公開日:2021/12/27
「女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が回答するQ&A連載。今回は64歳女性の「自分勝手な夫との将来が心配」というお悩みに、夫婦問題カウンセラーの岡野あつこさんが回答します。
夫が退職して6年。 私は年齢が離れているため、まだ仕事をしています。
退職後の夫は、毎日が日曜日にもかかわらず、家事などまるで手伝わず、それどころか私が帰宅するや否や「鍋の底が汚れていた!なぜもっときれいにしないのか!」と怒鳴ります。
仕事をしている時間の方が気持ちが楽で、週末が憂鬱で仕方ありません。
夫が自分勝手な性格だとはわかっていたものの、現役中は多忙ゆえ、会話も業務連絡的になっていたので、なんとか過ぎていきましたが、この先残りの人生を考えたときに、このまま我慢し続けていいのだろうかと思います。
(64歳女性・ころさん)
夫婦問題カウンセラーの岡野あつこです。
64歳、仕事で人脈をつくり経験を積んできて、あなたももうすぐ定年ではないのでしょうか。年齢が離れているということでたぶん夫は70歳過ぎ、6年前に退職して年金や貯蓄で毎日を過ごしているのでしょう。
あなたから見れば毎日やることもなさそうで、家事もあなたに全部頼って文句しか言わないのでは家に帰って話をするのも嫌になってしまいますね。
このような夫は、現役時代から妻のあなたに家のことは任せっぱなしで、家事も育児も手伝わずに仕事に一生懸命だったと思います。
浮気も暴力もなく一生懸命だったからこそ、あなたも小さな不満を通り過ごしてきたのでしょう。
こういう真面目に、仕事をよりどころにしてきた夫の立場に立ってみると、いざ定年になったら、再就職に関して声も掛からない、自分で独立して何かやるにも自信がない。
何か趣味を見つけたいけれども見つからない、あなたとゆっくり話したいけれどもあなたはまだ現役。帰って来たら会話がしたいのにあなたはいつも疲れている。このような気持ちなのかもしれません。
そんなときの会話は不平不満になってしまいます。
このままでは、よくある熟年離婚になりかねません。今、改善しておかないと、あなたが定年になったときにもっと口うるさくなりそうです。
仕事が忙しいからと、先延ばししては、解決もできませんし、先になると問題も大きくなってしまいます。
今から夫が自立できるように、少々のけんかは覚悟の上で、夫に手伝ってもらいたいことを伝えて、やってもらうまでを教えるという作業を予定に組み込んでおいた方がいいでしょう。
実は、最近の妻たちは、夫の定年を見据えて少しずつ、面倒でも、「夫教育」に入っています。
あなたの場合は仕事が忙しいという事情もわかりますが、遅くなればなるほど夫としては「今頃言われても」になってしまいます。
これからのかかわり方(コミュニケーション、お金、食事、健康などの面について)を今のうちから話し合っておくようにした方がいいと思います。
我慢を重ねてきて爆発し、自由と経済(財産分与)を勝ち取るために離婚を選択する人もいます。離婚までは勇気がないから別居という形を取って、準備に入るという人もいます。情があり、ここまで連れ添って離婚は望まないという人もいます。
あなたはこれからの人生を、夫婦が自立した関係で、毎日が楽しく過ごせるように今から準備に入った方がいいと思います。
準備が大切です。ここまで連れ添った夫なのですから諦めず、効果的に伝える方法を考えましょう。まずは夫のこれまでをねぎらい、才能やスキル、継続や努力を認めて自信を持ってもらうところから始めるといいと思います。
我慢や不平不満の多い毎日ではなく、夫と力を合わせて乗り越えた長い結婚生活を思い出しながら話し合う機会をつくることです。相手への尊敬と優しさを持って、これからの人生を送ってください。
おかの・あつこ 夫婦問題研究家。離婚診断士®️。NPO日本家族問題相談連盟理事長。
自らの離婚経験を生かし、夫婦の問題に悩み苦しむ人を一人でも多く救いたいという思いから、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。30年間で3万5000件以上の相談を受け、その成功事例ノウハウを数多く持つ。
・離婚相談救急隊運営
・「離婚診断士®️養成オンライン講座」開講
・YouTube
構成:渡邊詩織(ハルメクWEB)
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