ここでしか見られない景色「伊根の舟屋」とは？

 

京都駅から伊根町までは、電車とバスを乗り継いで約4時間。その距離の遠さから、京都市在住の人も訪れたことがないという人も多い場所です。

ここ伊根町は、よく「日本のベネチア」と表現されます。まるで家が海の上に浮かんでいるかのような「舟屋」が約230軒立ち並ぶ様子は、ここでないと見られない景色です。

「舟屋」とは、１階部分に船のガレージ、２階部分には居住スペースがある独特な建造物のこと。1800年代前後である江戸時代中期から存在するとされており、海とともに脈々と生活を営んできた漁師たちの家でもあります。伊根湾は干満の差がなく、湾の入り口近くの青島という島が防波堤の役割を果たしているため、波が穏やかで昔と変わらない建築物と風景が残ったと考えられます。

玄関を開けたらすぐに船があるという光景は伊根ならではですが、舟屋はあくまでも離れです。住民は、通りを挟んで山側にある住居を母屋としている場合が多いです。両脇に家が立ち並ぶ通りの風景も、伊根町の見どころのひとつです。

伊根の舟屋は、2004年に国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されました。また「日本で最も美しい村」にも加盟しており、後世に継がれるべき日本の原風景ともいえるでしょう。

遊覧船、酒造……伊根町で必ず訪れたい場所

伊根町に来たら必ず体験したいのが、海上から舟屋の立ち並ぶ景色を見ることです。一度に150名まで乗船できる大型の遊覧船「伊根湾めぐり　遊覧船」は、約25分間かけて伊根湾を周遊します。なんと、船内は冷暖房完備。販売されているエサを買っておけば、カモメと戯れることもできますよ♪

 

伊根湾めぐり　遊覧船
電話：0772-32-0009
営業： 4月28日～10月28日　9:00 ～ 16:30 ／ 10月29日～4月27日　9:00 ～ 16:00
運行間隔：毎時0分、30分毎に運航。（繁忙期や多客時は、15分毎に運航）
運賃：大人680円、子ども340円

もっと詳しく知りたい、もっと近くで舟屋を見たいという場合は、小型船の「海上タクシー」をチャーターするのも一つの手です。地元漁師などが伊根の舟屋の歴史や景観について説明しながら伊根湾を周遊してくれます。伊根湾内ならば、電話一本で船が迎えに来てくれるのもうれしいところ。2名から乗船可能で、料金は30分・大人1000円（小学生以下無料）。

海上タクシー　成洋丸（090-2193-8523）
海上タクシー　亀島丸（090-8579-1002)
海上タクシーマリネ（事前090-1022-1252、当日090-7360-9323）

遊覧船と合わせて足を運びたいのが、「向井酒造」です。創業は1754年。女性杜氏がこだわりの地酒を作る、日本で一番海に近い酒造です。古代米を醸造して作ったロゼワインのような色みの「伊根満開」は、お土産にしたい一品。米の甘酸っぱさが口に広がる新感覚の日本酒です。レトロで風情のある店内では、おつまみもさまざま販売しています。試飲もできて、自分の口にあったお気に入りの日本酒を購入できますよ。

■向井酒造
住所：京都府与謝野群伊根町平田67
営業時間：9時～18時　
電話：0772-32-0003
定休日：年末年始

舟屋の宿は、１日１組限定だから予約はお早めに！　

伊根町の宿泊施設には漁師が営む宿や温泉旅館があります。でもせっかくなら、波の音を直に感じられる舟屋に泊まりたいところ。舟屋の２階部分に部屋を構える民宿が多数あります。ただしほとんどの舟屋の宿は、部屋数が１～２部屋のみなので、宿泊客は１日１～２組限定です。

宿泊できる人数が少ないことに加えて、伊根町は海外からの旅行客も多く訪れており予約が早い段階で埋まってしまいます。宿によっては２か月先まで予約が取れない場合も。思い立ったら、早めに予約をすることをおすすめします。

１日１組限定で、地場産料理が楽しめる宿をいくつかご紹介します。
 

リノベーションされたモダンな部屋と
伊根湾を一望する温泉露天風呂でぜいたくな1日を
■伊根の舟屋　雅
住所：京都府与謝郡伊根町字平田552
電話 ：0772-32-0280
料金：素泊まり12,030円～（税込・併設するカフェで朝食がプラス1980円でいただけます）
チェックイン15時、アウト10時
 

 

朝・夕、女将の手料理２食付き
家族・グループでくつろげる
■舟屋の宿　倉忠
住所：京都府与謝郡伊根町字亀島804
電話 ：0772-32-0532
料金：14,040円～（税込）
チェックイン15時、アウト10時

 

リノベーションした伝統と情緒ある空間
宿の浜から魚釣りもできる
■舟屋の宿　まるいち
住所：京都府与謝郡伊根町字亀島940
電話 ：0772-32-0608
料金：素泊まり 10,000円～（税込）
チェックイン15時、アウト10時
公式ＨＰあり

 

地元食材を堪能する料理にこだわり！
宿泊とセットで、海上遊覧もできる
■舟屋の宿　鍵屋
住所：京都府与謝郡伊根町字亀島864
電話 ：0772-32-0356
料金：2食付き21,600円～（税別）
チェックイン15時、アウト10時30分
公式ＨＰあり

 

海を眺めながらつかる半露天風呂、
完全プライベート空間の安らぎ
■舟屋の宿　蔵
住所：京都府与謝郡伊根町字亀島863-1
電話：0772-32-0815
料金：朝食付き12,000円～（税別）
チェックイン15時、アウト10時
公式ＨＰあり

獲れたての魚料理が楽しめる漁師の宿
小定置網漁の体験もできる
■舟屋の宿　たいせい
住所：京都府与謝郡伊根町字亀島1017
電話：0772-32-0026
料金：11,500円～（税込）
チェックイン15時、アウト10時

上記以外の宿も伊根町観光協会の公式ＨＰで紹介されています。　

伊根への行き方（交通アクセス）

個人旅行が不安な場合は、伊根町・天橋立を目的地にしたバスツアーもあるので利用するといいでしょう。公共交通機関を利用する場合は、電車と路線バスを利用するか、高速バスと路線バスを乗り継ぐアクセス方法があります。

電車の場合、ＪＲの特急電車か京都丹後鉄道で、「天橋立駅」または「宮津駅」で下車。路線バス（丹後海陸交通）に乗り換えます、バスの行き先は、「経ヶ岬」「蒲入」「伊根郵便局前」のいずれかを利用します。移動時間は約1時間。バスの運賃は「天橋立駅」または「宮津駅」から400円です。

京都駅から天橋立までは、高速バスの発着もあります。天橋立観光協会・伊根町観光協会が提供、丹後海陸交通が運航する1日3本往復のバスに、片道2600円～2800円で乗ることができます。利用するときはインターネットから事前予約をしましょう。

そして伊根町内を散策するなら、ぜひ利用したいのが“無料”のレンタサイクルです。4つのサイクルポートで自由に使えます。サイクルポート以外のサイクルポートで返却することも可能です。

レンタサイクルや宿のことなど、伊根町の観光情報を知りたい場合は、伊根町観光協会までお問い合わせください。地元ガイドが案内するガイドツアーも催行しています。

■伊根町観光協会
住所：京都府与謝郡伊根町平田491
電話：0772-32-0277
営業時間：9時～17時（年中無休※年末年始を除く）

 

 

 

ふっこう周遊パスを利用しよう！天橋立・伊根を巡るモデルコース

現在、平成30年7月豪雨の影響を受けた京都府北部地域の観光復興を目指して、「海の京都 ふっこう周遊パス」が発売されています。

この周遊パスは、伊根町や天橋立が含まれる「海の京都」のエリアの鉄道やバスで、お得に周遊できるフリーパスです。1日周遊券、2日周遊券ともに、通常価格より1,700円もお得です。

また、購入特典として天橋立傘松公園のケーブル・リフトや阿蘇海の観光船、伊根湾めぐり遊覧船の割引も受けることができます。さらに京都丹後鉄道の観光列車で販売されている「丹鉄珈琲」が１杯セットでついてきます。

 

■発売期間：2019年3月31日(日)まで　※売り切れ次第、販売終了
1日周遊券　おとな　2,200円　（こども　1,100円）
2日周遊券　おとな　3,000円　（こども　1,500円）

■利用可能範囲

• 京都丹後鉄道　
  全区間の普通列車、快速列車、特急列車自由席
• 丹後海陸交通
  路線バス乗り放題（高速バス、登山バス、コミュニティバス除く）
• 京都交通
  路線バス乗り放題（高速バス除く）

■販売場所

京都丹後鉄道 全有人駅
　問い合わせ TEL0772-25-2323（平日9時00分～18時00分）
丹後海陸交通 宮津案内所、天橋立観光船のりば、本社営業所
　問い合わせ TEL0772-42-0321（平日8時45分～17時45分）
京都交通 東舞鶴チケットカウンター、西舞鶴駅案内所、福知山駅案内所
　問い合わせ TEL 0773-75-5000（平日9時00分～17時45分）
 

■天橋立と伊根をめぐり、福知山城に行くモデルコース

「天橋立（文殊）」
↓
天橋立観光船・路線バス
↓
「一の宮（府中）」
↓
天橋立ケーブルカー・リフト
↓
「天橋立傘松公園」・「天橋立ケーブル下」
↓
丹後海陸交通バス（伊根線、蒲入線、経ヵ岬線）
↓
「伊根」・「伊根湾めぐり遊覧船」
↓
丹後海陸交通バス（伊根線、蒲入線、経ヵ岬線）
↓
「天橋立駅」
↓
京都丹後鉄道
↓
「福知山駅」

ぜひ、お得な周遊パスで海の京都エリアを楽しんでみてください。

 

取材・文＝竹上久恵（ハルメクWEB編集部）

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