「ファスナー」と「チャック」はどう違う?
今朝、出勤前のお父さんに「社会の窓が開いているわよ!」と注意したら、「社会の窓って死語だよ、チャックだろう」と返ってきました。すると今度は子どもたちが、「チャックも死語じゃない? ファスナーでしょう」ですって。夫婦で苦笑い……。
今どきの若者はファスナーと呼ぶみたいですが、そもそもファスナーとチャックって、同じものを指しているのでしょうか? そういえば、ジッパーという言い方もしませんか?
気になって調べてみたところ、YKK株式会社によれば、ファスナー、チャック、ジッパーは同じものを指しているのだそう。違いは呼び方だけなのですね。どうして呼び方が違うのでしょう?
ファスナーの原型が誕生したのは1891年。アメリカのホイットコム・ジャドソン氏が、靴ひもを結ぶために考案した「クラスプ・ロッカー」という留め具だと言われています。とはいえ、ワタシ達が知っているファスナーとはだいぶイメージが違って、鍵ホックと小さな穴が並んだ複雑な形状だったようです。
ジャドソン氏の発明は、1893年にコロンビア博覧会に出品され、当時弁護士だったルイス・ウォーカー氏の目に留まりました。ジャドソン氏とウォーカー氏は、同年ユニバーサル・ファスナー・カンパニーを設立し、1905年「ザ・オリジナル」、1917年「ホックレスNO.4」というファスナーを開発、生産しています。ちなみに「ファスナー」は正式には「スライドファスナー(Slide Fastener)」という英国式名称で一般名詞です。
1921年、ビーエフグッドリッチ社が、自社のブーツの留め具として、ファスナーを採用しました。この際にファスナーをジッパーという名称にしたことから、アメリカにジッパーという呼び方が広まったと考えられています。ジッパーは、ファスナーの開閉時にするビュッという音「ZIP」が語源なんですって。(ジーパンだからジッパーだと思っていたわ……)
1927年、日本では広島県の日本開閉器工場が、ファスナー付きの財布を販売しました。この時にファスナーをチャックという名称にして、「チャック印」を商標(トレードマーク)にしたので、日本でチャックという呼び方が定着したと言われています。チャックは、巾着の「ちゃく」が語源なんですって。(じゃあ、日本でしか通じないのね)
一方、東京では1934年から吉田忠雄氏が設立したサンエス商会が手作業でファスナーを作っていましたが、1945年の東京大空襲で工場を焼失してしまいます。故郷の富山県に疎開した吉田氏は、サンエス商会を吉田工業株式会社と改称し、YKKという商標を掲げました。(ご存じYKKですね! ワタシのファスナーのツマミにも刻印されています。)
その後、吉田工業株式会社(1994年にYKK株式会社に変更)は、1950年にアメリカ製のチェーンマシーンを輸入し、ファスナーの大量生産をスタートしました。YKKは現在、世界のファスナー市場40%のシェアを誇っているそうです。
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参照:YKKグループ
イラスト:飛田冬子
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