公開日:2021/04/27
更新日:2021/10/29
「50代からの女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が回答するQ&A連載。今回は56歳女性の「離婚後の生活費」についてのお悩みに、ファイナンシャルプランナー・畠中雅子さんが回答します。
2年前、54歳で離婚しました。離婚したときに住んでいた家をもらい、その代わり、将来受け取れるはずの年金(離婚分割に相当する金額)はもらわない取り決めをしました。
元夫は金遣いが荒く、貯金ができませんでした。20年前から私はパートに出ていたのですが、自分の収入は娘の予備校代や生活費に消えました。ようやく5年前に正社員になれましたが、5年たっても給料は新入社員当時のままです。
今の収入が変わらないとすれば、将来受け取れる年金額は月額8万円程度です。8万円では生活できないと考え、正社員になってからは毎月10万円を貯金しています。そのかわり、現在は苦しい生活で、わずかなボーナスを崩しながら生きています。
生活が楽になる方法を教えてください。
(56歳女性)
50代での離婚ということで、つらいご経験をされましたね。一人で老後を迎えるために毎月10万円を貯めて、がんばっていらっしゃるとのこと。とても立派だと思います。
老後生活を一気に楽にするアドバイスはできませんが、老後生活の不安を軽減する方法を考えてみたいと思います。
生活を楽にするために一番確実な方法は、1年でも1か月でも長く働くことです。社会保険に入った状態で60歳を過ぎても働ければ、老後にもらえる年金額を増やせます。
8万円の年金額が8万5000円や9万円になれば、月の赤字も減るでしょう。
また、65歳などで会社員としての働き方は終えたとしても、その後も月1~3万円くらい稼げるアルバイトをされてはいかがでしょうか。
例えば、ファミリーサポート事業に登録して、お子さんの保育園のお迎えをしたり、要介護者の病院の送迎を手伝う仕事などをする方法です。あるいはシルバー人材センターなどを活用する方法もあります。
シルバー人材センターを利用して65歳以降も働きたい場合は、お住まいの地域で、求められている能力は何か、どのような能力を持っていると、シルバー人材センターからの仕事がきやすいかを事前に調べることをおすすめします。
例えば、庭の広い家が多いエリアに住まれている方は、庭木の手入れの助手ができると、仕事を受けやすいなど、地域の特性があるからです。需要のありそうな仕事、あるいは競争相手が少なそうな仕事は何かを、今のうちから調べておき、その能力を磨いていけば、65歳以降も収入を得られる可能性が出てくると思います。65歳になってから調べるのではなく、今から作戦を立てておくことが大切です。
老後の家賃負担がないことを考えると、65歳以降も働ければ、年金での赤字は少なく済ませられ、貯蓄を取り崩すスピードも遅くなると思います。ただし、持ち家のために固定資産税の負担はあるはずですし、家の修繕費用なども必要です。
また、60歳以降は医療費負担も気になるところ。
歯のインプラント治療のように、広く行われているものの自由診療になる医療措置について、受けるのか受けないのか、受けるとしたら、いくらくらいまで使っても大丈夫そうかなども、50代のうちに考えておくことをおすすめします。
一方で、気分転換や仕事のストレス軽減のために、たまには旅行に行くのもおすすめです。そのような特別支出分を見積もり、貯蓄から取り置きましょう。特別支出を見積もらず急な出費が発生すると、貯蓄が減って不安感も高まるからです。
老後に向けては「不安の正体」を具体化し、自分にできる対策を講じ、できないことは諦めるのも一つの考え方だと思います。「絶対に3000万円貯める」と決めても、実力に合わない目標なら、できないことに苦しむだけだからです。
自分の実力に見合った目標額を設定して、その金額をクリアすること。そして、60歳以降も働く方法を見つけることができれば、老後に向けての不安が軽減するのではないでしょうか。そうなることを願っています。
はたなか・まさこ 1963(昭和38)年生まれ。ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)。『高齢化するひきこもりのサバイバルライフプラン』(近代セールス社刊)他、著書は70冊以上。また「ミニチュアワールドと観光列車」に造詣が深くブログを開設している。
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