吉永小百合、山口百恵で映画化

三島由紀夫『潮騒』の舞台となった神島

梅原 トシカヅ
2018/08/31 9

伊勢湾の入り口にポツンと浮かぶ神島は、三島由紀夫の小説『潮騒』の舞台として知られています。神秘的な孤島のイメージながら絶好のアクセスも魅力で、独特な自然やグルメが楽しめる超穴場の離島です。

初めての離島「神島」
【目次】
  1. 伊良湖からわずか15分という絶好のアクセス
  2. 三島文学と恋愛の聖地を訪ねて島一周ハイキングへ
  3. 映画のロケ地の向こうに広がる美しい風景
  4. まとめ

伊良湖からわずか15分という絶好のアクセス

絶海の孤島の雰囲気ながら伊良湖からわずか15分

 

三重県鳥羽市と愛知県伊良湖岬の間には、伊勢湾と太平洋の境界を示すかのように島が連なって点在しています。その中で最も東に位置し、他の島々とは少し距離を置いて浮かんでいるのが神島です。その名のとおり、古くから神の支配する島と信じられてきました。

 

伊勢志摩観光の中心地、三重県鳥羽市に属しており、町の港から北東へ14キロほどに位置しています。島の生活を支える市営船で40分ほど。しかし、実は伊良湖岬からのほうが3.5キロと近く、観光船を使ってわずか15分で行くことができます。どちら側からでも日帰りが可能ですし、伊良湖岬から神島に立ち寄って伊勢志摩へ、あるいはその反対というルート旅行も楽しめます。便数が限られるため船の時間だけは事前に確認しておきましょう。

 

鳥羽からはフェリーも出ておりクルマも持ち込める

 

三島文学と恋愛の聖地を訪ねて島一周ハイキングへ

神の島、パワースポットとして知られる八代神社

先に断っておきますと、神島にはタクシーやバスなどの島内交通はありません。また、小さな山が海原に浮かんでいるような地形のため、平地は少なく自転車を使っている人の姿をみることはありません。見どころを巡るには徒歩のみとなります。階段や起伏はあるので歩きやすい靴は用意したほうがいいです。でもご安心ください。遊歩道は整備されており、急がずゆっくり歩いて老若男女問わず散策を楽しめます。軽めのハイキングだと考えるといいでしょう。

港に着いてまず目に飛び込んでくるのが、『三島文学 潮騒の地』と刻まれた文学碑。三島由紀夫は日本中の離島にイメージを求めた末、神島にたどり着いたといいます(作品中では歌島)。滞在していた漁師の組合長の寺田家には、今も三島が使用した机が残されています。幾度となく映画化された『潮騒』は、吉永小百合、山口百恵(恋人役は三浦友和)、堀ちえみといった昭和のアイドルたちの本格的な女優への足がかりともなりました。それらのロケも実際に島で行われています。

それでは遊歩道をたどりながら島を巡ってみましょう。

港から集落の階段を上ると海の神「綿津見命(わだつみのみこと)」を祭る八代神社があります。元旦の未明に行われるゲーター祭りという14世紀の南北朝時代の太陽信仰から続く奇祭で知られますが、2018年は過疎化のため残念ながら中止になってしまいました。島人たちは復活に向け模索をしているところだそうです。

さらに上り坂を進んでいくと現れるのが真っ白な神島灯台。「日本の灯台50選」にも選ばれ、その先に広がる青い海の向こうには伊良湖岬が見えます。潮騒でも島の美しい場所と描かれていて、純愛成就がテーマの作品を象徴する場所になっています。愛を誓い合うのにふさわしい『恋人の聖地』として、2006年に最初の30か所の1つに選ばれ、近くの広場には記念のプレートが置かれています。

 

日本の灯台50選にも選ばれた神島灯台

映画のロケ地の向こうに広がる美しい風景

 

廃墟のような軍事施設跡は、ロマンティックな場面の撮影場所

灯台の先には『監的哨(かんてきしょう)跡』があります。戦時中、旧陸軍が伊良湖から撃つ大砲の試着弾を目視するために造られたという施設の跡です。一見、殺風景なコンクリートの廃墟のようですが、映画では重要なロケ地となりました。主人公の若い男女が密かに待ち合わせ、その日の雨に濡れた体を乾かすために炊いた火を挟んで裸で向かい合った場所。「その火を飛び越して来い」のせりふはあまりにも有名ですね。二人の心は結ばれるも、結婚するまでは……というそんな純愛映画の名シーンはここで撮られたものです。

さて、島でお腹を満たすにはどうしたらいいでしょう。集落の中に小さな喫茶店があるほか、民宿によっては昼食を提供してくれるところもあります。ただし、夕方などあまり遅い時間では用意できないことも多々あるため、滞在の時間帯にもよりますが、訪問前か後にするのも手。起点となる鳥羽も伊良湖も有数の観光地ですから、お食事処や売店に困ることはありません。お弁当を用意しておいて美しい風景の中でいただくのもおすすめです。

もしも時間が許せば、漁師の家庭が営む民宿に泊まって、のんびりと過ごすのも貴重な体験になります。宿では四季を通じて新鮮な魚介類が味わえますが、とくに名物のタコを使った料理は絶品。すれ違う観光客にも必ず挨拶をしてくれる温かな島人たちとのふれあいもきっとあることでしょう。

 

神島名物のタコを使った料理をぜひ味わって

 

まとめ

神島の素晴らしさは、ほんの少しの乗船時間と、歩くことを惜しまなければ、驚くほどの秘島感を気軽に味わえることにあります。さらに文学の舞台、純愛の聖地、神秘的なパワースポット、美しい独特の自然などの魅力が加わるのですから、とっても『お得な島』なのです。伊勢志摩の優雅な旅のついでに離島へ、という楽しみ方もおすすめです。

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交通アクセス

鳥羽市営定期船 鳥羽マリンターミナルー神島 約30~40分 問合せ:鳥羽市定期船課 電話:0599-25-4776

伊勢湾フェリー 鳥羽市ー神島 約60分 問合せ:伊勢湾フェリー伊良湖営業所 電話:0531-35-6217

名鉄海上観光船 知多市師崎ー神島 約50分 問合せ:名鉄海上観光船伊良湖営業所 電話: 0531-35-6868

神島観光汽船 伊良湖ー神島 約15分 電話での問合せ不可 http://www.irako.info/kamishima/

梅原 トシカヅ

うめはら・としかづ 旅行ジャーナリストで編集プロダクション「アナパ・パシフィック」代表。おもに海外の旅行ガイドブックを制作執筆し、訪問国は80以上。学生時代から、国内外問わずなぜか島に縁があり、仕事でもプライベートでも「島」率は高い。

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