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- 池田まき子 グレイヘアで、心軽やかに
- グレイヘアのファッション、どんな色が合う?
秋田市在住の児童書ノンフィクション作家・池田まき子さん(60代)が、グレイヘアをテーマにつづる人気連載。今回は「グレイヘアとファッション」について。グレイヘアにしたらどんな服の色が合うのか、そんな疑問に応えます。
「グレイヘア移行期」は、ファッション迷走期?
私がグレイヘアにしようと思い立ったのは、オーストラリアに在住していた5年前のこと。ベリー・ショートのため、移行期は6か月という短さでしたが、黒・白・茶色の混じった「三毛猫」期は、「何を着ても似合わない」と、悶々とする日々でした。
その頃、新しい服を買うときは、娘(20代)に見立ててもらうことにしていました。私の好みを知っているし、若い感性でコーディネートしてくれるからです。服選びの際の、娘との会話は、こんな様子でした。
・ベージュのブラウスを試着して
私「あれ、野暮ったい?」
娘「顔のくすみが目立ってしまう感じで、よくないね」
・黒のカーディガンを試着して
私「地味かな。貧相に見えるんじゃない?」
娘「黒のキツさに負けている。顔も頭もぼんやり見えてしまうね」
・グレーのセーターを試着して
娘「似合うけれど、無難過ぎるかもね」
私「グレーの服はいっぱいあるし、なんだか、オバさんくさいね」(オバさんなのに……?)
取っ替え引っ替え試着したものの、収穫はなく、人生初のファッションの挫折(笑)。けれども、「何か買いたい」という誘惑にも、「時間をかけて試着したのだから、どれか買わなくては」という脅迫(?)にも屈しなかったのだから、自分を褒めなくては……そんなふうに思うことにしていました。
ギンガムチェック好きは10代から
私のワードローブで最も多いのが、モノトーン。その中でも、特に好んで着ていたのが、黒と白のギンガムチェック。振り返ってみると、私のギンガム好きは10代からで、当時の私服といえば、デニムのサロペットスカートに、ギンガムのシャツが定番でした。その後、グレンチェック、霜降り調の色合いも加わることに。これらはグレイヘアにもよくなじみ、落ち着いた雰囲気にしてくれるので、重宝することになりました。
ここで、ギンガムチェックにまつわるエピソードをご紹介しましょう。昨夏のことです。買い物帰りの電車で、黒白のギンガムのブラウスを着た若い女性の姿が、目に飛び込んできました。
(あっ、ギンガムチェックを着た人がいる……)
引き寄せられるかのように足が動き、その女性のすぐ隣に座ったものの、一つ目の駅が過ぎた頃、あることに気付いたのです。
(しまった! 私、ギンガムを着ていたんだ!)
その瞬間から、隣の女性の声が聞こえてくるようで、申し訳ない気持ちでいっぱいに。そのささやきは、次の駅で私が降りるまで続きました。
(このおばさん、何考えているの。こんなに席がいっぱいあるのに、よりによって、私の隣に座るなんて……。同じギンガムを着て並ぶって、一体どういうつもり?)
ごめんなさい。嫌がらせではないの。私、何にも考えていなかったんです。これが「年を取る」ということなのでしょうか。でも、次の駅まで、私の頬は赤らんでいたはず。「羞恥心」は、まだまだ消えていなかったようです……。
グレイヘアは、どんな色とも相性がいい!
黒が合わなくなったと感じた移行期に、実は、黒のトップスをいくつか処分してしまいました。今となっては、もったいないことをしたと思わずにはいられません。というのも、昨冬、黒のセーターを着てみて、思いのほか似合うことがわかったからです。これは、「三毛猫」の茶色が消え、グレイヘアの比率が変わったせいなのでしょうか。白髪が多くなったグレイヘアには、黒の強さに負けないくらいのパワーがあるということなのかもしれません。
最近は、明るい水色や黄色、オレンジ色など、鮮やかな色も着るようになりました。ビビッドな色は顔を華やかにしてくれるだけではなく、気分も上げてくれます。これから、白髪が増えるにつれ、もっと鮮やかな色を着たいと思うのか、似合うことがわかった黒を身に付けたいと思うのか、それとも、加齢とともに、黒をまとうのは苦手になっていくのか、まだまだわかりません。けれども、そんな気分の移ろいも、丸ごと楽しんでいければと思っています。
自分らしさを表現できるファッションを!
私のベリーショート歴は、40年以上。耳元も首元も露わになるので、スカーフやアクセサリーなどの小物は欠かせず、いろいろと工夫してきました。スカーフは、首のしわやたるみを隠せる上に、表情を生き生きと見せてくれる優れ物。巻き方によっては、スタイルの欠点をカバーしてくれ、また、シンプルな装いであっても、印象を華やかにしてくれます。普段、着こなせないような派手な色や柄でも、スカーフであれば、ためらうことなく楽しめるのもいいところです。
また、スカーフは、寒い時期はもちろんのこと、夏の冷房の効き過ぎにも、とても重宝します。この夏は、大きめのコットンのハンカチを首に巻くのが、「マイブーム」でした。日焼け防止に巻いて汗をかいても、簡単に洗うことができます。
イヤリングは、垂れ下がるタイプのものをつけたことがほとんどなかったのですが、グレイヘア仲間のアドバイスもあって、大ぶりのものもつけるようになりました。
耳元にキラキラ……このときめきは、いったい、どこから?
耳元にゆらゆら……エレガントになった気分になるのは、なぜ?
揺れる感じの心地よい、大ぶりのイヤリングが、今、どんどん増えています。
グレイヘアになって5年がたちますが、「グレイヘアに合わない色はない」……最近は、そう思うようになりました。言い換えれば、グレイヘアそのものが「装い」であり、一つの「モード」。どんな色ともバランスが取りやすいといえるのかもしれません。
たとえ、避けた方がいいとされるベージュを着ても、メリハリのある色の小物を加えれば、違和感はないはず。帽子、スカーフ、アクセサリー、鞄、靴などの小物を組み合わせ、要は、いかにトータルでバランスを整えるのかということなのではないでしょうか。
女性にとって、何歳になろうとも、ファッションは元気の源。グレイヘアならではの工夫をあれこれ考えていると、ワクワクしてきます。みなさんも、自分らしさを表現できるファッションを、大いに楽しんでいきませんか。
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