氣の力で、心と体の安定を手に入れる(1)

合気道家・藤平信一「姿勢を変えるだけで心身は整う」

雑誌「ハルメク」
2019/10/04 28

誰もが持っていて、使い方を知ると心と体が安定し、疲れにくくなり、自分の力を100%発揮できるようになるもの。それが「氣」であると、心身統一合氣道の継承者、藤平信一(とうへい・しんいち)さんは言います。氣とは?

【目次】
  1. 氣は、誰もが持っている「生きる力」
  2. イライラや不安、緊張は手放せる
  3. 「自然な姿勢」を覚えることから
  4. 「つま先立ち」ですぐできる自然な姿勢

氣は、誰もが持っている「生きる力」

合氣道にはさまざまな流派がありますが、私が継承する心身統一合氣道は、「心が身体を動かす」という氣の原理に基づいています。そして、その土台である「氣」を、稽古や技を通して学んでいます。

小学生のお子さんから、70代80代の方、ビジネスパーソン、スポーツ選手もいれば、普段運動とは縁のない方まで、幅広い方が学べる武道です。

では「氣」とは何でしょうか。「元氣」「やる氣」「氣が合う」「氣が進む」「氣のいい人」など、私たちは「氣」という言葉をなんとなく使っています。しかし「氣」を明確に説明できる人は少ないのではないでしょうか。

「氣」とは、一言でいえば「生きる力」そのもの。誰もが持っているものです。超能力でも、超常現象でもなく、誰でも活用できるものです。それなのに活用しきれていない人が大変多い。「氣」を知り、使い方を学ぶことで、私たちの心や体はぐんと健康に、安定したものに変わります。

心身統一合氣道の創始者であった藤平光一は、「氣は人間本来の力を引き出し、健康を守り、不運を幸運に変えてしまう素晴らしいもの」と説きました。

みなさんにもその一端をお伝えすることで、氣を身につけていただき、よりよい明日につなげていっていただきたいと願っています。

イライラや不安、緊張は手放せる

誰もがすでに持っていて、活用することができたら何だかよさそうだ、と感じていただけたところで、もう一度、「氣」の話に戻します。

「氣」は、もともとは大自然に充満しているものです。また、人間は大自然の一部の存在です。

わかりやすく「氣」を例えてみましょう。

海の中で、手で水を囲むと、手の中には"自分の水"があります。手の中の水と、外の水は常に行き来しています。行き来している間は手の中の水が淀むことはありません。氣もこれと同じで、自分の中にある氣は常に下界と行き来していて、それが活発な状態を「元氣」というわけです。

ちなみに先ほどから「気」ではなく「氣」という漢字を使っていることにお気付きと思います。「氣」の「米」は、八方に広がる形なので、心身統一合氣道では「氣」の字を使っています。

では逆に、手で囲った水を外の水と行き来できなくしてしまうとどうなるでしょうか。手の中の水はいつか淀んでしまうでしょう。氣も、行き来が滞ってしまうと「病氣」になります。

このように、常に氣が通っている状態が本来の姿なのですが、ともすると私たちの氣は、簡単に滞りがちになります。

わかりやすい引き金は、怒りやイライラ、緊張や不安です。放っておくと心も体も不安定な状態が続き、いずれは病氣になるかもしれません。氣の滞りに気付き、早く解消し、氣が通う状態を維持できるようになると、心と体の使い方が変わり楽になれ、自分の持っている力を100%発揮することができるのです。

「自然な姿勢」を覚えることから

「氣」を身につける上で、最初に覚えていただきたいのが「自然な姿勢」です。自然な姿勢とは、最も楽で、安定していて、長続きするものです。さっそくご一緒に覚えましょう。家族や友人などパートナーと一緒に行うと、わかりやすいですよ。

みなさん、姿勢というと、学校で教わった「気を付け」を思い起こすかもしれませんね。ちょっとやってみましょう。どうですか、胸にも肩にも力が入って、この姿勢をずっと続けるのはつらいですね。

試しにパートナーに、あなたの肩のあたりを片手で軽く押してもらってください(あなたは押し返そうとせず、その場で立つだけです)。簡単にバランスを崩してしまうはずです。

「つま先立ち」ですぐできる自然な姿勢

ではさっそく、イラストのように自然な姿勢をつくる練習をしてみましょう。

<イラスト>

(右)体に余計な力を入れず、楽で安定した状態でつま先立ちをします。はじめにその場で足踏みや軽くジャンプをすると、足の自然なスタンスが決まります。
(左)かかとはゆっくり静かに下ろします。ドスンと下ろしてはいけません。たったこれだけのことで、足先まで氣が通い、安定します。
1と2を数回繰り返します。


自然な姿勢をつくるときのねらいは、「足先まで氣を通わせること」。

私たちは普段、かかとに重みを置きがちで、足先を使っていません。「つま先立ち」をすることで、足先まで氣が通います。

最初はぐらついたりして、うまく感覚がつかめないかもしれません。つま先立ちをする前に、その場で足踏みをしたり、軽くジャンプをしたりすると、足の自然なスタンスが決まります。また、壁に手をそっと触れた状態や、パートナーに補助してもらって行うのもいいでしょう。

つま先立ちは、楽で安定していることが肝心ですから、かかとは低くてもかまいません。そして、かかとは静かに下ろします。足先の感覚がはっきりすると思います。

これで足先まで氣が通った姿勢ができました。パートナーに、再び肩のあたりを軽く押してもらいましょう。安定しているはずです。

足先まで氣が通った姿勢は、すべての基本です。日常生活での歩く、座る、寝る、家事をする、仕事をするなど、体の使い方を楽に変えてくれ、肩こり・腰痛なども遠ざけます。

実は、トップアスリートやアーティストにもこれをご指導しています。さらに、「氣の呼吸法」を組み合わせることで、動じない心身を得ることができます。

この氣が通った姿勢を、ぜひ習慣にしてください。誰でも長年身についた体の癖や、忙しさゆえの姿勢の崩れがあるもの。ですから一日のうちで何度かつま先立ちをして、姿勢をリセットしてみましょう。電車やバスの待ち時間、家事の合間など、気付いたときでよいのです。

 

次回は、合氣道家・藤平信一「氣の呼吸法で、心を静める」

藤平信一(とうへい・しんいち)さん

1973(昭和48)年、東京都生まれ。東京工業大学卒業。幼少期より心身統一合氣道の創始者である父・藤平光一の指導を受け、2007年に継承する。現在は24か国で学ぶ約3万人の指導のため国内外で活動中。経営者・リーダー・トップアスリート・アーティストなどを対象とした講習や企業向け研修も行う。主な著書に『心を静める』、広岡達朗、王貞治との共著『動じない。』(ともに幻冬舎刊)、『3秒「つま先立ち」で、疲れない体になる!』(主婦と生活社刊)他多数。最新刊は『コミュニケーションの原点は氣にあり!』(ワニ・ブックス刊)

取材・文=前田まき(編集部) イラストレーション=サイトウマサミツ

※この記事は2017年12月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。

 

 

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創刊22年目、50代以上の女性誌売り上げNo.1の生活実用情報誌。前向きに明るく生きるために、本当に価値がある情報をお届けします。健康、料理、おしゃれ、お金、著名人のインタビューなど、幅広い情報が満載。年間定期購読誌で自宅に直接配送します。https://magazine.halmek.co.jp/

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