50代からの女性のための人生相談・46

人生相談:熟年離婚したい…急がないと金銭的に損?

公開日:2021/11/24

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「女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が回答するQ&A連載。今回は57歳女性の「離婚とお金」についてのお悩みに、ファイナンシャルプランナー・畠中雅子さんが回答します。

人生相談:熟年離婚したい…急がないと金銭的に損?

57歳女性の「離婚とお金」についてのお悩み

57歳女性の「離婚とお金」についてのお悩み

夫の単身赴任について行きたくなかったため、一人でアパートを借りて残りました。生活費はもらっていません。この先、一緒に住むことはないだろうと、自分では考えています。

いずれ離婚話はしないといけないかもしれないと思うのですが、税制や助成制度などの面で、金銭的に今の状況は損なのか、行動を進めた方が得なのかを知りたいです。 

具体的にいうと、自分は300万円以下の年収。婚姻関係があることで世帯収入が高くなり、払わなくてもいい税金を払っていないだろうか?また、離婚したらもらえるお金はあるのでしょうか? 

離婚話を始めたら、そこから別居中の生活費を請求できるのは知っていますし、たぶん、それがだいぶ得なのでしょうが、なかなか腰が上がらない状態です。

夫はあと2年で定年の58歳、私も冬になると58歳になります。年金分割は申請したいですが、そのためには年金をもらうまでに離婚をした方がいいのでしょうか。 

(57歳女性・はるさん)

畠中さんの回答:税金や社会保険に損得はありません

畠中さんの回答:税金や社会保険に損得はありません

「お一人でアパートを借りて残られた」ということですので、「少なくとも、扶養しなければならない年齢のお子さんはいない前提」で話を進めます。

18歳以下で高校を卒業するまでのお子さん(障害をお持ちの場合は20歳未満のお子さん)がいる場合、児童扶養手当というお子さんを扶養するための手当がもらえます。

ですが、上記の前提の下ですと、はるさんの場合は児童扶養手当には該当しません。離婚してお一人になられても、手当に当たるものの支給はないわけです。

また年収は300万円以下とのことですが、配偶者控除や配偶者特別控除の対象にもなっていないと思われます。つまり夫にとっても、妻である、はるさんの存在によって、配偶者控除などが利用できてはいないはずです。

ちなみに、年収が103万円を超えていても201.6万円未満であれば、はるさんの収入に応じて、夫(合計所得金額1000万円以下の場合)は配偶者特別控除が受けられますが、この収入は超えているのではないでしょうか。

社会保険も、夫の被扶養者ではなく、ご自分が被保険者として、加入されているはずです。

社会保険は、年収が130万円未満(社員数501人以上の会社で働いている場合は106万円未満)の場合には、夫の被扶養者として、厚生年金や健康保険などの保険料は免除されますが、はるさんはご自身の収入から天引きされているのではないでしょうか。

以上のことを整理しますと、離婚を急いだとしても急がなくても、税金や社会保険の制度については、「得も損もない」のが現実だと思われます。

離婚分割の種類によっては夫と話し合う必要がある

離婚分割の種類によっては夫と話し合う必要がある

次は、将来の年金についてです。離婚時の分割には、「合意分割」と「3号分割」の2つの選択肢があります。合意分割は、婚姻期間中の厚生年金について、話し合いで分割する方法です。1/2の割合で分けるケースが多くなっています。

3号分割は、第3号被保険者であった期間(2008年4月以降の分)の厚生年金を、1/2に分割できる制度です。3号分割については、話し合いをしなくても、請求すれば自動的に分割できます。

はるさんが、結婚以来ずっと働かれているのか、専業主婦の時代や働いていても第3号被保険者の時代があったかは、ご質問だけでは判断できません。

仮に第3号被保険者の時代があったとしたら、「2008年4月以降の第3号被保険者の分の厚生年金について」は、自動的に分割されます。それ以前の分は、合意分割に当たりますので、夫と話し合う必要があります。

例えば、離婚分割に該当する期間が10年間だったとします。その期間分の夫の厚生年金額が4万円だとすると、その1/2に当たる2万円が、ご自分の将来の年金に上乗せされます。はるさんが1963年生まれだとすると、特別支給の老齢厚生年金を受け取れるのは、63歳からになります。

なお、国民年金は離婚分割の対象にならず、夫、はるさんとも、ご自分の加入期間に応じた年金額が受け取れます。

財産分与で受け取れる額も離婚後の生活のカギになる

財産分与で受け取れる額も離婚後の生活のカギになる

ご自分が厚生年金に加入している期間は、年金分割の対象外になるため、はるさんが想像されているほど、離婚分割で受け取れる年金額は多くないと思います。

また離婚分割で気を付けたいのは、離婚から2年を過ぎると、請求ができなくなる点です。合意分割の対象期間があるのなら、合意分割に応じてくれるように、夫に相談をしてみるのが良いでしょう。

なお、離婚を急いでも急がなくても、はるさんが今のように働かれている限り、年金分割の金額が変わるわけではありませんが、63歳を過ぎて、はるさんの特別支給の老齢厚生年金がもらえるようになってから離婚される場合は、注意が必要です。

夫から分割される特別支給の老齢厚生年金は、離婚が成立しないと受給要件は発生しませんので、婚姻状況が継続していれば、63歳に達しても支給されないからです。

いずれにしても、はるさんの場合、ご自分にも収入があるため、助成制度などの対象にはなりにくいと思います。つまり離婚した後の生活については、ご自分が何歳まで、いくらの収入で働けるのかと、財産分与でどのくらいの資産を受け取れるのかに左右される面が大きくなるはずです。

財産分与についても、まずは話し合いが必要ですので、離婚を決意されているなら、年金分割も含めて、夫と早めに話し合いの場を持つことをおすすめします。

回答者プロフィール:畠中雅子さん

回答者:畠中雅子さん

はたなか・まさこ 1963(昭和38)年生まれ。ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)。『高齢化するひきこもりのサバイバルライフプラン』(近代セールス社刊)他、著書は70冊以上。また「ミニチュアワールドと観光列車」に造詣が深くブログを開設している。

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