京都から1時間半の古代ロマン旅

古代ロマン飛鳥日帰りきっぷ|万葉遺跡をのんびり巡る

公開日:2018.07.22

京都はよく行くけれど、隣の奈良へはなかなか行けないと思っていませんか?  「古代ロマン飛鳥日帰りきっぷ」を使えば京都や大阪から交通費もお得に遺跡巡りができます。このきっぷの特典や活用術、モデルプランをご紹介します。

古代ロマン飛鳥日帰りきっぷとは?

近鉄で奈良へ

「古代ロマン飛鳥日帰りきっぷ」は京都、大阪、神戸など関西の私鉄沿線から奈良・飛鳥エリアへ電車でお得に往復できる日帰り切符です。毎年、近鉄電車が通年発売しており、関西在住者のみならず、京都旅行や大阪旅行のついでに、ちょっと足を延ばして奈良も巡りたいという人にはぴったりの切符です。大きく分けて5つの出発エリアがあり、料金も5種類あります。

近鉄沿線京都方面からの出発は1,960円
近鉄沿線大阪方面からの出発は1,440円
阪神沿線からの出発は1,860円
山陽沿線(明石以東)は2,470円
山陽沿線(全線)は2,780円

各社指定区間の1日乗り放題はそれぞれ異なりますが、共通して飛鳥エリアの近鉄電車が乗り放題(大和八木―橿原神宮前―壺阪山間、大和八木―桜井間)は付いてきます。例えば、京都から飛鳥駅まで電車で片道960円、単純に往復して1,920円かかります。この日帰り切符1,960円を使えば、差額たった40円で近鉄電車の京都駅から向島駅までの区間が乗り放題になりますし、近鉄電車の飛鳥エリアも乗り放題になります。橿原神宮前から飛鳥駅の1区間でも170円かかるので、1回乗り降りしただけでも元は取れてしまいます。

また、この切符のもう一つのお得な特典は、交通費だけでなく、現地に着いてから使える割引チケットが2枚付いていることです。

割引特典の内容:
1.奈良交通バスの片道無料券
2.レンタサイクル200円割引
3.提携する現地の施設入場料やお土産施設で使える100円割引券

通常だと橿原神宮前駅から石舞台までバスで370円かかるところ、チケット1枚で無料になりますし、高松塚壁画館の入場料250円のところ、チケットもう1枚使えば、100円割引で入場できます。交通費がお得になる古代ロマン飛鳥日帰りきっぷですが、注意点はJRや京都地下鉄、大阪地下鉄は対象外であること。また普通列車、快速列車のみ利用可能で特急料金は別途必要になります。
 

万葉のロマンあふれる飛鳥の見どころ

このフリー切符で巡れる飛鳥エリアは、6世紀後半から7世紀後半に栄えた奈良県の中でも特に歴史が古く特別な場所です。東大寺や法隆寺は日本人のみならず、世界中から観光客が押し寄せますが、ちょっと足を伸ばした飛鳥は驚くほどひっそりとした雰囲気。奈良・平城京よりも前の飛鳥時代に宮殿が置かれ、聖徳太子や蘇我馬子が活躍した頃の仏教伝来の地でもあります。万葉集にも詠まれた畝傍山、耳成山、天香具山の大和三山に囲まれたのどかな田園風景の中に、いまだ謎に包まれた古墳や石造物が点在します。交通の便がいいというわけではない分、観光客が少ないので、その時代に思いをはせながら、古墳やお寺をゆっくり見て回ることができます。


見どころ1:歴史ある二つの寺院

飛鳥寺は、蘇我馬子が建立した日本初の本格的な仏教寺院。本尊の飛鳥大仏は日本最古の仏像で、奈良東大寺の仏像とはまた違う面長な優しい表情を見せます。聖徳太子生誕の地と伝わる橘寺は聖徳太子像を本尊として祭っています。

日本最古の仏像とされる飛鳥大仏


見どころ2:想像力を駆り立てる二大古墳

高松塚古墳は、「飛鳥美人」とたたえられる色鮮やかな装束をまとった美人画が石室を彩っており、その当時の日本人像や生活様式がうかがえます。現在は修復のため内部見学はできませんが、その原寸模写を隣接する壁画館で見ることができます。

キトラ古墳も高松塚古墳と並び極彩色の壁画が有名な円墳です。東西南北に描かれた朱雀、青龍、玄武、白虎の四神像や天井の天文図は見るものを魅了します。

二つの古墳とも大変貴重な文化財のため、通常は内部見学できないのですが、年に数回、一般公開のチャンスがあります。高松塚古墳は春夏秋冬にそれぞれ1週間ずつ、キトラ古墳は1か月間ずつ文化庁が無料で一般公開を実施しています。ぜひ実物を見てみたいという人は、公開時期に合わせて旅行プランを立ててみるのもいいですね。事前にインターネットかハガキでの申し込みが必要なので、詳しくは文化庁のホームページで確認してみてください。


見どころ3:ミステリアスな石群

石舞台古墳は、39個の巨石が絶妙なバランスで積み上げられた、日本最大級の横穴式石室古墳です。一番上の天井石が平らなことから石舞台と呼ばれています。蘇我馬子の墓だという説が有力で、石室の中にも入ることができます。ほかにも亀石や猿石など愛らしい素朴な表情を持つ石像や、酒船石に代表される高い技術力がうかがえる石造物まで、さまざまな石が飛鳥エリアに点在しています。

飛鳥のシンボル的存在である石舞台
ユーモアあふれる猿石


見どころ4:万葉集にまつわる場所

万葉集に詠まれた日本画を展示する奈良県立万葉文化館や万葉風土学を提唱した学者、犬養孝ゆかりの犬養万葉記念館、大和三山を見渡せる甘樫丘があります。

春過ぎて 夏来たるらし 白妙の 衣干したり 天の香具山  持統天皇

采女の 袖吹きかえす 明日香風 都を遠み いたづらに吹く  志貴皇子
 

京都から飛鳥への日帰りプラン

 

のどかな里山をゆっくり散策

謎めいた古墳や歴史のある見どころが多い飛鳥ですが、奈良はそもそもホテルや旅館が少ないので、日帰りで訪れるのが現実的です。例えば2泊3日の京都旅行のうち、1日だけ奈良へ足を延ばしてみたいという人には、「古代ロマン飛鳥日帰りきっぷ」が最適です。それでは、有名な寺社仏閣とはまた違う魅力がある飛鳥エリアで、ゆっくりのんびりと遺跡巡りができる日帰りモデルプランをご紹介しましょう。

9:00 京都駅

10:30 飛鳥駅 レンタサイクル1日900円(割引チケット2枚使用で400円引き)

10:40 高松塚古墳・壁画館

11:30 亀石

11:40 橘寺

12:00 石舞台古墳

13:00 cafeことだま 
地元で採れた新鮮な野菜と古代米を使ったヘルシーランチが1,620円。奈良県で品種改良されたイチゴ「あすかルビー」を使ったケーキやパフェも人気です。

14:30 酒船石

14:45 奈良県立万葉文化館

15:30 飛鳥寺

16:30 飛鳥瑠璃の丘 天極堂テラス
吉野本葛専門店の井上天極堂が営むショップ&カフェ。体に優しい吉野葛をお土産に。

17:00 橿原神宮前駅 レンタサイクル返却

18:30 京都駅

飛鳥エリアはバスの本数が少ないので、到着後はフリー切符特典のレンタサイクル割引券(チケット2枚使用で400円割引可能)を使うと移動が楽です。
 

まとめ

古代に思いをはせる飛鳥エリアの遺跡巡りにはサイクリングがぴったり。高低差もなく、田んぼの中の細い道をゆっくり走れるので、気分爽快。今回の日帰り切符なら往復の交通費と乗り降り自由区間、それに加え現地で使えるレンタサイクル割引券も付いてくるので、お得です。

文・高沢由香 
 

●近鉄電車テレフォンセンター TEL050-3536-3957  http://www.kintetsu.co.jp/senden/Railway/Ticket/asuka_1day

●文化庁 http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/takamatsu_kitora/index.html

●高松塚古墳・壁画館 http://www.asukabito.or.jp/hekigakan.html

●石舞台古墳 https://www.asuka-park.go.jp/area/ishibutai/

●café ことだま http://www.cafe-kotodama.com

●奈良県立万葉文化館 http://www.manyo.jp/

●飛鳥瑠璃の丘 天極堂テラス http://www.kudzu.co.jp

 

 

 

 

ハルメク365編集部

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