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趣味はきものリフォームという渡来夢さん。着て、使って普段の暮らしの中で楽めるリフォームを心がけているそうです。今回は、お母さまのきもので作ったチュニックとスカートのエピソードについて。リフォーム後にちょっとしたハプニングがあったようで……
何枚も作った銘仙の上着
京都で手に入れた銘仙で作った上着は、背中心が直線でなく少し絞ってあり、体に馴染むので着やすく、何枚も作りました。始めは単衣で作っていたものを、前回のリバーシブルのベストの作り方を参考に上着もリバーシブルにしてみました。
袖口をつなぎ合わせるのに苦労しました。方向を間違えるとねじれてしまうのです。黒い方の袖口にちょっと裏側の色を付けてみました。
菊の模様の上着は、それならば裏地も付けられるのではないかと、手持ちの服を参考に、見よう見まねで何とか作りました。着用できればいいわけです。裏地の方にもポケットを付け、中身が落ちないように工夫しました。着ているうちに袖口は擦れてくることがわかりましたので、接着芯を貼るようになりました。
普段の生活で大切に使いたい
「きもので作りました。アンティークよ」と主張するのでなく、普段の暮らしの中で普通に使いたいと私は思います。着て、使って、楽しみたいと思うのです。使い果たしてから、感謝の気持ちを持って「ありがとう!お世話になりました」と言って始末。それならもったいないことはないと思いました。
母や祖母のきものを大事にただたんすにしまっておくことが「本当に大切にしていることなのか?」と疑問を持つようにもなりました。道は2つ。母たちのきものをそのまま着るか、リフォームして活用するかです。
思い切って、母のきもの2点からチュニックを3枚とスカートを1枚作りました。足りない部分は八掛を利用しました。
チュニックを母に見せたところ、大変な返事が返ってきました。「嫁に来るときお母さんが、織ってくれたきものだよ」と。よく確かめずにやってしまいました。当時はすごくショックでした。母の実家にいろいろな道具があったことも思い出され、悪いことをしてしまったと心は沈んでしまいました。どうしよう……と。
3枚のチュニックのうち1枚は母に着てもらい、おそろいがいいなと思っていましたが、無理なことでした。その時はきもののまま着ようという考えはまったく無かったので仕方ありません。和服の着装は自分でできないのですから。その後、繰り返し着た一枚とは、さよならしました。
きものを着る、リフォームする
娘の結婚、自分の退職、母を亡くすことが続き、そのまま着用できたらいいなという思いが少しずつ強くなりました。美しいきもの姿にも興味が出てきました。そこで、着付けを習いました。63の手習いです。母は身長が160センチはありましたので、裄だけ直してもらい、母のきものを自分で着ることができるようになりました。
そのまま着たいと思うきものはこれで大丈夫。服にした方がいいと思うきものはリフォームにと、それぞれ活(い)かせるようになり、気持ちが楽になりました。
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