1話10分で教養が身につく動画講座~フレイル~

体を衰えさせないために必要な肉・魚の1日の量とは?

公開日:2020/09/14

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虎の門病院の医師・大内尉義さんが、高齢者の健康を害する新しい病態「フレイル」と「サルコペニア」について3回に分けてお話します。「フレイル」を予防するために必要な運動量と、栄養とは? 1話10分、全3話の特別講座です。

1日に摂取すべきタンパク質の量は?

加齢であちこちが弱るフレイル、四肢が衰えるサルコペニア

 

 

 

タンパク質の十分な摂取がサルコペニアの予防になる

食品に含まれるたんぱく質の目安

第2回目は、サルコペニアやフレイルの予防と治療について、お話をします。サルコペニアとフレイルの予防と治療で最も大切なのは、適切な栄養を取ることと運動をすることです。

栄養に関して一番大切なのは、きちんとタンパク質を取ることです。タンパク質は筋肉をつくる源になりますので、原料が不足すれば当然サルコペニアになりやすく、フレイルになりやすいのです。

量は、体重1kg当たり少なくとも1.1gは取っていただきたいです。体重50kgなら55gです。

「なんだ、そんなものか」と思われるかもしれませんが、実は、お肉やお魚の中のタンパク質の量は、その重さの5分の1ぐらいしか含まれていません。したがって、55gの量のタンパク質を取るなら、約200~250gぐらいのお肉やお魚が必要です。

それだけの量のお肉やお魚を取るのはなかなか難しい場合が多いのですが、食事の中には植物性のタンパク質も結構含まれています。

目安としては、植物性のタンパク質が半分、動物性のタンパク質が半分で、1:1というところでいいかと思います。お肉・お魚は、どちらを取ってもいいのです

肉・魚が食べれないなら、アミノ酸サプリメントも

ただ、年を取るとなかなか噛めないという問題も起こってきて、特にお肉を食べることが難しくなってくる場合があります。そういった場合には、サプリメントなどでタンパク質の源であるアミノ酸の製剤を取ることも有用かと思います。

特に有用なのは、アミノ酸の中でも、少し難しい言葉ですが「分枝(岐)鎖アミノ酸」(BCAA)です。これはアミノ酸の化学構造の中で、側鎖に枝分かれするアミノ酸のことで、バリン、ロイシン、イソロイシンなどが相当します。

これらの分枝鎖アミノ酸がサルコペニア・フレイルの予防に非常に有効だというデータも出ています。BCAAはスポーツドリンクの中にも含まれているのをお聞きになったことがあると思いますが、それと同じものです。

サルコペニア予防に必要なのは、ウォーキング?筋トレ?

遅筋と速筋の違い

もう一つは運動です。実は骨格筋には赤い筋肉(赤筋)と白い筋肉(白筋)の2種類があります。赤筋は、瞬発力はあまりないけれども持続力に富んでいる筋肉です。マグロの赤身を思い出してください。マグロは遠洋航海をしますので、持続力に富む赤筋が発達しているのです。

これに対して白筋は、持続力は乏しいけれども瞬発力に富んでいる筋肉です。例えば、ヒラメを思い起こしてください。ヒラメはほとんど白身ですが、普段は海の底にじっとしていて、獲物が来たときにパッと飛びつきます。そうした場合には持続力は必要なく、瞬発力が必要なのです。

人間のサルコペニアという状況では、赤筋と白筋のどちらが障害されるかという研究がありますが、実は白筋の方が障害されることがわかっています。それでは、白筋を鍛えるにはどうしたらいいかですが、スクワットやダンベルなどを使った、いわゆる無酸素運動と呼ばれる筋トレが白筋を鍛えるのに有効といわれています。もう一つの持続力を特徴とする赤筋を鍛えるには有酸素運動が有効で、歩行あるいは早足歩行、ダンス、水泳ということになります。

運動というと、有酸素運動を思い浮かべがちだと思いますが、サルコペニア・フレイルの予防にはむしろ筋トレをした方がいいという考え方に最近、変わってきています。

どのぐらい筋トレをするかということですが、1日に30分程度を、一度にやるということではなく、何回かに分けても結構です。家の中でできるスクワットやダンベル体操を、一度専門家のトレーナーに教わって、それをお家でやっていただければいいかと思います。

フレイルやサルコペニアに効く薬はまだ開発されていない

それから、お薬で何かいい方法はないかということですが、実はフレイル・サルコペニアを予防あるいは治療するためのいい薬はあまりないというのが現状です。

中にはビタミンD、あるいは高齢の男性でいわゆる更年期障害(男性更年期)の治療に使われる男性ホルモンの補充療法といった薬物療法が挙げられたりもします。ただし、ビタミンDの場合は血液の中のカルシウムが増えて、かえって障害を起こすことがあります。また、男性ホルモンの補充療法は前立腺がん等のリスクがあります。ですから、それぞれ、専門家の指導を受けながら行うべき治療法です。

また、男性が男性ホルモンを増やす方法は薬だけではありません。先ほどお話しした筋トレを定期的に行うことで増えることがわかっています。

したがって、サルコペニア・フレイルの予防・治療としては、現在のところはきちんと栄養を取り、特にタンパク質が不足しないようにお肉・お魚を十分に取ることです。それがうまくいかない場合には、アミノ酸のサプリメントを飲まれてもいいでしょう。それから、もう一つは定期的な運動です。

ひざなどに障害がなければ、可能な限り、単に歩くウォーキングよりも筋トレをやった方がいいでしょう。ただし、専門家の指導を受けてからにした方がいいと思います。


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