疲れやすいのは体力が落ちているからだけでなかった

ずっと取れない疲労感は、脳の疲れが原因です

ハルメクWEB編集部
2019/07/08 45

朝目覚めてもだるさが残っていたり、外出してもすぐ体が重くなったり……。年々感じやすくなってくる疲れを、体の疲れだと思っていませんか?「体が疲れた」という感覚も、実は脳の疲労が原因なんです。疲れの正体を知り、疲れにくい体を手に入れましょう。

ずっと取れない疲労感は、脳の疲れが原因です
【目次】
  1. 普段感じている疲れの原因
  2. 50代女性のパワー値は、野生動物なら倒れてしまうレベル
  3. 疲れを取るための対策

普段感じている疲れの原因

「疲れの正体は、脳にあります。具体的には、脳の視床下部や前帯状回にある自律神経の中枢の疲れであり、体が疲れているというのは錯覚であることが多いのです」と話すのは、疲労医学の第一人者で東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身(かじもとおさみ)さん。

梶本さんが実験で自転車を4時間こぎ続けた人の状態を調べたところ、筋肉や内臓は開始前と数値にほぼ変化はなかった一方、脳、特に自律神経の中枢は明らかな変化が見られました。

体温を上げ過ぎないように汗をかき、酸素を多く体に取り込むために心拍数を上げるといった生命活動機能をコントロールするのはすべて自律神経。運動を続けると自律神経に負荷がかかり、疲れてしまうのです。疲れた自律神経は「命を守らねば」と防衛本能を働かせます。すると、眉間付近にある眼窩前頭野(がんかぜんとうや)へ司令を送り、これ以上運動させないよう「体が疲れた」と勘違いをさせます。これが普段感じている疲れの実態です。

 

疲れるときの脳の仕組み

50代女性のパワー値は、野生動物なら倒れてしまうレベル

疲れをつかさどる自律神経の機能

さらに、年齢ととともに自律神経自体のパワー値が減り、耐えうる負荷の大きさも小さくなっていきます(グラフ参照)。年齢を重ねるにつれて疲れやすくなる原因がこのパワー値の低下です。パワー値は、50代になると20代の頃の3分の1に。梶本さんによると「野生動物の世界では500を切ると生きていけない」のに、50代女性の平均は約500。野生動物なら倒れてしまう値にまで低下しているわけですから、毎日疲れるのは当然のことなのです。

「当然だから仕方ない」と何も対策を講じないで放置しておくと、疲れがたまってつらいだけではなく「脳の細胞が酸化してサビがたまり、脳の老化を招く可能性もあります」(梶本さん)。

疲れを取るための対策

では、どんな対策ができるのでしょうか。

自律神経には緊張・興奮状態で働く交感神経と、リラックスしたときに働く副交感神経があります。自律神経の中枢は、交感神経が優位になったときにフル稼働し、疲労につながります。

「リラックスして副交感神経が優位になる時間を増やすことが、疲れ対策には効果的です」(梶本さん)。

次回からは、脳の疲れに効果的な習慣を解説します。

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梶本修身(かじもと・おさみ)さん  
東京疲労・睡眠クリニック院長。医師・医学博士。大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座特任教授。1962(昭和37)年生まれ。大阪大学大学院医学研究科修了。2003年から産官学連携「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者。主な著書に『すべての疲労は脳が原因Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』(集英社新書)など。

取材・文=小林美香(編集部)イラストレーション=藤田ヒロコ

※この記事は、「ハルメク」2018年2月号を再編集しています。また掲載情報は取材時点のものであり、最新の情報は施設等へお問い合わせください。

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