50代からの女性のための人生相談・20

人生相談:コロナ禍の遠距離介護が不安です

公開日:2021/05/25

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「50代からの女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が回答するQ&A連載。今回は56歳女性の「コロナ禍の遠距離介護」のお悩みについて、介護・暮らしジャーナリスト、太田差惠子さんが回答します。

コロナ禍の遠距離介護が不安です
50代からの女性のための人生相談・20

56歳女性の「コロナ禍の遠距離介護」のお悩み

地方で一人暮らしをしている高齢の母がいます。

今のところ自活できていますが、これからを考えると不安です。父が亡くなったタイミングなど、事あるごとに、上京して私たち家族の近くに住むことをすすめていますが、断固としてNOと言います。

母が体調を崩したり、転んで骨折したりするたびに、私が一人で2週間~1か月の長丁場で、介護に行っています。兄が一人いますが仕事があるため、動ける私が世話をしています。

幸い、私の家族は協力的で感謝していますが、私自身も年を取り、飛行機に乗って自宅と実家を行き来するのが、体力的にもつらくなってきました。

母の「生まれ故郷から離れたくない」という気持ちを尊重したいのですが、コロナ禍の中で、どうするのが最善策なのか日々考えています。

(56歳女性)

太田差惠子さんの回答「遠距離介護にはメリットもある」

太田差惠子さんの回答「遠距離介護にはメリットもある」

離れて暮らす子どもが、高齢の両親のもとへと通う「遠距離介護」。しかし、コロナ禍の今は、実家に帰省すること自体が難しくなっています。

こんなに会えないならと「Uターン介護」を検討する人もいます。しかし、それも簡単ではありません。Uターン介護をするには、自分の仕事や生活をどうするかという問題があります。

だったら自宅の近くに親を呼び寄せよう、と考える人も多いのですが、多くの親は「住み慣れた土地を離れたくない」と言います。

ご相談者は、これまで一人で2週間~1か月の長丁場、母親のもとに滞在し、介護をしていたとか。それは、肉体的にも精神的にも疲れますね。今後もそういうことが頻発するのでは、と思うと「勘弁して!」という気持ちにもなるでしょう。

私は25年にわたり、遠距離介護を支援するNPO法人の活動を行っています。そして、多くの子世代を見て思うのは、「遠距離介護には意外とメリットもある」ということです。

コロナ禍の今こそ知っておきたい!遠距離介護のメリット

遠距離介護のメリットとは?

私がこれまでの経験から感じている遠距離介護のメリットは、大きく以下の3点です。

  1. 離れているから優しくし合える
    親子とはいえ、価値観や考え方が異なって当たり前。ずっとそばにいると腹が立つことが多いけれど、通っていった時だけだと思うと、互いに気遣えるはず。
     
  2. 行政・民間の介護サービスを使いやすい
    介護保険のホームヘルプサービスには、身体介護の他、家事援助的な生活援助があります。家族がいると生活援助は利用不可の自治体が多いのですが、親だけで暮らしていると利用できることも。

    また、介護保険とは別の自治体サービスもあります。例えば、緊急時にボタン一つで通報できる「緊急通報サービス」なども、高齢者世帯なら利用できるケースが多いものです。
     
  3. 特別養護老人ホーム(特養)に入りやすい
    入所は申し込み順ではなく、困っている人が優先されるので、介護者が遠距離にいる場合、比較的スムーズに入所できます。介護の必要度合いが増したら特養へ入所を、と考えているなら、メリットと言えます。

介護は「サービス」に依頼して、子どもは「司令塔」に

遠距離介護はサービスに依頼がおすすめ

遠距離介護では、サービスをとことん利用することが不可欠です。介護保険はもちろん、自治体のサービスや有償ボランティアなどのサービス、場合によっては民間サービスも使いましょう。

つまり、直接の介護は「サービス」に担ってもらうのです。子どもはケアマネジャーや医師と連絡を密にし、「司令塔」に。これなら、自分が実家に長期滞在しなくても大丈夫。親にも、“サービス利用は必須”と理解してもらいましょう。

サービスについての相談は、親の住所地を管轄する地域包括支援センターへ。連絡先がわからない場合は、役所に問い合わせてください。

ただ、介護の必要度合いが高くなると、在宅の限界はくるかもしれません。親にも、“在宅が難しくなったら施設介護に移行”と覚悟してもらう必要があります。

メリットを上手に活用すれば、案外「遠距離介護」は悪くない選択です。実際、多くの方が実践されています。

回答者プロフィール:太田差惠子さん

回答者プロフィール:太田差惠子さん(介護・暮らしジャーナリスト)

おおた・さえこ 介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長、AFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)。京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。取材活動より得た豊富な事例をもとに「遠距離介護」「仕事と介護の両立」「介護とお金」 等の視点でさまざまなメディアを通して情報を発信する。著書に『親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと』(翔泳社)など多数。最新刊は『子どもに迷惑をかけない・かけられない!60代からの介護・お金・暮らし』(翔泳社)。

構成:竹下沙弥香(ハルメクWEB)

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