公開日:2022/06/14
皆さんは“オペラ鑑賞”をしたことがありますか?「なんだか難しそう」「ハードルが高い」と思っている人はもったいない!この夏上演されるオペラ「ラ・ボエーム」は、ドラマティックなストーリーと音楽、手頃な価格で、初めてのオペラ鑑賞にもおすすめです。
「オペラ」とは、演劇と音楽によって構成される舞台芸術のこと。演者のセリフはすべて歌になっていて、歌と音楽にのせてストーリーが進行していきます。また、歌唱だけでなくオーケストラによって演奏される音楽も、演者の心情を表していたり、ストーリーを盛り上げたり、重要な役割を果たします。そこに舞台装置や衣裳、照明など、ありとあらゆる要素が集結するため、総合芸術とも呼ばれているのです。
「ラ・ボエーム」の指揮を務める佐渡裕芸術監督は、「音楽の魅力に加えて、人の生の声が直接2000人の観客にグサッとくるのがオペラの醍醐味ですからね」と語ります。
すべてが生で行われるオペラは、その一瞬一瞬が、その時にしか味わえないもの。まったく同じ公演は二度とありません。だからこそ、観客の心をグッと掴んで離さないのです。
2005年、阪神・淡路大震災からの「心の復興、文化の復興」のシンボルとして建てられた兵庫県立芸術文化センター。その開館以来、毎年行われてきたのが「佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ」でした。しかし、2020年に公演予定だった「ラ・ボエーム」は、コロナ禍の影響で中止という苦渋の決断をすることに……。そこから2年の時を経て、この夏、ついに上演が決定。イタリアでのオーディションで選ばれた才能ある若手キャストや、世界で活躍する日本人歌手などのキャストが、奇跡的に当時と同じメンバーで再集結します。
中止・延期を乗り越えた「ラ・ボエーム」について、佐渡監督は並々ならぬ想いを持っています。
「ただメロディが美しい、リズムがなにか人に刺激を与える、そんなものではないです。湿度、寒さ、温度、人の感情、喜び、切なさ……お芝居にしたらとても短いですが、オペラになると長くなるという理由は、作曲家プッチーニの手腕によって、それらが何倍にも何倍にも音楽で表現されているから。本当に素晴らしいオペラなので、私自身にとっても大きな挑戦です」
「ラ・ボエーム」は、オペラの醍醐味が詰まった作品だと話す佐渡監督。さまざまな要素が重なり合い、一つになった芸術的なステージは必見です。
京都市立芸術大学卒業。1989年ブザンソン指揮者コンクール優勝。1995年第1回レナード・バーンスタイン・エルサレム国際指揮者コンクール優勝。2015年より、オーストリアを代表し110年以上の歴史を持つトーンキュンストラー管弦楽団音楽監督に就任。海外のオペラ公演の実績も多数。国内では兵庫県立芸術文化センター芸術監督、シエナ・ウインド・オーケストラの首席指揮者を務める。2022年4月より新日本フィルハーモニー交響楽団ミュージック・アドヴァイザーを務めており、2023年4月には同楽団音楽監督に就任予定。
物語の舞台はパリ、クリスマス・イヴ。詩人のロドルフォと画家のマルチェッロは、貧しいながらも、成功を夢見てその日暮らしを続けていました。そこに「ろうそくの火を分けてほしい」とやってくるのが、お針子として慎ましく暮らすミミです。ロドルフォとミミはたちまち恋に落ちてしまいます。賑わうパリの街で仲間たちと食事をしていると、そこに現れたのはマルチェッロの元恋人ムゼッタ。彼女は今や金持ちに囲われる身でしたが、お互いに未練のある二人。ついにムゼッタはマルチェッロのもとへ戻ってきます。
ロドルフォと暮らし始めたミミですが、ある日マルチェッロを訪ね、ロドルフォとの仲に陰りが出ていることを話します。そこにロドルフォもやってきたため、ミミは姿を隠しました。
ロドルフォはやがて身を切る思いでマルチェッロに真実を話し始めますが―――。
こうして始まる対照的な二つの恋の物語。一つは相手を思いやるがあまり、うまくいかない恋。もう一方は、好きだけれど喧嘩ばかりしてしまう恋……。「ラ・ボエーム」は、お針子ミミと詩人ロドルフォの出会いから別れまでを描いた、普遍的な愛と青春のオペラです。初演から100年以上たった今もなお、世界中で愛されている作品の一つとなっています。
「ラ・ボエーム」の世界を彩るのは、世界中から集まった錚々たる実力者たち。公演は、イタリアの若き歌手と、旬の日本人歌手のダブルキャストとなっています。
2022年7月15日(金)、17日(日)、20日(水)、23日(土)のキャストは、イタリアでのオーディションで勝ち抜いた、ミラノ・スカラ座アカデミーの出身者ら若手歌手たち。デビューしたばかりの逸材など、現地でも評判の未来のスターたちを目に焼き付ける、またとないチャンスです。ミミ役のフランチェスカ・マンツォさんは「日本で演奏するのは初めてなので、とても興奮していますし、待ちきれません。お会いできるのを楽しみにしています。忘れられない思い出となること間違いなしです!」と話します。
対して2022年7月16日(土)、18日(月・祝)、21日(木)、24日(日)の日本人キャストは、プロデュースオペラ初登場のミミ役・砂川涼子さん、ロドルフォ役・笛田博昭さんなど、これらの役といえばすぐに名前が挙がる“決定版”の配役。砂川さんは「初めてミミを歌った時に感じたことが、変わらずに表現できたらいいです。経験を積むと引き出しは増えますが、ときめきが減ってはいけません。真っすぐに生きるミミを、美しい音楽とともに感じていただけたらうれしいです」。その他国内外の、第一線で活躍する歌手たちのアンサンブルにも注目です。
さらに、世界から集まった入団時35歳以下の才能ある若手を集結させたオーケストラ兵庫芸術文化センター管弦楽団、関西で活躍するプロの歌手や児童合唱などで編成された総勢100名に及ぶ合唱団などが舞台を盛り上げます。そして見逃せないのは、アカデミー賞を多数受賞してきた世界的デザイナー、ダンテ・フェレッティによる演出、装置・衣裳デザイン。イタリア・ローマのクリエイティブな職人チームが作り上げる大迫力の舞台装置や繊細な衣裳も見どころの一つです。
とはいえ、こんなに豪華なキャストやスタッフが揃った舞台はお値段が気になるところ……。でもご安心を。「ラ・ボエーム」は、オペラが初めての方でも気軽に足を運べる価格設定になっています。
なんだか最近楽しいことがない、元気が欲しい、夏にどこかに出掛けたい!そんなときには、素晴らしい音楽とストーリーで観た人の心をふるわせてくれる「オペラ」がおすすめです。
今回オペラに興味を持った方も、ずっと気になっていたという方も、ぜひ一度「ラ・ボエーム」で生のオペラを感じてみては?
A 1万2000円
B 9000円
C 7000円
D 完売
E 完売
(すべて消費税込/全席指定)
兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
〒663-8204 兵庫県西宮市高松町2-22
阪急西宮北口駅南改札口すぐ(駅からデッキで直結)
JR西宮駅より徒歩15分(阪急バス7分)
兵庫県、兵庫県立芸術文化センター 制作:兵庫県立芸術文化センター
公益財団法人 三菱UFJ信託芸術文化財団 /公益財団法人 花王 芸術・科学財団
■提供/兵庫県立芸術文化センター
ご予約・お問い合わせは0798-68-0255
芸術文化センターチケットオフィス(10:00~17:00 月曜休み ※祝日の場合翌日)
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