1話10分で教養が身につく動画講座~西洋音楽史~

交響曲の父ハイドンは、オーケストラの基本を作った

公開日:2020/10/12

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玉川大学芸術学部教授の野本由紀夫さんが、ヴィヴァルディからベートーヴェンまでの西洋音楽史を1話10分、全11話でピアノを演奏しながら楽しく解説する講座です。今回は、交響曲の父ハイドンの音楽は何がすごかったのかお伝えします。

交響曲の父ハイドンの音楽
交響曲の父ハイドンの音楽

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「交響曲の父」ハイドンが決めたこと

バッハは、時代的に言うと徳川の8代将軍吉宗と生没年がほぼ同じです。江戸時代は15代までありますが、そのちょうど真ん中ぐらいがバッハでした。その後、ハイドンという人が出てきます。

ハイドンは「交響曲の父」といわれます。交響曲というのはまさにオーケストラのための曲ですから、ヴァイオリンが発明され、発展していって、オーケストラでの使い方がさらに発展していった結果として、ハイドンの交響曲につながっていくわけです。

当時の管楽器とかはまだ発展途上でした。特に金管楽器は非常に発達が遅かった。みなさんのなかにも、吹奏楽・ブラスバンドに親しまれた方も多いかと思いますけれども、ブラスバンドで使っているようなトランペットやトロンボーンやホルンのような金管楽器が、今のように自由に音が変えられるようになるのはもう全然、後のことです。今からそれこそ150年ぐらい前ですから、金管楽器の発展はまだ新しいんですね。

そんな当時でも、どういう楽器を取り入れてオーケストラにしよう、交響曲ではこの楽器を使おうというのを決めたのがハイドンなんです。

 

「交響曲の父」は「オーケストラの父」でもあった!

オーケストラ

ハイドンは第104番まで交響曲を書いたといわれていて、「交響曲の父」の名前もあります。

その構成ですが、弦楽器は第1ヴァイオリンに第2ヴァイオリン、ちょっと大きいヴィオラと、股に挟んで立てて弾くチェロ、そしてもっと大きいコントラバス。こういう弦楽器を主体としつつ、木管楽器としてフルート2人、オーボエ2人。そして、実はこれがハイドンの新しいところなんですけど、クラリネットという発明されたばかりの楽器も2本入れました。そして低音の木管楽器としてファゴットを2本。つまり木管楽器が2・2・2・2です。

そして、金管楽器はホルンが2人、トランペットが2人。これにティンパニという打楽器を加えると全部です。これを「オーケストラ」と呼びましょう、ということを決めたのがハイドンなんですね。

今の人にもなじみがある配置ですね。オーケストラといったときにイメージする必要最低限な感じのオーケストラ編成を決めたのがハイドンで、次にお話ししますが、ハイドンの作曲の弟子だった人にベートーヴェンがいます。

ベートーヴェンはハイドンが決めたオーケストラの人数や配置をオーケストラだと思って、交響曲を作曲していくようになります。しかもベートーヴェンの音楽はヨーロッパどころか、世界中に広まっていきます。

「ソナタ形式」を用いて作られるのが交響曲

前回、ヴィヴァルディの場合はサンドイッチのような形式とお話しました。ハイドンが交響曲の父として切り拓いた交響曲というのは、難しくいうと「オーケストラのためのソナタ」、別名シンフォニー(交響曲)というふうに呼ぶんです。

じゃあ、「ソナタ」って何だろうかというと、ソナタは基本的には歌ではなく楽器の音楽で、いくつか楽章があることが条件です。第1楽章、第2楽章、第3楽章、第4楽章ぐらいまであるのが一般的ですが、第1楽章で「ソナタ形式」というものを使ってないといけないという縛りをつくったんですね。

第1楽章のソナタ形式というかたちは、大きく言えば、1つの楽章の中で「提示部」(メロディを提示する部分)があり、それを繰り広げていく「展開部」があり、また最初の部分の戻ってくる「再現部」があり、最後に締めくくりの部分がある。そういうかたちがソナタ形式で、いわゆる「古典派」時代の最大の特徴になっています。

ヴィヴァルディやバッハが生きた18世紀半ばぐらいまでをバロック時代と言います。それ以降の時代、18世紀半ばから19世紀の最初ぐらいまでを古典派の時代といい、代表的な作曲家にハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、場合によってはシューベルトといった作曲家がいました。彼らはみなウィーンに住んでいたので、しばしば「ウィーン古典派」と呼ばれます。この人たちはみんな、ソナタ形式や交響曲をすごく好んで作曲した人たちなんですね。


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