体を支え、内臓を動かし、血を作る。

ゆがみが不調の元に。体調の9割は、背骨が決め手!

雑誌「ハルメク」

背骨は、生きるために大切な役割を驚くほど多く担っています。肩こりや腰痛などいろいろな不調も、背骨がゆがんだり、動きが悪くなることで起こります。背骨と体の不調の関係とメカニズムについて、専門家お二人に聞きました。

背骨が体調の9割を決めている
【目次】
  1. 教えてくれた人
  2. 読者が抱える不調の10位までは、すべて背骨のゆがみに関わるものでした
  3. 背骨は私たちの命を支える重要な役割を果たしています
  4. 神経伝達に欠かせない「ミエリン」の仕組みとは?
  5. 背骨の場所ごとに、合った動かし方がある

教えてくれた人

石垣英俊(いしがき・ひでとし)さん
1976(昭和51)年、静岡県生まれ。鍼灸師、応用理学士。神楽坂ホリスティック・クーラ代表。

 

工藤千秋(くどう・ちあき)さん
1958(昭和33)年、長野県生まれ。脳神経外科医。くどうちあき脳神経外科クリニック院長。
 

読者が抱える不調の10位までは、すべて背骨のゆがみに関わるものでした

背骨のゆがみが関係! 女性の不調ランキング

1        77人 肩こり 
2        71人 目の疲れ 
3        55人 腰痛 
4        49人 ひざの痛み 
5        40人 ドライアイ 
6        36人 物忘れ 
7        35人 不眠 
8        32人 手足の関節の痛み 
9        30人 頻尿 
10      29人 首の痛み 

※このアンケートは、ハルメクが2017年5月12日~14日に実施。インターネット上でアンケートを送り、50歳以上の女性219人から回答を得ました。

肩こりや腰痛、ひざの痛みは、猫背などで頭の重心がずれることでその重みが肩や腰、ひざにかかり、引き起こされます。一方、背骨がゆがむと、内臓や神経が圧迫され、目のトラブルや不眠、物忘れ、頻尿なども招いてしまいます。

背骨は私たちの命を支える重要な役割を果たしています

背骨は、7個の頸椎、12個の胸椎、5個の腰椎に、仙骨、尾骨で構成されています。

「この一つ一つの骨(椎骨)が重なって絶妙なS字を描き、上半身の重みを分散するからこそ、歩いたり体をひねったり、自由に動けるのです」と、背骨と体の不調の関係に詳しい鍼灸師の石垣英俊さん。

さらに、背骨の中心には脊髄が通っていて、そこから椎骨の隙間を通って末梢神経が全身に伸びています。「熱い、冷たいといった感覚を瞬時に感じられるのも、内臓がしっかり働くのも、背骨が神経を守り、手足やさまざまな臓器に神経をつなげているからです」と話すのは、脳神経外科医の工藤千秋さん。他にも、胸椎にある造血細胞が新鮮な血液を作り出すなど、背骨は私たちの命を支える重要な役割を果たしています。

姿勢を正すだけで脳の血中酸素が122%に

背骨は体の広範囲と結びついているため、「不調の多くは、背骨の状態に起因している」と、石垣さんと工藤さんは口をそろえます。実際、ハルメクのモニター組織「ハルトモ」に「気になる不調」を聞いたところ、間接的な原因になるものも含めると、10位までの不調のすべてに背骨が関係していました(上のランキング参照)。

「背骨のゆがみは、加齢や運動不足による筋肉の衰えなどで進行します。例えば猫背になると頭の重心が前に傾き、頭の重さが直接首や肩、ひざ、腰に負荷をかけ痛みを招きます。さらに肺や心臓が圧迫されて呼吸が浅くなるので、酸素も十分に運ばれなくなる。結果、脳の活動量が落ち、気分の落ち込みにもつながるのです」

実際、工藤さん独自の実験では、姿勢を正しただけで脳の血中にある酸素量が平常時の122%に上がるという結果も出ています。

さらに、背骨がゆがむことで神経にもトラブルが

「背骨のゆがみは自律神経のバランスの崩れを招き、不眠や震え、頻尿を引き起こします。多くの方が悩む疲れ目やドライアイも、自律神経の乱れで目の調整機能が弱って起こることも多いのです」

そう話す工藤さんが危惧するのが、感覚神経や運動神経の働きに欠かせない「ミエリン」という構造への影響です。「ミエリンは、電気コードの覆いのように神経に巻きつき、電気信号が早く伝わる手助けをしています(下図参照)。背骨がゆがみ、神経が圧迫されると、このミエリンが傷ついて溶け、電気信号が止まったり、外へもれ出てしまい、体が思うように動かなくなる。転倒や手足の痛み、しびれにも、実は背骨の問題が潜んでいるのです」
 

神経伝達に欠かせない「ミエリン」の仕組みとは?

ミエリンが正常な場合

ミエリンが絶縁体の役割を果たし、脳からの電気信号がミエリンを飛び越えるため、より早く伝わる(跳躍伝導)。

ミエリンが傷ついた場合

背骨のゆがみなどで神経が圧迫され、神経に酸素がいかなくなると、ミエリンが溶け、電気信号が伝わりにくくなる。

 

背骨の場所ごとに、合った動かし方がある

では背骨のゆがみを防ぐにはどうしたらいいのでしょう。

「背骨は全体が連動して動くので、一部でも痛めたり、周囲の筋肉が衰えるだけでゆがみを招きます。特に胸椎は普段動かし足りない方が多いので、積極的に動かすこと。そして痛めやすい頸椎と腰椎は、苦手な動きを知り、日常生活で気を付けることです」と石垣さんはアドバイス。

また工藤さんによれば、溶けたミエリンも、背骨の周囲の筋肉を動かし、酸素や栄養を送ることで修復できるのだそうです。

こんなにある! 背骨の役割

内臓を守りつつ正しい位置にキープ
神経を保護し全身につなぐ上半身の重みを支えるひねる、曲げるなど体を自由に動かす新鮮な血を作り全身の細胞を活性化

 

(右)背骨が曲がってバランスが悪いと…
背骨がゆがみ、頭の重心が前後にずれると、足腰に余計な負荷がかかり、痛みの原因に。神経が圧迫されることで、内臓の働きが悪化することも。

(左)背骨が真っすぐだと…
背骨が適正なS字カーブを保っていれば、頭の重さが背骨でうまく分散され、腰やひざなどの関節も内臓も、健やかに働ける。
 

背骨の構造と働き大解剖!
 

頸椎(首の骨)は… 最も自在に動く骨!

回す動作もでき、背骨で一番可動域が広い。頸椎がゆがんで頭が前に出ると、首に負荷がかかり、頭痛や肩こりの原因にも。

注意!
よく動く分、急にねじると痛めやすい。本を長時間うつむいて読む姿勢も、頸椎のカーブ(前弯)がなくなるなどのゆがみを招く。

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胸椎(胸の骨)は、大切な心臓・肺を守る
肋骨につながり、心臓や肺を守って、呼吸にも大きく影響。自律神経との関わりが深く、動きが悪いと内臓や心の不調が起こりやすい。

注意!
胸椎を意識的に使い、柔軟性を保つことが頸椎と腰椎を痛めないコツ。振り向く際も首や腰からでなく腕からねじるよう意識を。

 

腰椎(腰の骨)は、縁の下の力持ち
上半身を支えるため、椎骨もクッションである椎間板も一番大きい。その分、少しの負荷でも椎間板が傷つきヘルニアを起こしやすい。

注意!
椎骨同士が組み合っているため、特に前かがみにねじると痛めやすい。物を拾う際は、股関節を使って拾う物の方に体を向けて。頭の重さでさらに背骨が曲がり内臓や神経を圧迫!×

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次の記事では、「パーフェクト背骨」を目指す画期的なメソッドをご紹介します。さっそく挑戦してくださいね。

 

【背骨のコンディショニング記事一覧】

1  体調の9割は、背骨が決め手!
2  読者44人を1週間で変えた背骨のコンディショニング
3〔実践編〕夜のリセットコンディショニング
4〔実践編〕朝のアクティブコンディショニング
5  84%の人が改善。背骨のコンディショニング体験結果
 

取材・文=新井理紗(ハルメク編集部) 撮影=中西裕人、イラストレーション=田渕正敏

※この記事は、2017年9月号「ハルメク」に掲載した特集「しなやか背骨で不調知らずのカラダに!」内、「体調の9割は、背骨が決め手!」を再編集、掲載しています。
 

 

雑誌「ハルメク」

創刊22年目、50代以上の女性誌売り上げNo.1の生活実用情報誌。前向きに明るく生きるために、本当に価値がある情報をお届けします。健康、料理、おしゃれ、お金、著名人のインタビューなど、幅広い情報が満載。年間定期購読誌で自宅に直接配送します。https://magazine.halmek.co.jp/

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