菅沼薫さんに聞く、今の自分に合う美容法(11)

サプリより赤野菜!シミ・老化対策の食事法

公開日:2018.10.17

更新日:2022.04.08

「食事で体調管理を行うように、健やかな肌の管理にも食事による体の内側からのケアが大事」と話す菅沼薫さん。美容講座の第11回では、食事による「美白ケア」について教えてもらいました。

紫外線による活性酸素がシミや肌老化を招く

紫外線が肌の大敵!といわれる原因の一つに、活性酸素があげられます。活性酸素とは、紫外線があたることで表皮内に発生する物質。皮膚の細胞を酸化させて肌の老化を早めたり、メラニン色素の生成量を増やしてシミを引き起こします。

この活性酸素の発生を防ぐには、UVケアが効果的。肌を紫外線から守ることで活性酸素の発生を抑え、シミや肌老化を防ぎます。ですが、発生してしまった活性酸素を、肌の外からのケアで取り除くことはできません。

発生してしまった活性酸素には、抗酸化物質を摂る“内側からのケア”

活性酸素による肌細胞の酸化を防ぐためには、抗酸化物質を多く含む食品を積極的に食べるのが一番! 抗酸化物質はカロチノイドやビタミンC、ポリフェノールなどに多く含まれていて、普段の食事をちょっと工夫するだけで、よりたくさん摂取することができます。

紫外線の強い夏にカロチンを多く含む夏野菜を食べる。実はこれだけでも、立派な内側からのケアになるんです。あまり難しく考えず、料理と食事を楽しみながら内側からの美白を実践してみてください。

赤い野菜は抗酸化作用が強い

赤い野菜は抗酸化作用が強い

美白に効果的な食材として、わかりやすく、取り入れやすいのが赤い野菜。もともと赤いものだけでなく加熱すると赤くなる野菜にも、カロチノイドという抗酸化物質が多く含まれています。

カロチノイドとは、リコピンやカプサイシン、カロテンなどの抗酸化物質の総称で、強い抗酸化作用があります。

カロチノイドを多く含む野菜

  • リコピンを多く含む食べもの:トマト、柿、赤ピーマンなど
  • カプサイシンを多く含む食べもの:赤とうがらしなど
  • カロテンを多く含む食べもの:にんじん、かぼちゃ、小松菜など

カロテンを摂るときは、ビタミンAの摂取も必須。これは体内のビタミンAが少ないと、カロテンがビタミンAに変化してしまうため。ビタミン Aには肌のうるおいを守るはたらきもあり、積極的に摂取したい栄養素。卵黄やレバー、うなぎ、バターやマーガリンなどに多く含まれています。

また、野菜だけでなくシャケやエビ、いくらなどには、アスタキサンチンという強い抗酸化成分が含まれています。

ビタミンCは美肌の万能選手

ビタミンCは美肌の万能選手

内側からの肌ケアで、欠かせないのがビタミンC。表皮のメラニン色素が垢となって剥がれ落ちる“新陳代謝”を促す上に、メラニン色素が過剰に作られるのを防いでくれます。

また、第4回「コラーゲン配合に惑わされていませんか?」でお話ししたように、コラーゲン合成にも必要不可欠な物質でもあるなど、ビタミンCは美肌の万能選手なのです。

ビタミンCをサプリで摂っている人も多いようですが、サプリメントはあくまで補助的なもの。いちごやオレンジ、グレープフルーツなどの柑橘類、ブロッコリーや小松菜、ほうれん草といった野菜など、ビタミンCを含む食材は多くあるので、なるべく食べて摂るよう心がけてください。

なお、ビタミンCは水に溶けやすく熱に弱い特性があるので、洗いすぎやゆですぎに気をつけて調理してくださいね。

「飲む」でも活性酸素に対抗できる!

「飲む」でも活性酸素に対抗できる!

食べるだけでなく、実は飲むことでも美白ケアができます。

抗酸化作用の強いポリフェノールを多く含む飲料を飲みましょう。

身近な飲料にもポリフェノールは多く含まれています。

例えば赤ワインに含まれるアントシアニンやココアやチョコレートの原料カカオ、お茶に含まれるカテキンやタンニンなども、ポリフェノールのひとつ。コーヒーをお茶に、ビールを赤ワインに変えるなど、ちょっとした心がけで摂取できるので、ぜひ意識してみてください。

また、豆類に含まれるイソフラボンもポリフェノール。健康を意識して豆乳や豆腐などを摂取している人は、実はポリフェノールもたくさん摂取しているのです。

ビタミンB2は肌荒れやかさつきにも◎

ビタミンB2は体の成長に欠かせないビタミンで、皮膚や粘膜の健康を維持するはたらきがあります。牛乳や納豆、レバーのほか、うなぎやさんま、いわしなどの魚にも多く含まれているので、これらも積極的に食べる心がけを。肌荒れやかさつきも改善されるはずです。

健やかな肌は、食べることでつくられます。どんなに効果的な化粧品を使っても、肌をつくる栄養素が不足しては、美しい肌を維持していくことはできません。

美白に限らず、肌に大事なのはやはり食事。“肌にいい食材”を取り入れるだけでも、肌は健康な状態に戻るはずです。この機会にいつもの食事を見直して、肌によい食事を心がけてください。

次回は、「無添加化粧品なら敏感肌でも安心、これ本当?」をお届けします。

【参考文献】
『きょうの健康シリーズ 肌のトラブルで悩む人に』(NHK出版刊) 監修・東京女子医科大学皮膚科教授 川島眞 

取材・文=田中優子

■もっと知りたい■

菅沼 薫

ビューティ&ライフ サイエンティスト、武庫川女子大学客員教授、sukai美科学研究所代表。日本顔学会会長をはじめ、化粧品成分検定協会理事、日本香粧品学会学術委員などを務める。美容雑誌「VOCE」における化粧品比較実験を長年手掛ける。化粧品と肌のスペシャリストとしてメディアでも活躍中。

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