介護で親と自分の人生を壊さない備え3

「老後、どう生きたい?」介護前に親に聞いておくべき、お金より大切なこと

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「老後、どう生きたい?」介護前に親に聞いておくべき、お金より大切なこと

親の介護に備えてお金の話をしたくても、拒絶されたり、はぐらかされたり……。そんなとき、どうすればいいのでしょうか。「本当の親孝行」を考え続ける介護の専門家・川内潤さんに、親との向き合い方や介護前に共有しておきたいことを伺いました。

お話を伺ったのは、介護の専門家・川内潤さん

かわうち・じゅん NPO法人となりのかいご代表理事。社会福祉士、介護支援専門員、介護福祉士。1980年生まれ。上智大学文学部社会福祉学科卒業。老人ホーム紹介事業、外資系コンサル会社、在宅・施設介護職員を経て、2008年に「となりのかいご」を設立。以後、企業・自治体・個人に向けて、仕事と介護の両立や家族介護の相談支援を行う。

第2回では、親が望まないなら資産を無理に聞き出さなくてもいい、という考え方を紹介しました。第3回は、お金より先に知っておきたい、親の「これからどう生きたい?」という思いに目を向けます。

「お金の話」ができない場合、親と何を確認しておくべきですか?

Taka / PIXTA

お金のありかや額面ではなく、「どう生きたいか」を聞く

親にお金の話を切り出しても、拒絶されたり、はぐらかされたりして、一歩も前に進まない。そんなとき、私たちはつい「もしものときに困るから、ちゃんと教えてよ!」などと、管理する側の正論をぶつけてしまいがちです。

でも、少し立ち止まって考えてみてください。私たちが本当に知っておくべきなのは、親の通帳の残高や、不動産の価値といった「数字」だけでしょうか……?

親がこれまでの人生の中で大切にしてきたことは何か。そして、最期を迎えるまでの生活で、何を大切にしたいかという「心のありか」に、目を向けたことはありますか?

人生の目的は、単なる長生きや健康ではありませんよね。介護に際しては、ついつい「目的」と「手段」を入れ替えてしまうことがあります。

お金も、老人ホーム選びも、歩くためのリハビリも、すべては「手段」にすぎません。

親が人として社会的な責任を果たした後、何を楽しみにして、何を大切に生きていこうとしているのか。その「目的」さえ共有できていれば、たとえお金の情報が子に明らかにされなかったとしても、親の望む方向へ舵を切ることができるのではないでしょうか。

「これからどう生きたい?」お金も暮らしも、親の意思を尊重する

 Fast&Slow / PIXT

とはいえ、親に「これからどう生きたい?」なんて真っ向から聞いても、戸惑ってしまうでしょう。

会話のコツは、子であるみなさんが、親を「頼る」ことだと思います。「自分たちは5年後、10年後、こういうことを大事にしていきたいと思ってるんだけど、お父さん、お母さんはどう考えているのかな? ぜひ参考にしたいんだ」と、相談を持ちかけてみてはどうでしょうか。

親は子から頼られれば、不思議と「なんとか答えてあげたい」というスイッチが入るものです。親が何気ない会話の中でポロッとこぼした一言、二言。そこに、その人にとって「最も優先順位の高い願い」が隠れていることがあります。

たとえば、これから子や孫とどう過ごしたいか、行ってみたい場所、暮らしの中で大切にしてきたことなどです。ぜひ、それをしっかりと見つめて、大切に受け取ってください。

もし親が認知症になったら。「その人らしさ」はどうなる?

kouta / PIXTA

認知症を確実に防ぐ方法はありませんし、自分が認知症になる未来をリアルに想像して、怖さを感じない人はいないでしょう。でも、私が認知症専門のデイサービスで出会った人たちは、認知症であることで、むしろ「その人らしさ」を保てている瞬間もありました。認知症になれば不安や困りごとは増えるかもしれません。

それでも、周囲の支えによって、その人らしく穏やかに暮らしている人を私はたくさん見てきました。

「どんな介護を受けたいか」ということを、元気なうちから計画するのは無理な話です。転倒するのか、病気になるのか、未来は誰にもわからないのですから。

だとしたら、私たちが準備しておくべきなのは完璧な介護計画書ではなく、「この人は何をしているときが穏やかで幸せか」という価値観を共有すること。それは、親を一人の人間として、最期まで敬い続けることです。

たとえ少し不自由であっても、自分の意志で、自分の価値観の中に居続ける親。それを子が覚悟を持って見守ること。それこそが、お金だけでは決して得られない大切な親子の絆なのだと、私は信じています。

【POINT】

  • やること:価値観やこれからの望みを共有する
  • やらないこと:子の側の正論をぶつけない

家族だけで抱え込まないために、今からできること

介護にかかるお金や今後の備えは、考えること自体が大変で、つい後回しにしがちなもの。でも、備えがないまま介護が始まると、心身や仕事への負担が大きくなることも。この記事をきょうだいや夫婦間で共有し、親の介護が本格的に始まる前から話し合うきっかけにしてみてはいかがでしょうか。


次回は、介護費をめぐってきょうだいで揉めないための考え方を紹介します。

【介護で親と自分の人生を壊さない備え】

1:親の介護費は「親のお金」でまかなう
2:親の資産、どこまで把握しておく?
3:介護前に聞きたい、親の「これから」
4:介護費できょうだいが揉めないために
5:「介護離職」を遠ざける考え方
6:介護休暇・介護休業の上手な使い方

※この記事は川内さんの著書『介護前夜の教科書 親と自分の人生を壊さないための備え』(講談社刊)より一部抜粋して構成しています。

もっと詳しく知りたい人は

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HALMEK up編集部

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