人生の先輩に学ぶ、生き方と暮らし方の流儀4
樹木希林さん名言集“人と、自分と、どう向き合うか”
2018年9月に75歳で亡くなった樹木希林さん。生前の言葉や行動、暮らしぶりには、たくさんの示唆がありました。それは50代からの生き方の道しるべ。樹木さんが残した言葉の中から、人との向き合い方についての珠玉の7つをご紹介します。
人間関係は、相手も自分も認めることから
私たちがためこみがちな、人間関係のイライラや、もやもやする思い……。樹木希林さんも、いろいろな思いを抱えていたのかもしれませんが、自分も相手も認めることで、気持ちの整理をつけていたようです。
「自分の悪い点を見据えて、頭を下げるようにしたら、何のことはない、夫は実に優しい人でした」
自分ががんと知り、「夫(ロック歌手の内田裕也さん)に謝罪しないと死ねないと思った」と語っていた樹木さん。翌年の取材時にも、「謝るのはタダだし私にはピッタリ(笑)」とユーモアを交えて、当時の心境を話してくれました。
「いきいき(現ハルメク)」2007年1月号より
「皆が違っていて譲れない部分がある。それを認めた上で、生きて行く私たちっていうのがいいじゃない」
例えば、粒あん派か、こしあん派か。あんこ一つとっても、価値観が異なるもの。でも最後は認め合うしかないのが人間の面白い点、と樹木さんは考えていたようです。
「文藝春秋」2014年5月号より
「誰か付いてくれる人がいると、(中略)逆にいろいろ気になっちゃうから、一人の方が気楽なだけ」
晩年、マネージャーを付けなかった樹木さんは、その理由を別の雑誌のインタビューで「自分の亡き後、仕事がなくなって困るだろうから」と発言。「独りの方が気楽」という言葉の裏には、温かな思いやりの心がうかがえます。
「ハルメク」2016年6月号より
50代からの生き方は、求めすぎず、面白がる
「『昔はよかった』と嘆くより『へえ、こんなこともできなくなるんだ!』って、自分の変化を楽しんだほうが得ですよ」
老いてくると、例えば、口の周りに何か付いていても気が付かなくなる。そんなときも、「自分でも、よく気が付かないものだなあと、感心する」と面白がっていました。
「PHPスペシャル」2015年7月号より
「人間は50代くらいから、踏み迷う時期になるでしょ。(中略)年齢に沿って生きていく、その生き方を、自分で見つけていくしかないでしょう」
年齢に抗うでもなく、長生きを求めるでもなく、60代なら60代なりの生き方を探る。求め過ぎなければ、楽に生きられるとも話していました。
「いきいき(現ハルメク)」2015年6月号より
「病」をよしとし、今を「上出来」と受け入れる
「どの場面にも善と悪があることを受け入れることから、本当の意味で人間がたくましくなっていく。病というものを駄目として、健康であることをいいとするだけなら、こんなつまらない人生はないだろうと」
当時、がんの治療前後で生活の質に大きな差はない、と話していた樹木さん。それは、「病気=悪」と決め付けるのではなく、「善の面もある」と考えていたからかもしれません。
「文藝春秋」2014年5月号より
「いつ死ぬかわからない。諦めるというのではなく、こういう状態でもここまで生きて、上出来、上出来」
病気になると、「こんなはずじゃなかった」と思ってしまいがち。ですが、自分を俯瞰(ふかん)して、現状を「上出来」と捉えることですっと楽になると語っていました。
「婦人公論」2018年5月22日号より
取材・文=長倉志乃、田渕あゆみ(ともにハルメク編集部)
写真=小倉啓芳、島崎信一
※この記事は、雑誌「ハルメク」2019年2月号を再掲載しています。
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