グレイヘアで心軽やかに

グレイヘアでさっそうと、たおやかに!

公開日:2019.10.18

更新日:2022.10.15

秋田市在住の児童書ノンフィクション作家・池田まき子さん(60代)が、グレイヘアをテーマにつづる人気連載。今回は、日々の暮らしで心掛けていること、グレイヘアを選択したことで見つめる「老い」など、ライフスタイルについてご紹介します。

美しい姿勢でエレガントに

姿勢を褒められるのは、腹筋を意識している成果?
姿勢を褒められるのは、腹筋を意識している成果?

※初出2019年10月、年齢などは当時のものです。

普段、心掛けていることがあります。

いすに腰掛けるときも、立っているときも、背筋を伸ばすこと。そして、歩くときは、腹筋を意識しながら、胸を張ってさっそうと……。姿勢がよくないと、老けて見られるし、どんなに着飾っても、台無しになるように思うからです。

年を取ると前かがみになって背中が丸くなり、あごが前に出るなど、姿勢が悪くなりがち。けれども、心掛け次第で直すことができるのではないでしょうか。いい姿勢を保つには、背筋も腹筋も必要になりますが、普段から「美しい姿勢」を意識することで、知らず知らず、それらの筋肉も鍛えられるはずです。

「姿勢」から連想する言葉として、「身のこなし」「佇まい」「立ち居振る舞い」などがありますが、どれも、奥ゆかしい雰囲気のある表現ですね。これらに、さらに「エレガント」という言葉を加え、グレイヘアが似合う佇まいにしたいもの。目指すは「立ち居振る舞いの美しい、エレガントな女性」といえるでしょうか。

中年太りでも、腹筋運動は裏切らない!

エクササイズグッズ。体脂肪率や血圧もチェック
エクササイズグッズ。体脂肪率や血圧もチェック

5年前、56歳のとき、いわゆる「中年太り」に悩んだ時期がありました。体重は、20代とほぼ同じだったものの、ウエストからヒップにかけてのずん胴ぶりがものすごいことに。ぱっと見は痩せ型なのに、お腹だけが「ぽんぽこたぬき」だったのです(笑)。

中年太りは、老化による筋肉量の低下、ホルモンバランスの変化などで起きるといわれています。特に、更年期を迎える時期は、消費するカロリーが低くなるので、若い頃と同じように食べていると、お腹回りに脂肪がつきやすくなるのだそう。

でも、おかしいですね。お腹が「ぽんぽこたぬき」なのに、体重があまり変わらないということは、その分、どこかが減っていなくてはなりません。それは、つまり、胸やお尻?(そこは減ったのではなくて、垂れただけなのでは?)

話を戻しましょう。5年前、お腹回りのぜい肉を落とそうと試したのが、腹筋運動とウォーキング。この腹筋運動は、20代のアイドルがチャレンジした動画を見て、思い立ったもの。

というのも、そのアイドルは、74cmだったウエストを、1か月で60cmまで減らしたのです! それも、1回6〜7分のエクササイズを、1日に3回するだけの簡単な方法でした。

これは、試さずにはいられません。ダイエットはほとんど「三日坊主」でしたが、必死にがんばりました。1か月、そして、2か月目もほぼ毎日やりました。その成果は……なんと、ウエストが6cm、へそ回りが9cm、下っ腹が8cmも減りました!

「このまま、中年太りの道をまっしぐら」と諦めかけていたときだったので、とてもうれしかったことを思い出します。

体もスッキリ、気持ちもスッキリ!

ウォーキングの途中で撮影した美しい草花
ウォーキングの途中で撮影した美しい草花

その後は、冬になると怠け癖で休んだり、また夏が近づくと再開したりの繰り返し。けれども、お腹がたぷたぷしてきたのを自覚して運動を始めると、すぐに効果は現れ、2〜3週間ほどでスッキリ。腹筋運動は、決して裏切りません(笑)。

体がスッキリすると、気持ちもスッキリして晴れやかに。さらに、毎日続けるということは、小さな自信につながり、何事にも前向きになれるような気がしてきます。

歳とともに体が衰えてくるのは仕方のないこと。けれども、グレイヘアにして、自分らしさを表現できるファッションを楽しんでいる今、体力作りはもちろんのこと、やはり、体形も理想に近づけたいものです。

また、日々のウオーキングは、ごく当たり前の景色の中にも、草花の美しさ、昆虫たちの小さな世界を発見する楽しさなどがあり、いい刺激を与えてくれます。日常生活の小さな出来事の中に、ささやかな喜びを見出せる感受性……これも、ぜひ持ち続けていたいと思っています。

自分を笑える余裕を持つこと

何歳になっても、しなやかな心を持てたら
何歳になっても、しなやかな心を持てたら

年を取ると、忘れっぽくなります。

児童ノンフィクション作家という仕事柄、パソコンを使ってネット検索することが多いのですが、関連のある話題の見出しを次々にクリックしていると、知らず知らず、いわゆる「ネットサーフィン」の罠に……(あれっ、何を調べていたんだっけ?)。こんなときは、パソコンの「履歴」をチェックすることとなります。

また、テレビを見ていて、芸能人の名前が思い出せなかったり、人と話をしながら、物の名前がとっさに出なくなったりすることも珍しくありません。「あの人」「あの曲」「あの店」などと、「あれ」「それ」という代名詞を多く使うようにもなりました。

それに加え、普段の生活でドジな失敗も増えるばかりです。たとえば、ドアのノブや家具の角などに腕や肩をぶつけたり、電子レンジの中に、温めたものを置きっぱなしにしたり、タンスの戸を閉めようとして頭を挟んだり(これは、自分でも信じられない)……。

こんなとき、私は、「今日、こんな失敗、しちゃったの〜」と、隠すことなく、家族に伝えます。そんなエピソードを一緒に笑ってもらったり、「ボケが始まったんじゃないの?」とジョークで返してもらったりすることで、救われるような気がするのです。家族関係もその場の雰囲気も、和むこと請け合いです。

自分のことを面白がって笑えることって、実は、とても大事なことではないかと思います。自分を客観的に見つめ、気持ちに余裕がなければできないこと。

そんなことが自然にできるよう、しなやかな心を持っていたいものです。年を取っても、いいえ、年を重ねたからこそ、心の柔軟性が必要と言ってもいいのではないでしょうか。

目標は「たおやかに生きること」

自分を信じて、まだまだ羽ばたきたい!
自分を信じて、まだまだ羽ばたきたい!

私は56歳のとき、白髪を染めず、シワも気にしないなど、ありのままの自分を受け入れようと決めました。そして、年を重ねることを肯定的に捉え、これからの人生を思う存分、楽しんでいこうとも思いました。

それから5年。グレイヘアを選択したことによる心境の変化が、いろいろとありました。白髪やシワなどを、長く生きてきた「勲章」なのだと思ったり、間の抜けた失敗をする自分を、とても愛おしく思えたりするのです。

「もう、61歳」と思うか、「まだ、61歳」と思うかも、心の持ち方次第。年を重ねることで現れる変化を自然体で受けとめ、たおやかに過ごしていきたい……そんなことを思う今日この頃です。

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池田まき子

児童ノンフィクション作家。オーストラリアに30年在住後、2018年春に秋田市に活動拠点を移す。著書に『クニマスは生きていた!』(汐文社刊)、『自由への道―奴隷解放に命をかけた黒人女性 ハリエット・タブマンの物語』(学研刊)など。秋田在住のグレイヘアの女性でつくる「グレイヘア秋田」代表。

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