【PR】風邪に抗菌薬は効かない!?薬の誤った使い方が招く大きな危険とは

【PR】風邪に抗菌薬は効かない!?薬の誤った使い方が招く大きな危険とは

公開日:2025年10月30日

【PR】風邪に抗菌薬は効かない!?薬の誤った使い方が招く大きな危険とは

病気になるとよく処方される抗菌薬・抗生物質の使い方が今大きな問題になっています。正しく使わないとどんな問題が起きるのか、ハルトモのお二人とともに、私たちの身体に迫る危険について感染症対策の専門家である医師の藤友結実子先生に伺いました。

教えてくれた人:藤友結実子(ふじとも・ゆみこ)さん
国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター AMR臨床リファレンスセンター 情報・教育支援室長。呼吸器専門医、総合内科専門医。専門分野は臨床感染症、感染対策。

「風邪をひいたら抗菌薬」という考え方はキケン!?

左:ハルトモの金子さん 中央:ハルトモの小薗江さん 右:藤友先生

藤友先生:風邪をひいた時、病院に行って抗菌薬や抗生物質(以下・抗菌薬に統一)を出してもらうと早く治るのでは?と思っている方は要注意です。風邪の原因は細菌ではなくウイルス。

細菌とウイルスは全く別の病原体で対処法がまったく異なりますので、細菌に対する治療薬である抗菌薬は風邪には効かないのです。

細菌に対する治療薬である抗菌薬は風邪には効かない

金子さん:昔は風邪をひいたら抗菌薬をもらっていましたし、今でも風邪の症状がひどい時は「次に受診したら抗菌薬が処方されるのかな」なんてなんとなく思っていました。

藤友先生:昔は、風邪をひいた後に細菌感染による重症化を予防するために抗菌薬を出すこともあったようです。でも、最近では予防効果がないことがわかっています。それどころか、安易に抗菌薬を使うことで大きな問題が起きているのです。

小薗江さん:どういう問題ですか?「抗菌薬を飲むだけ無駄だったね」ですむわけではないのでしょうか。

藤友先生:そもそも「風邪を治す薬」はありません。私たちの体にもともと備わっている免疫システムで、風邪のウイルスと戦うしかないんですね。でも熱や咳、鼻水などが長く続くのはつらいので症状を薬でやわらげ体力の消耗を防ぎ、回復を助けています。

本来不要な薬を飲むことは、その分副作用のリスクが増えます。さらに、最も大きな問題は抗菌薬を繰り返し不適切に飲むことで、薬が効かない菌が出てくるかもしれないことです。

将来的に「世界最大の死因」になる可能性も!?私たちに迫る身近な危険とは

藤友先生:抗菌薬を使うと、その抗菌薬が効く細菌はいなくなりますが、効かない細菌は残ります。残った細菌のなかには、薬に耐性をつけて生き残る細菌もいます。それを薬剤耐性菌(以下、耐性菌)と言います。

耐性菌が発生しても、体の中にいる他の細菌(常在菌)とバランスが取れているうちはそれほど大きな問題にはなりません。

しかし抗菌薬を繰り返し飲んでいると、耐性菌以外の細菌が減り耐性菌だけが増殖しやすい環境になってしまいます。幅広く細菌に効果を持つ抗菌薬ほど、多くの常在菌を減少させてしまうので、その分耐性菌が増えやすい環境を作りやすくなります。

薬剤耐性菌が増える仕組み

小薗江さん:耐性菌が増えるとどうなるのですか?

藤友先生:通常は、他の種類の抗菌薬を使って治療します。ただ最近では、多剤耐性菌と言って、多くの種類の抗菌薬に対して耐性を持った細菌も増えてきています。

こうなるといざ細菌感染した時に使える薬がないということにもなりかねません。これまでは適切に治療をすれば治っていたような感染症でも重症化しやすくなったり、死に至る可能性が高まったりします。

また、外科手術の術後感染予防や抗がん剤治療などで免疫が低下した際の感染症治療にも抗菌薬を使いますが、耐性菌がいると、効果的な治療ができなくなる可能性もあります。

薬剤耐性に起因する死亡者数の推定

実際、2016年に発表されたオニールレポート(※)では2013年に薬剤耐性菌が原因で亡くなった人の数は全世界で70万人を超えるとされています 。もし今後十分な対策が行われない場合、2050年には薬剤耐性により世界で1000万人の死亡が想定されるとのこと。これは2013年時点にがんで亡くなった人を上回る数です。

※出典:Antimicrobial Resistance: Tackling a crisis for health and wealth of nations. UK, December 2014 Tackling Drug-resistant Infections Globally: Final Report and Recommendations. UK, May 2016

小薗江さん:最終的に、どの抗菌薬も使えなくなるという可能性も、なくはないということですね……。

藤友先生:その可能性はゼロとは言えません。薬の開発はとても時間も費用もかかりますし、近年新しい抗菌薬の開発は減っています。なので、今ある抗菌薬が使えなくなることがないよう、私たち一人ひとりが耐性菌を増やさない努力をしなければいけないのです。

抗菌薬を服用する際に気を付けたい3つのポイント

抗菌薬を服用する際に気を付けたい3つのポイント

1.風邪に抗菌薬は効きません

前述の通り、抗菌薬はウイルスには効きません。ふだん健康に過ごしている人の風邪であれば時間経過とともによくなっていきます。

2.処方された抗菌薬は指示通りに飲む。自己判断はダメ

抗菌薬が必要と診断され処方された場合は、症状がなくなったからといって途中で服用をやめたり、1日に飲む量を勝手に変更したりすると、中途半端な治療となり、耐性菌が生じる可能性があります。処方された薬剤は、決められた期間、用法用量を守って飲むことが重要です。とっておいて別の機会に飲んだりするのもNGです。

3.処方された抗菌薬は人にあげない・もらわない

抗菌薬は患者一人ひとりに合わせて処方されています。感染が疑われる細菌の種類だけでなく、年齢、体格、腎臓や肝臓の機能などを考慮して、あなたにちょうどよい量に調整されています。他人にあげたり、もらって飲んだりすると効果がないだけでなく、思わぬ副作用に苦しむことになるかもしれません。

金子さん:子どもが小さい頃は、うっかり兄弟の分を飲ませないよう注意していました。

小薗江さん:私はわりと心配性なので、処方された薬は先生の指示通りに飲み切ることを徹底していました。

藤友先生:お二人とも素晴らしいですね!

金子さん:当時はとても大変で面倒でしたが、今日こうやってお話を聞いて初めてその理由がわかりました。

小薗江さん:今日改めて薬って飲み方を間違えると怖いんだなと思いました。

藤友先生:処方された薬や取り扱い方についてなど、疑問があったらぜひ医師や薬剤師に相談してみてください。また、薬は正しく使えば本当に治療に役立つものです。怖がり過ぎないで上手に使ってほしいと思います。

やっぱり大事なのは基本的な感染対策!

藤友先生:抗菌薬について知識を持ち、正しく使用することは耐性菌を生まないためにとても大切なことです。でもさらに大切なのは、私たちが感染症にかからないように予防すること。そのためにできるのは、手洗いやワクチンなどの基本的な感染対策です。

病院は具合が悪い人が行きますし、治療の一環として抗菌薬を飲んでいる人もいます。なので病院は、実は病原体や耐性菌がいる場所だと思った方がよいです。

病院へ行き、そこで感染したり、保菌してしまうこともあります。熱を出したり風邪を引いたりせずに毎日健康に過ごすことは、巡り巡って耐性菌を増やさないことにつながります。

金子さん:コロナ禍の時はあんなに気を付けていたのに、最近ちょっと油断していたかも。改めて手洗いはしっかりしようと思いました。ちなみにウエットティッシュやアルコールスプレーなどでも効果は同じですか?

藤友先生:ウエットティッシュは完全に汚れを取るのは難しいですね。また、アルコールで死なない菌やウイルスもいます。やはり石鹸を使って水で手洗いするのが一番効果的。

帰宅時やトイレの後、食事の前は特に水と石鹸で手を洗いましょう。外出先などで水と石鹸を使った手洗いができない場合にウエットティッシュやアルコールを活用するという考え方がよいと思います。

小薗江さん:石鹸で洗うことが大切なのですね。これから実践してみたいと思います。

金子さん:私は子どもが大きくなって自分の食事や睡眠に気を配れるようになってからはほとんど風邪をひかなくなりました。

藤友先生:そうですね。一人ひとりが健康習慣を身につけることはとても大切なことです。11月は薬剤耐性対策推進月間です。当センターでは抗菌薬を正しく使用するための動画や資材を作成して配布しています。

普段行くクリニックや薬局にポスターが貼ってあるかもしれません。見つけたらぜひ、内容を見ていただき、家族や周りの人に伝えていただきたいです。

また、ご家族や友人など、今日お話したことをまわりの方々にも伝えていただき、みんなで薬剤耐性の問題について考えられるようになるとよいですね。

提供/AMR臨床リファレンスセンター

HALMEK up編集部
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