
今、レンズを薄いカラーにするのがおしゃれ
50代女性の紫外線対策は、メガネのレンズを「カラーレンズ」にするのがおすすめ!おしゃれ&機能的に、カラーレンズを選ぶコツを紹介します。
公開日:2025年05月31日
通信制 山本ふみこさんのエッセー講座第10期第2回
随筆家の山本ふみこさんを講師に迎えて開催するハルメクの通信制エッセー講座。第10期2回目のテーマは「壁」。水木うららさんの作品「壁よ、飛んでいけ!」と山本さんの講評です。
「さあ水木さん。外へ出ましょうか」
理学療法士Yさんの声にびっくり。室内のリハビリを続けているが、まだ一度も室外歩行器を使って外を歩いたことはなかった。えっ! 聞いてないですよ。心のどこかで声なき声がする。
4年前、圧迫骨折後に手術を受けてから、5か月の入退院生活を送った。退院してからは週3回、理学療法士さん達に訪問リハビリを依頼し、筋力を保ちながら身体を動かせるように、地道に励む日々を重ねている。簡単に見える動作でも、前回よりも進歩するのはなかなか難しい。
熱心なご指導のおかげで、歩行器を押しながら歩く距離も少しずつ伸びてきた。これまでは部屋の廊下を歩いて終了、だったのに「外へ出る?」はとつぜん歩き方のテストを受けなさいと言われたようだった。
えーい! 歩けるところまで歩いてみよう。
挑戦心が湧いてきて歩く覚悟が出来た。室外器を取り出して、玄関の扉を開く。
一歩踏みだすと、明るい陽光が降り注いでいた。優しく見守られながら、背中を押された気持ちになる。イチニ、イチニ。イチニ、イチニ。数えながら通い慣れたスーパーまでの道を歩く。赤、ピンク、白と色とりどりのツツジが春を告げている。
数年前にこの道で野の花を摘んだり、三ツ割池のアヒルやカモの泳ぐ姿が見たくて、自転車で遠回りしたことを思い出した。もう同じ楽しみを味わうことは出来ないのだろうか。
どうして外で歩く日を先延ばしにしていたのだろう。歩けるかどうかが不安だったのではなく、歩行器姿の私を他人に見られるのに抵抗があったことに気がついた。
他人の眼を気にしてどうする。見られたからといって悪いことをしたわけでも、迷惑をかけたわけでもない。堂々としていればいい。
「思いこみ、という厚い壁よ。どこか遠くへ飛んでいけ!」
「水木さーんどこまで歩くのですか。同じ距離歩いて帰れますか」
Yさんの声に現実に戻った。
課題「壁」を精神の上に設定し、自らの「思いこみ」こそが壁だったという気づきに至る作品です。理学療法士Yさんとのやりとり、リハビリに励んだ4年間のことが具体的に書かれています。そうしてその日とつぜん、初めての外で(室外歩行器を使って)のリハビリが課せられます。
歩行器姿を他者に見られることに抵抗を持っていたことを自覚するところまで書かれていますから、読み手は、あたかも自分がリハビリをしているような気持ちになります。共感が掻きたてられるのです。
具体的に綴る——これはほんとうに大事。
そうでないと観念的な読みものになり、エッセイ・随筆からは遠くなります。「共感」は、つくろうと思ってつくれるものではないけれど、意識することはしてみていいと思います。このはなし、この気持ち、わかってもらえるだろうか、という……。
もうひとつ、この作品の根底にある明るさを、とてもいいなあと思いました。ことに結び、もうもう、うれしくなっちゃいます。
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は講座の受講期間の半年間、毎月1回出されるテーマについて書き、講師で随筆家の山本ふみこさんから添削やアドバイスを受けられます。
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