは」に参加することに。足湯につかりクイズを交えながらの進行は、初対面の人とも自然と打ち解けあえる和やかな雰囲気。
「目の前に見えるアカンダナ山は活火山」「湯量が多いのは雪解け水が豊富だから」など、知的好奇心も満たされ、知るほどにこの土地の魅力に引き込まれていきました。
飛騨の美食と夫婦で語る「これから」
夕食は半個室でいただく飛騨牛を使った会席料理。「宝楽盛」と命名された八寸は、美濃焼の器も美しく目にも華やか。メインの飛騨牛は、玄武岩焼きに加え、「ランイチ」を朴葉に包んで蒸し焼きで食するなど、さまざまな部位や調理法が登場し、「これ絶品だね」と感想を言い合うなど会話も弾みます。
説明をしてくれるスタッフは、聞けば息子と同世代。「しっかりしているね」「今ごろ研修中かな」と社会人になった息子の姿を重ねつつ、話題はかつて家族で訪れた旅の話へ。記憶のピースをふたりで埋めていくのも、特別な時間になります。
食事が終盤を迎える頃には、自然と「自分たちの将来」へと話題が移っていきました。
旅という環境だからこそ、ゆっくり肩ひじ張らずに語り合え、いざ話し始めると、決めなくてはいけないことが多いことに驚きます。
「帰宅後は、まずこれから着手しよう」と決めて、人生後半戦に向けた作戦会議を終えました。
共通の体験が、ふたりの絆を深める
食後はご当地楽「飛騨の匠体験」へ。「界」オリジナル風呂敷にあわせる「バッグハンドル」を、飛騨の曲木技術で作ります。匠についての座学の後、お湯で温めた木を工具に押し当て曲げる体験に入ります。
「これくらいでいいかな?」「力の入れ具合が難しい!」と、お互いに答えを求めるでもなく、呟きながら集中すること30分。完成したバッグを手にすると、達成感と「一緒にやり遂げた」という一体感がありました。
絶景や温泉、おいしい食事を楽しみながら、これからの暮らしや親のことなど、普段は後回しにしがちなこともゆっくり話せた今回の旅。
「紅葉の季節にも来たいね」「このバッグを持って界巡りもいいねえ」と、自然と会話は次の旅へ。
お揃いのバッグを手に、また一緒に旅へ出よう――。そんな約束を交わしながら、ふたりで歩むこれからも、少し楽しみになった夜でした。
人生の節目を祝い、次の一歩へ
今回は子育て卒業記念として、「界」の記念日プランをオーダー。界オリジナルのスパークリング日本酒で乾杯し、食後にはメッセージ付きのケーキとブーケの「お祝い箱」が運ばれてくるなど、子育てのがんばりをねぎらう時間となりました。
人生の節目を祝うことで、新しい一歩を踏み出すきっかけになり、サプライズで用意すれば、忘れられない思い出になりそうです。
プロフィール:旅行ジャーナリスト 村田和子
1969年生まれ。「旅を通じて人・地域・社会を元気に」をテーマに活動。TV・新聞・雑誌等のメディアで「人生を豊かにする旅」を紹介、講演やコンサルティングも手掛ける。総合旅行業務取扱管理者、クルーズコンサルタントの資格を有し、著書に『旅育BOOK(日本実業出版社)』。趣味は美術館、建築巡り。
インスタグラム:@murata_kazuko ブログ:https://www.murata-kazuko.com/

今回宿泊した温泉宿はこちら:界 奥飛騨
北アルプスの懐に抱かれた、日本屈指の湯量を誇る奥飛騨温泉郷に佇み、飛騨木工の技が光るアーティスティックでモダンな宿。雄大な自然に思わず深呼吸するひとときを。湧き出る温泉を湯小屋や客室露天風呂、足湯で存分に楽しむ贅沢な湯浴みが待っています。
住所:〒506-1433 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯138
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaiokuhida/
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