公開日:2021/04/26
更新日:2021/12/02
「50代からの女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が回答するQ&A連載。55歳女性の「性格が悪い夫」についてのお悩みに、夫婦問題カウンセラーの岡野あつこさんが回答します。
子どもが独立して、主人と二人の生活になりもうすぐ2年がたちます。
主人は「自分の言うことがすべて正しい」という人。以前からずっと変わらずそんな性格なので、子どももよくわかっており「お母さん、よく我慢できるね」と言われています。
責任感が強い人なので、子どもが独立した頃からはだいぶ落ち着き、穏やかに過ごしていたのですが、たまに良い人から嫌な人に変わることがあり、困惑しています。
無意識なのか、私に対しての発言が嫌味ばかりで、性格が悪くて嫌になります。今まで我慢したけど、これからも我慢するのかと思うと、少々うんざり。
でも、離婚する元気もなく……という具合で、私は趣味などで気を紛らわせていますが、今後の生活が悩みではあります。
(55歳女性)
こんにちは、夫婦問題カウンセラーの岡野あつこです。
子どもが独立して2年ということは、結婚20年以上がたってるご夫婦ですね。
会社人間で一生懸命仕事をやって家族を養ってきたという自負があるために、自分の言うことやってることがすべて正しいと思うしか、プライドを保てない男性は多いものです。
子どもが「お母さんよく我慢ができるね」って言っているのは「お母さんはなんで我慢を選ぶの?お父さんに面と向かえばいいのに~」の意味がこもっていたりします。
真面目なあなたは「子どもが学校を出るまで波風立てずに私一人が我慢すればいいんだ」と思ってきたのでしょうが、子どもが手が離れて、これで良いのか気が付き始めたんじゃないかと思います。
でも実は、あなただけではなく夫もそうなんです。「性格が悪くなった」そうあなたが感じている裏には、夫にも何らかの不満があり、そのアピールなのかもしれません。
夫からすると「いつも妻に不満を感じながら我慢している」、「妻は子どものためにという思いが強すぎる」という状況だったかもしれません。
人生100年時代、55歳からのファイナルステージが、今までのように諦めや我慢の人生では、パートナーがいても孤独で、つまらない毎日になってしまいそうです。
そして相手に気付きを与えるというチャンスを奪うことにもなります。
改善策として、コミュニケーションのとり方を工夫してはどうでしょう。
今「アサーション」というコミュニケーション手法などが注目されています。
アサーションとは「自分も相手も大切にしようとする自己表現、自分の考え、意見、気持ちをその場にふさわしい方法で言ってみようとすること、同時に相手が同じように表現するのを待つ態度を伴う」ものです。
夫の責任感が強いということは、離婚は考えていないでしょう。あなたも離婚するわけでもなく、趣味で気を紛らわせているというモヤモヤ状況なら、勇気を出して、改善策やら何かきっかけになるようなことを話し合ってみてはどうでしょう。
そのときに自分の考えを押し付けると、夫は受け付けません。まず自分の考えや気持ちを正確に把握してまとめてください。そして、一度にすべてを伝えようと思わず、相手が受け入れやすいものから伝えていく。
このときに、決め付けて言うのではなく、相談という形をとるのが大切です。
例えば、家のリフォームを提案するときに「リフォームしようと思うんだ」は決め付けになります。一方、「子どもが巣立って部屋を広々と使いたいから、リフォームをしたいと思うんだけど、どうかなぁ」なら、相談する形になります。
コミュニケーションというのは、相手の気持ちを推しはかって気遣うと相手も気分が良くなるものです。
相手を毛嫌いせず、どんな話題も面白がる、相手に興味を持つ姿勢でいると楽しくなって、人間関係もうまくいくことが多いです。
人生55年、自分でも何かに気付いている日々なら、思い切って、性格の悪くなった相手さえも楽しんで、コミュニケーションをとってみることをおすすめします。
夫にも気付きのチャンスをあげるつもりで、ぜひご自分の器を広げてみてください。
おかの・あつこ 夫婦問題研究家。離婚診断士®️。NPO日本家族問題相談連盟理事長。
自らの離婚経験を生かし、夫婦の問題に悩み苦しむ人を一人でも多く救いたいという思いから、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。30年間で3万5000件以上の相談を受け、その成功事例ノウハウを数多く持つ。
・離婚相談救急隊運営
・「離婚診断士®️養成オンライン講座」開講
・YouTube
構成:竹下沙弥香(ハルメクWEB)
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