千葉と神奈川の名産をペロリ。東京湾ぐるり旅(前編)

東京湾を一周。千葉の久留里線で水と温泉とグルメ旅

公開日:2019.06.15

更新日:2019.06.15

大の鉄道好きマンガ家・文筆家のYASCORN(やすこーん)さんが、気軽に行ける1泊2日の女性ひとり旅をご紹介。今回はゆったりと東京湾を一周する旅です。ピーナッツ、寿司、あさり……千葉を堪能! 運転せずに山中の温泉にも行ける手段とは?

総武線の始発から終点まで乗ってみた

地元の駅から列車に乗って、終点まで行ってみたことはありますか?

東京都在住の私が使う駅は、主に中央・総武線各駅停車のJR西荻窪駅。もしくは吉祥寺駅。総武線各駅停車は、吉祥寺駅から1つ先の三鷹駅が終点です。今回はその反対方面の終点、千葉駅へと向かってみました。  

千葉県産粒ピーナッツコッペパン。フルヤ牛乳も千葉県産
千葉県産粒ピーナッツコッペパン。フルヤ牛乳も千葉県産

千葉駅構内にある「カワシマパン」のコッペパンとコーヒー牛乳が朝のおめざ。店内で食べて牛乳瓶を返却すると、10円が返ってきます。私は千葉県産粒ピーナッツとコッペパンの組み合わせが大好き。おやつ系・おかず系それぞれに千葉県産の具材も多く、選ぶのに迷います。

千葉公園から見たモノレール。懸垂型モノレールとしては営業距離が世界最長です

千葉市内にはモノレールが走っています。しかしまだ乗車したことがありません。たった1駅ですが、千葉公園駅まで行ってみることに。こちらのモノレールは懸垂型のため、まるで空を飛んでいるかのよう。途中、総武線が走る真上を通る所もあり、なかなかのスリルが味わえます。

万葉軒「トンかつ弁当」。掛け紙も好き
万葉軒「トンかつ弁当」。掛け紙も好き

実は千葉駅構内で駅弁も買っていました。千葉の駅弁といえば「万葉軒」。そしてワンコインで買える「トンかつ弁当」が有名です。白いご飯の上にソース味のロースカツが乗っており、さらにソースをかけていただきます。お弁当を食べていると目の前の蓮の蕾が大きく膨らんでいるのに気付きました。今がまさに花の見頃かもしれません。

木更津でタヌキとあさりを見つけてみよう!

木更津駅西口側

千葉駅からは内房線で木更津駅へと移動します。木更津は青春18きっぷが使える時期によく来ます。バスでアウトレットに行ったり、立ち寄り湯に入ったりなど、手軽な日帰り旅ばかりでしたが、今日は木更津に宿泊。ホテルに荷物を預けて街を散策しました。

(左)街中のマンホール(右)木更津吟米亭「浜屋」は木更津駅西口すぐ
(左)街中のマンホール(右)木更津吟米亭「浜屋」は木更津駅西口すぐ

実は木更津は、タヌキがいっぱいいる街。JR木更津駅の発車メロディは童謡「証城寺の狸囃子」が採用され、マンホール絵もタヌキです。木更津の大好きな駅弁「バーベキュー弁当」はタヌキの絵のパッケージで、そのままお店の看板にもなっています。こちらへは後ほどまた来ます。

(左)たぬき横丁みまち通り(右)みまち通りの途中にオジーたぬき
(左)たぬき横丁みまち通り(右)みまち通りの途中にオジーたぬき

なぜタヌキの街なのかというと、童謡の元になった狸囃子の伝説のある「證誠寺(しょうじょうじ)」が駅から徒歩8分ほどの場所にあるのです。そして「木更津キャッツアイ」というドラマに出てくるロケ地になった場所も。みまち通りを歩くと左右にたくさんのタヌキの石像があります。

立派な造りの宝家外観
立派な造りの宝家外観


木更津の名物といえばあさりです。まだ鉄道好きになる前に、潮干狩りに来たこともありました。「宝家」は創業が1897(明治30)年の100年以上続くお店。こちらで木更津名物のあさり尽くしのメニューをいただきます。

あさりの串揚げの「宝家名物 あさり膳」
あさりの串揚げの「宝家名物 あさり膳」


「宝家名物 あさり膳」はあさりの炊き込みごはん、あさりの味噌汁、あさりの佃煮、小鉢とお新香に、メイン料理をあさりのかき揚げ・串揚げ・お刺身・天ぷらの中から選ぶことができます。こちらのメニューは年中いただけますが、今は時期なので木更津産のあさりを使っているそう。旬は7月頃まで。あさりが大きく、しっかりと堪能できました。

久留里線の久留里駅
久留里線の久留里駅

さて、木更津駅から久留里線に乗車します。久留里(くるり)線は本数が少なく、Suicaは使えないのできっぷを買わないとなりません。黄色・緑・青のカラフルな列車に乗って、白鷺が点々といる水田を眺めながら、久留里駅へと向かいます。

千葉県で唯一の名水が、久留里にはあるんです

水くみ広場の奥に見える建物が久留里観光交流センター
水くみ広場の奥に見える建物が久留里観光交流センター

駅を出て右手に行くと、すぐに久留里観光交流センターと水汲み広場が見えます。

観光センターでは観光案内はもちろん、久留里伝統の黒文字楊枝も売っています。500円ほどで買えるのでおみやげにちょうどいいです。以前訪れたときにはなかった軽食販売もありました。

小さな鉄道博物館「久留里線博物館」
小さな鉄道博物館「久留里線博物館」


センター内にある久留里線博物館は見学だけなら無料、100円払えば入場券の硬券きっぷとパンフレットがもらえます。かつて使用されていたホーローの駅名票の展示に「きちじょうじ」や「こうえんじ」など私の地元駅も見つけ、うれしくなりました。

水を汲んでいるところ)(13-2写真・街中に見かける井戸の形はいろいろ
(左)水を汲んでいるところ(右)街中に見かける井戸の形はいろいろ

水汲み広場で空になったペットボトルに水を汲みます。久留里は水の街なのです。「久留里の水」は「平成の名水百選」として千葉県で唯一選定され、地下500メートルから約200本の井戸が自噴しています。この日も地元の方々が次々と水汲みに訪れていました。

私も以前はよく車で行動していたので、空のペットボトルを大量に持ってきて「お水取り」をしていました。特に夏、そのまま飲める冷たい水はありがたいです。

14-1写真・藤井酒造の井戸)(14-2写真・試飲中。東京駅でも売られているそう)
(左)藤井酒造の井戸(右)試飲中。東京駅でも売られているそう


名水のあるところに酒造あり。ということで、駅から一番近い、藤井酒造に行ってみました。こちらは久留里で300年以上に渡って酒造りをしてきたお店です。

久留里の名水と山田錦などを使った「福祝(ふくいわい)」シリーズを試飲。飲み口が違ってどれもおいしいです。買うか悩みましたが、720mlサイズなので重くて断念しました。

以前訪れた久留里城
以前訪れた久留里城

今回は時間的に行けませんでしたが、観光場所としては久留里城もあります。駅から約2.6㎞、お城までは急な上り坂でなかなかきついですが、天守閣からの景色は見事でした。

運転ができないときの強い味方! きみぴょん号

木更津市デマンドタクシー「きみぴょん号」
木更津市デマンドタクシー「きみぴょん号」


これからこのタクシーで温泉に向かいます。久留里線の終点、上総亀山駅近くに温泉がいくつかあるのですが、久留里駅から上総亀山駅に向かう列車は8時14分発の次が13時53分! その次は約3時間後。なので、あらかじめ「きみぴょん号」を予約しておきました。

こちらは指定された乗降場所であれば、どこまで利用しても1回500円の予約制乗り合いタクシー。主に地元の方が使うことが多いようで、予約で埋まっていると利用できません。

写真・内湯は源泉かけ流しの硫黄泉)(17-2写真・露天は井戸水を沸かしている)
(左)内湯は源泉かけ流しの硫黄泉(右)露天は井戸水を沸かしている


いつもは上総亀山駅からなんとか歩いて行ける亀山温泉ホテルの温泉を利用していますが、今回はタクシーなので、まだ行ったことのない「いろりの宿 七里川温泉」の立ち寄り湯に向かってみます。山の中にあり、帰りの「きみぴょん号」も予約しておかないと他に足はありません。

東京湾周辺の温泉は黒湯がほとんどなのですが、こちらは無色透明でわずかに香る硫黄泉。千葉県内では珍しい温泉です。

 

温泉に入ったあとの生ビール。鮎の干物をつまみに
温泉に入ったあとの生ビール。鮎の干物をつまみに


ここでは囲炉裏で魚介類を自分で焼いて食べることができます。なんと食材持込可(炭代200円)で炉端焼きができるので人気のようです。

私はこちらで注文した珍しい鮎の干物を焼きました。囲炉裏で焼くと味が格段に違います。

宿の飼い猫、ちびちゃん
宿の飼い猫、ちびちゃん

匂いにつられて、宿の飼い猫「ちびちゃん」がやってきました。客の魚に興味を示すのは、かなり珍しいそう。うれしい。動物には懐かれる方です。

そろりそろりと近づいてきて、最後はテーブルの上にまで。じーっと眺めて欲しそうにしていますが、決して手を出そうとしない、いい子でした。

木更津グルメなら、バーベキュー弁当とお寿司もお忘れなく

 

東京湾で水揚げされたもの中心に注文
東京湾で水揚げされたもの中心に注文

再び久留里駅までタクシーで戻り、久留里線で木更津駅。明日の朝食用に、「浜屋」でバーベキュー弁当を買っておきます。ホテルで少し休んでから、夕食を食べに徒歩で海方面へ。

「スーパー回転寿司 やまと」木更津店は何度か訪れたことがあるお店。回転寿司の安さながら、実は注文式なので握りたてが食べられます。こちらで使用しているすし酢は赤酢で尖った酢っぱさがなく食べやすいです。地魚を中心に生酒とともにいただきました。

1日めのルートはこちら!
1日めのルートはこちら!

移動距離は大してありませんが、行こうとしないとなかなか行けないのが近場の観光地。青春18きっぷ1回分の日帰りなら、東京駅~木更津駅往復で元が取れますよ。

 

次回は、千葉と神奈川の名産をペロリ。東京湾ぐるり旅(後編)です。

 

☆本記事に記載されている写真や本文の無断使用・ 無断転載を禁じます。また掲載情報は取材時点のものであり、最新の情報は施設等へお問い合わせください。


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YASCORN 鉄道食べすぎひとり旅

YASCORN

駅弁・駅そばが好きな鉄道好き漫画家&文筆家。温泉ソムリエ。児童誌から鉄道誌まで幅広く活動中。著書に「おんな鉄道ひとり旅」(小学館・プチコミック増刊で連載中)、「メシ鉄!!!」電子書籍1〜3巻(集英社)他。「鉄道漫遊記」を東洋経済オンラインで連載中。HP: yascorn.com

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