旅行ジャーナリストの大人の旅提案 3
50代、30年ぶりに再会の友と温泉旅へ「界 箱根」で過ごす新しい友人旅
子どもの手が離れ、青春時代を懐かしく思い出すことも増える50代。旅行ジャーナリストの村田和子さんは、高校の同窓会をきっかけに30年ぶりに友人と再会。選んだ旅先は「界 箱根」。思い出話と新しい体験を重ねる、大人の友人旅の魅力を紹介します。
INDEX
同窓会で再会。次は一緒に旅しよう
最近、急に懐かしい人たちと再会することが増えました。子育てや仕事が一段落し、少しずつ時間や気持ちに余裕が生まれる50代。疎遠になっていた友人にふっと思いを馳せる……そんな年頃なのかもしれません。
先日行われた高校の同窓会も、30名近くが集まり大盛況! その中には親友ユミの姿もありました。同じ部活で親しくしていたものの、私が関西の大学へ進学したこともあり、会うのは数年に一度。結婚してからは年賀状のやりとりだけになっていて、実際に会うのは……なんと30年ぶり!
「次は一緒に旅しよう」と話し、善は急げと、 さっそく計画。
向かったのは、東西からアクセスしやすい神奈川県の箱根湯本温泉。今回は現地集合の大人旅。
意外と計画が難しい! 久しぶりに会う友との旅
今回、旅を計画して難しいと感じたのが、長いブランクがあり、友人の好みがわからないこと。「今は何が好きなのだろう?」「これは興味あるかな?」と迷うことも多く、ランチや観光も複数案を出しながら、丁寧に予定を詰めていきました。
久しぶりの友との旅では、観光の予定を詰め込むよりも、のんびり語らい、くつろぐ時間 を大事にしたいもの。「宿選びは重要」と、今回は訪れたことがあるお気に入りの宿から選ぶことに。滞在を通じて箱根らしさを感じゆったりと過ごせること、2025年にリニューアルし、リピーターの私にとっても新たな魅力を楽しめることから、「界 箱根」に決めたのでした。
自然とご当地文化に包まれる「界 箱根」へ
無事にユミと落ち合い、箱根湯本駅界隈を散策し、軽く昼食をとってから、今宵の宿「界 箱根」へと向かいます。
旧箱根街道沿いの緑に囲まれた一軒宿は、駅界隈の賑わいから一転。川のせせらぎや虫の音が心地いい、静かな空間が広がります。
フロントには箱根の伝統工芸「寄木細工」の作品が飾られ、照明にも寄木細工 をイメージしたデザインが施されるなど、ご当地感もたっぷり。
今回滞在したのは清流リビング付きの和洋室。大きな窓の向こうには湯坂山が迫り、窓辺には景色を眺めながら語らうのにうってつけのカウンターも! 寝室にはベッドが3つ配され、「ミキも来られたらよかったね」と、都合が合わず参加を見送った友人の顔が浮かびます。
テーブルには美しい寄木細工のオセロ。「後で一戦交えよう」と話しながら、まずは温泉大浴場へと向かいます。山の緑を映し込む美しいヒノキの湯船。 壁一面が吹き抜けになった開放感あふれる半露天風呂に浸かると 、「はあ~、気持ちいい」と思わず声が漏れます。柔らかな風や木々の香りを感じながらの湯浴みに、道中の疲れも癒やされます。
入浴後は、中庭の「さわ茶屋」へ。ふるまわれる焼きたてのお団子とお茶をいただきながら 、結婚し、母となってから50代を迎えるまでの 歩みをぽつりぽつりと語り合います。
二人とも子どもが春に社会人になったとあって、子育て談義は大盛り上がり。学生時代はさっぱりした性格だと思っていたユミが、母となり、子どもと細やかに向き合ってきたことを 知るのも新鮮でした。子どもたちの成長を互いに喜びつつ、「私たちも、がんばったよね」と母親としての労をねぎらいます。
箱根の美食と尽きない話で夜は更ける
夕食は半個室でいただく会席料理。日本酒の飲み比べを合わせることにし、まずは乾杯!かつて旅人の疲れを癒やしたという甘酒を使ったヴィシソワーズ、季節の食材を彩りよく盛り込んだ八寸で食事はスタート。メインは「明治の牛鍋」で、スタッフが目の前で調理するライブ感と、味噌仕立ての濃厚な味わいを楽しみました。
お酒も入り、食後も話は尽きません。なんといっても30年分! 客室の心地いいリビングでくつろぎながら、仕事のこと、趣味のこと、親のこと、これからのこと……。途切れそうになっては、「そういえば……」とまた話が始まり、夜は更けていきました。
離れていた間の、互いに知らない時間を少しずつ埋めていくと、懐かしさがある一方で、「こんな一面もあったんだ」と新たな発見も。学生時代とはまた違う、今の友人を知っていくのも面白く感じます。
初めての体験が、二人の新しい思い出に
朝は、宿泊者向けのプログラム「朝の体操」へ参加することに。中庭には「わらじ」が用意され、東海道の旅人にちなみ、わらじに履き替えて体を動かし、庭の石畳を歩きます。
足裏に刺激がダイレクトに伝わり、最初は「足つぼみたいで気持ちいい」と思っていたのですが、これで箱根の峠を越え、長い道のりを歩いたとは! 「昔の人はすごいね」と、二人で感心しきり。
朝食後は、ご当地楽「寄木細工のずく引き体験」へ。箱根寄木細工の工房「露木木工所」の職人が監修した体験は、木のパーツを模様になるよう組み合わせた「種木」を、カンナで薄く削り出すというもの。
スタッフのお手本を見ると簡単そうですが、3種類ある種木は硬さも異なり、きれいに「ずく」を引くのは見た目よりずっと難しい。きれいに引けて美しい模様が現れると、何とも言えない達成感があります。最後は「ずく」をあしらった写真立てに仕上げ、撮影してもらった写真をセットすれば、思い出の詰まった素敵なお土産の出来上がり!
「続きはまた次回」。友との時間が動き出す
チェックアウトのため部屋へ戻ると、机の上には昨晩やりかけたオセロが。
「話に夢中で、そのままになっちゃったね」と、二人で顔を見合わせます。
長い年月の空白を埋めるように語り合い、これから先の話もたくさんした箱根の旅。気持ちは若い頃と、50代の今を行 ったりきたり。学生時代の思い出に、今の互いの姿や新しい体験が重なっていきます。そんなちょっと不思議な感覚も、歳を重ねた今だからこそ味わえる友人旅の魅力なのかもしれません。
「オセロの続きは、また次回……」
再訪を約束し、それぞれの帰途につきました。
コラム:大人の友人旅は「客室選び」も大切に
客室タイプが豊富な界 箱根。人数や過ごし方に合わせて選べるのも、友人旅にはうれしいところ。2025年のリニューアルで誕生した「箱根ごこちスイート」は110平方メートルを超える広さで、ゆったり 。リビング、客室露天風呂、坪庭のある湯上り処に加え、2つの独立した寝室があり4名まで滞在できます。それぞれの時間も大切にしながら語り合える……大人の友人旅にはぴったりです。
※記事の情報は2026年10月現在のものです。
プロフィール:旅行ジャーナリスト 村田和子
1969年生まれ。「旅を通じて人・地域・社会を元気に」をテーマに活動。TV・新聞・雑誌等のメディアで「人生を豊かにする旅」を紹介、講演やコンサルティングも手掛ける。総合旅行業務取扱管理者、クルーズコンサルタントの資格を有し、著書に『旅育BOOK(日本実業出版社)』。趣味は美術館、建築巡り。
インスタグラム:@murata_kazuko ブログ:https://www.murata-kazuko.com/

今回宿泊した温泉宿はこちら:界 箱根
箱根湯本に佇む全室リバービューの湯宿。一枚の風景画を眺めるような露天風呂が自慢です。「寄木細工のずく引き体験」や「さわ茶屋」のおもてなしなど、東海道を行き交った旅人の息吹を感じながら、箱根ごこちのひと時を楽しめます。
住所:〒250-0312 神奈川県足柄下郡箱根町湯本茶屋230
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaihakone/
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