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- 落語自由自在20 ~第194回朝日名人会~
落語が大好きなさいとうさんの落語体験記。今回は、「朝日名人会」に行ってきました。場所は、マリオンの11階にある有楽町朝日ホールです。
「紫檀楼古木」入船亭扇辰 上手さが光る秀逸な高座
「昔あって、今なくなった職業の一つにラオ屋があります」
ラオ屋??わかりません。ラオって何かしら??? 「昔はキセルで煙草を吸いましたので、」と、入船亭扇辰師匠の実演が始まります。扇子がキセルに見えるから、すごいです。
「吸い口と雁首は金が使ってありますが、真ん中はラオです。ラオスからきたので、ラオと言うらしいです」
漢字では羅宇と書いて、ラウ又はラオと読むそうで、扇辰師匠はラオと言っていました。
「竹ですね。どうです?私の落語はためになるでしょう? こういうのは三遊亭白鳥にはできません。(因みに白鳥師匠は「隅田川母子」や「豆腐屋ジョニー」等、ハチャメチャな新作落語で人気です)何も名前を出すことはありませんが……」で場内大拍手です。「電車でキセルと言うのは、ここからきているんです。つまり両端だけ金を使って、真ん中は使ってない、という訳です。でも、今は交通系電子カードSuicaやPASMOなので、それはできませんね。どうにかして裏技はないかと思いましたが、無理でした」
そして、噺に入ります。お清とご新造さんとの会話で物語は進んでいきます。登場するラオ屋のお爺さんは、江戸後期に実在した狂歌師だそうで、寄席で即席狂歌の高座を務めたこともあるそうです。扇辰師匠の上手さが光る秀逸な高座でした。
「芝浜」金原亭馬生
語りの部分はゆっくりゆったり、会話は歯切れよくテンポアップで、技ありの高座、お馴染の演目を堪能しました。
「芝浜」は、来月ハルメク落語会で聞くことになっています。演者によって其々演出の仕方が違いますので、夢丸師匠の「芝浜」は果たしてどんな「芝浜」になるのでしょうか?楽しみです。
「まめだ」三遊亭圓楽 大病も何のそのの熱演
「落語界は今前座が60名いて、待機前座が20名もいます。楽屋に入れない待機前座は、待機児童と一緒で大問題です」と笑わせます。実際、噺家志望者が急増しているそうです。
「二ツ目はひとくくりですが、真打がまた多いんで、若手真打、中堅真打、大御所、ご臨終と分かれます。人口分布と同じで、完全に逆ピラミッドなんです。間が抜けても困りますが、逆ピラミッドではねぇ」とボヤキながら、噺に入ります。
秋の落語「まめだ」は大阪道頓堀界隈に伝わる民話のような噺です。歌舞伎役者市川右三郎は門前の膏薬屋「本家びっくり膏」の息子で、母の作る膏薬を塗りながらトンボ返りの猛練習をつみ、やがていい役がつくようになります。まめだとは豆狸、サゲも綺麗で、メルヘンチックな噺でした。
圓楽師匠は、同じ年の同じ月の生まれで、あちらが私より9日お兄さんでしたので、若い頃からずっと聞いていました。大病をなさった後だけに、心配しましたが「まめだ」の熱演に、ほっといたしました。
「不思議の五圓」桂文珍 ブラックユーモアと表情が光る!
「久々の東京です。この前来たのは確か『桜を見る会』でした」で笑いを取ります。
「私は山口県民ではないので、すべて自費でした」に、またまた大笑い。「不思議の五圓」は「持参金」と言う題名で聞いたことがあります。途中、煙草を吸うシーンがあり「ここがラオです」と扇子を指さします。
扇辰師匠の噺が思い出され、場内どっと笑いが沸き起こります。噺自体はブラックユーモアですが、文珍師匠の表情が魅力的で、どんどんのめり込みます。
「不思議の五圓、いえ二十圓です」のサゲに、大笑いで幕となりました。文珍師匠をはじめ扇辰師匠・馬生師匠・圓楽師匠4人とも名人会に相応しい方たちでした。
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