【Up select】オトナ女性が着回せる秋服
服を見る目が変わる!生地マニア山下の偏愛講座
ラクしてキレイ見え!生地マニアが教えるがんばらない大人のシャツ選び3つのポイント
シャツを素敵に着たいけど、アイロンがけは面倒だし、着ていると疲れる……。そんな悩みに、生地マニア山下さんが注目したのは「2つのラク」。きれいに見えて、心地よく着られる大人のシャツには、どんな工夫が隠されているのでしょうか?
INDEX
大人のシャツはもっとラクでいい!山下さんが語る理由

シャツは、仕事や少しきちんとした日に着る服。そんなイメージを持っている人も多いかもしれません。でも、生地マニアの山下さんは「大人の女性にこそ、シャツをもっと普段着にしてほしい」と言います。
「襟があるだけで、ある程度ちゃんとして見えるでしょう? シャツがきちんと見せてくれるのだから、着る人はもっとラクをしていい、と思うんです」
山下さんが服を選ぶとき、大前提にしているのは、着たときに大人の女性がきれいに見えること。とはいえ、そのために窮屈な思いをしたり、服のお手入れに時間を取られたりするのは、ちょっと違うと言います。
「服のために人ががんばるんじゃなくて、“服が人をラクにしてくれたら”と思うんです」
だから山下さんがシャツを見るときに気になるのは、「着る前後のお手入れ」と「着ているときの心地よさ」。
今回は、そんな2つの“ラク”から、大人の普段着シャツを解剖します。
面倒なアイロンがけは、もっと生地の力に頼ってもいい

シャツを着るとき、ちょっと面倒なのがアイロンがけ。
アイロン台を出して、襟を整えて、袖を伸ばして、身頃をかけて……。
「服を着る前に疲れるなんて、もったいないですよ。そこは生地に頼ってほしい。生地マニアの僕に任せてください!」と山下さん。
「それには、洗って干して、すぐ気持ちよく着られるシャツを選べばいいんです」
アイロンがけの手間が減れば、シャツを着るハードルもぐっと下がるはず。
服のケアに使っていた時間や労力までラクにする。それも、大人の服選びの一つです。
イージーケアなシャツを見極めるための2つのチェック

では、ケアがラクなシャツは、どう探せばいいのでしょうか。
「まずは表示を見ることです」
商品タグや説明を見ると、「ノーアイロン」「形態安定」「イージーケア」「防シワ加工」などの言葉を見かけることがあります。それぞれ意味や仕組みは異なりますが、お手入れのしやすい服を探すときのヒントになります。
さらに山下さんがチェックするのが、「素材」の表示。ここは着心地にも関係します。
綿なのか、ポリエステルなのか。複数の繊維が使われているなら、その混率はどうなっているのか。
例えば、レーヨンが混ざることでツヤやしなやかさが出たり、綿の割合によって肌触りや吸水性が変わったり。もちろん、生地のつくりや加工によっても違いはありますが、素材の組み合わせから風合いを想像するのも、服選びの楽しみです。
そして山下さん、最後はやっぱり――。

「はい、触りましょう」
生地を軽く握って離してみる。シワがくっきり残るのか。ふわっと戻るのか。肌に触れたときの感触はどうか。
表示で機能を確かめ、素材から着心地を想像し、最後は自分の手で確かめる。この3つが、シャツ選びのヒントになります。
やわらかさもお手入れのラクさも!進化する機能素材に注目

そして、ここからが山下さんのマニアックゾーン。
「例えば、機能素材の一つ『SOLOTEX(R)(ソロテックス)』。こういう素材を使ったシャツも、僕は気になりますね」
SOLOTEX(R)は、特殊な分子構造を持つポリエステル系の繊維。その特徴を生み出しているのが、らせん状の分子構造です。
山下さんいわく、イメージは「小さなバネ」。力が加わっても元に戻ろうとする性質があり、形態回復性に優れているのが特徴です。さらに、やわらかな風合いやストレッチ性も持ち合わせています。
「シワになりにくい」「動きやすい」「肌触りがいい」。そんな着る人にうれしい機能を、生地そのものが備えているのです。
生地は年々、進化している……。だからこそ、表示や素材をチェックしたら、実際の着心地やお手入れのしやすさも確かめてみたいところ。
だからこそ、デザインだけでなく、生地の特徴にも目を向けてみたいところ。
「洗って干したら、どのくらいシワが残る?」「どうしてこの服は着ていてラクなんだろう?」
そんな疑問を持って素材を見てみると、今まで気づかなかった工夫が見えてくるかもしれません。生地を知ることで、服選びがもっと面白くなりそうです。
動いてもきれいなシャツは、背中のつくりに秘密がある

さて、もう一つのラクは「着ているとき」。
仕事をして、家事をして、買い物に出掛けて。座ったり立ったり、腕を伸ばしたり。大人の女性の毎日は、思っている以上に動きの連続です。
「一日着て、ストレスなく動けるか。その服を着て、いい顔で過ごせるか。そこまで含めて服や生地を見てほしいです」
山下さんが大人の女性におすすめするのは、体にさらりとなじむ、やわらかな生地のシャツ。
「大人の体には、パリッとした素材より、体になじむやわらかな素材のほうが、キレイに見せてくれると思います」
ただし、やわらかい生地なら何でもいいわけではありません。例えば、立っているときはきれいに見えても、腕を前に伸ばすと背中の生地がギュッと引っ張られる。そんなシャツでは、着ているうちに窮屈に感じてしまいます。
そこで山下さんが注目するのが、シャツの後ろ姿。
「大人の女性は、背中で余裕を見せましょう(笑)」
実は、シャツの背中や裾には、見た目のきれいさを保ちながら、動きやすさを生む工夫が隠されていることがあります。
山下さんが特に注目するのは、背中のタックと裾のスリット。どちらも、着心地を左右する大切なディテールです。
背中のタックは、動きやすさとすっきり見えの一石二鳥
山下さんが指差したのは、背中に入ったタック。
「よく見てください。これ、ただの飾りじゃないんです」
タックとは、生地を折りたたんで縫い留めたもの。背中にタックを入れることで適度な余裕が生まれ、腕を伸ばしたり体を動かしたりしても、生地が突っ張りにくくなります。
でも、タックの役割はそれだけではありません。折りたたまれた布が背中に縦のラインをつくり、後ろ姿のアクセントに。視線を縦に導き、すっきりとした印象も与えてくれます。
「タックには布をたっぷり使えばいいわけでもないんです。余りすぎるとダボッとして見えるでしょう? 必要なところに、必要なだけの余裕を持たせる。このさじ加減が大事なんです」
動きやすさを生みながら、後ろ姿もきれいに見せる。きれいに見えることと、ラクに着られること。その両方を服の設計でどうかなえるか。 生地マニアが注目するのは、そんな細部の工夫です。
一見目立たない裾のスリットに隠された、動きやすさの秘密
背中のタックに続いて、山下さんが注目したのは、裾に入ったV字のスリットです。
一見目立たないこのスリットにも、着る人の動きを考えた工夫が隠されています。
立っているときは自然に収まり、座ったりかがんだりすると開いて、裾の突っ張りを軽減。すっきりした見た目を保ちながら、体の動きを助けてくれます。
ただし、スリットは深ければいいわけではありません。深すぎると、シャツをインしたときに裾がパカッと開いてしまうことも。
シャツはアウトで着たり、前だけインしたり、全部インしたり。さまざまな着こなしに対応するには、着丈や身幅とのバランスを考えた、絶妙な深さが必要なのです。
「このギリギリの寸法が考えられている服を見るとね、キュンとくるんです(笑)」
背中のタックは、動きやすさを生みながら、後ろ姿を美しく見せる。裾のスリットは、普段は目立たず、必要なときだけ動きを助ける。
目立たない細部にまで、きれいとラクを両立させる工夫が詰まっている。そんな小さな設計の積み重ねが、一日中心地よく着られるシャツをつくっているのです。
きれいもラクも諦めない!大人のシャツ選びの新常識
大人のシャツ選びで大切なのは、きれいに見えることだけでも、ラクなことだけでもありません。
お手入れの手間を減らしてくれる、機能を備えた生地や糸。
体の動きに合わせて、さりげなく余裕を生み出す背中のタックや裾のスリット。
一見するとわからないところに、着る人が気持ちよく一日を過ごすための“小さなこだわり”が隠されています。
「デザインだけ見て買っては、もったいないですよ。後ろを見て、タグを見て、ちょっと触ってみる。そうすると、作った人が何を考えたのかまで見えてきます」
きれいはシャツに任せて、大人はもっとラクをする。そんな服選びが、毎日をちょっと心地よくしてくれるのかもしれません。
生地マニア・山下さんのプロフィール

山下裕介(やました・ゆうすけ) 大人女性向けカタログのMDとして18年間、インナーウェアから婦人服まで幅広い商品企画・仕入れを担当。生地への探究心は人一倍。理想の肌ざわりや風合いを求めて国内外の産地を巡り、素材開発にも携わる。着心地とデザインを両立した商品づくりを追求している。
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